10月18日、19日の衆議院予算委員会で、旧統一教会に対する調査に関して、宗教法人解散命令の要件に民法の「不法行為」が含まれるかどうかのやり取りがありました。あのやり取りを報道で読み、岸田総理が本当に早稲田の法学部出身なのか、疑いたくなりました。いくら卒業後40年経っているとはいえ、あんな基本的な法律知識を忘れてしまうものでしょうか?

 宗教法人法で解散請求の要件である「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為」について、裁判例に基づき、従来から「刑法等の実定法規に違反するもの」と解釈されてきました。旧統一教会は組織的犯罪が刑事事件で確定したわけでもないので、調査したとしても解散請求はありえないのではないかという疑問もあるところです。

 

 18日のやり取りで、岸田総理は「民法の不法行為は入らないという解釈だ。」と答えました。これがまず、大間違いです。民法の不法行為は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」という非常に広い概念です。この中には、刑事罰の対象になるものもならないものも含まれます。だから、「民法上の不法行為は入らない」ということは、あり得ません。

 正確には、「刑事罰の対象にならない民法上の不法行為」は入るのか入らないのか、議論すべきでした。

 19日のやり取りで、岸田総理はあっさりと前言を翻し、「民法の不法行為も入り得る」と言いました。これ自体は当然のことですが、厳密な議論もないまま、なんとなく「刑事罰の対象にならない民法上の不法行為」も含まれるような感じになってしまいました。立憲民主党のひっかけに岸田総理がまんまと嵌められたような感じです。

 従来の解釈でも、「刑法等に違反するもの・・・」と言っているだけで、「刑事罰が確定しているもの」といっているわけではありません。刑法等の犯罪構成要件に該当していれば、必ずしも起訴されていなくても該当するでしょう。これ以上範囲を拡大する必要があったのかどうか、私は疑問です。

 

 文科省が、「議論が生煮えだ」として解釈変更に抵抗したと報じられていますが、私も法律の議論としては文科省に賛同です。でも、この解釈変更によって、旧統一教会に対する解散請求のハードルが下がったことは間違いないでしょう。

 岸田政権、後へは引けなくなりました。これで解散請求なしに幕引きとなったら、多くの国民は納得しないでしょう。

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