「バカの壁」などで著名な養老孟司さんと、その教え子であり主治医でもある中川恵一医師(東大医学部特任教授)の共著です。第1章、第3章は養老氏が、第2章、第4章は中川医師が執筆し、第5章は両氏にヤマザキマリさん(東京造形大学客員教授)も交えた対談になっています。

 養老氏の体調が悪化したため中川医師に頼んで東大病院を受診し、心筋梗塞が判明して緊急治療、入院したいきさつなどが紹介され、そのことや養老氏が飼っていた猫「まる」の死などのエピソードを中心に、両著者の医療に対する向き合い方、考え方の違いなどが説明されています。

 

 養老氏は病院嫌いで有名であり、身体の具合が悪くないのにがん検診など受ける必要はないという考えで、愛煙家です。それに対して中川医師は、大腸がん、乳がん、子宮頸がん、肺がん、胃がんの5種類のがんについては検診が有効なので受診すべき、甲状腺がん、前立腺がんは見つける必要のないがんなので、検診など受ける必要はないという、ごく常識的な考え方です。私は、中川医師の意見に近いのですが、多くの人は私と同様でしょう。

 

 養老氏は病院嫌いとはいえ、医療をすべて否定しているわけではなく、新型コロナワクチン接種にも積極的です。また、山中教授のiPS細胞などの技術を活用して老化を防ぎ(若返りをし)、医療費を抑制することにも関心を持っておられます。

 また、かつての医療は個々の医師の知識経験に委ねられる部分が多かったのが、現在は、疾病ごとに治療の「ガイドライン」が定めれれていて、患者一人一人の状況に対応した医師の裁量が制限されているようです。一長一短でしょう。

 

 どの医療を受け、どの医療は受けないこととするか、自分の生き方に合わせて選択できるよう、精進しなければなりません。

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