毎年、なるべく早いうちにこのシリーズを読むことにしています。今年は、運よく年末年始の休暇中に読むことができました。

 内容は、当然ながら、ウクライナ戦争の影響、世界同時不況の可能性、米中対立の中で日本の行く末などです。

  「世界はこれからどうなる」「日本はこれからどうなる」「企業はこれからどうなる」「アジア、欧州はこれからどうなる」の4つの章(Chapter)に分かれ、各章に5~7の論点が収められていて、それぞれの分野に詳しい日経新聞の論説委員等が解説しています。

 トランプの保護主義、英国のEU脱退など、数年前からグローバリゼーションは後退のきざしを見せていました。その流れを決定的にしたのが、ロシアのウクライナ侵略に伴う西側諸国との経済戦争の勃発、中国の覇権主義的な行動と新型コロナです。各国とも、グローバリゼーションで得られる多少の豊かさより経済安全保障を重視せざるを得なくなったわけです。

 安全保障を考えれば、ウクライナ戦争が終わったとしても欧州各国はエネルギーをロシアに依存する体制には戻ろうとしないでしょう。中国が台湾に侵攻する可能性を考えれば、中国抜きのサプライチェーンを構築し、万一に備えるのは当然のことです。また、中国が、経済だけでなく軍事においても米国から覇権を奪おうとする意図を隠そうともしていない以上、日本を含む西側諸国とすれば、中国との先端技術関係の交流は控えざるを得ません

 

 本書では随所にここ30年ほどの日本経済の停滞ぶりが、これでもかこれでもかというほど明らかにされていて、読んでいて絶望的な気持ちになる部分もありました。なぜ日本には、GAFAのような企業が現れないのか、なぜこんなに生産性が他国に比べて低くなってしまったのかも考察されています。

 解決策もいくつか示されていますが、諸外国に追いつくのはなかなか大変そうです。

 野心的なスタートアップ企業を育てなければなりません。教育によって労働力を流動化し、日本企業全体の生産性を高めなければなりません。

 そんな中、岸田首相の最大の目標は「総裁再選」とのことで、日本の長期的な課題に立ち向かうより、各派の均衡にうまく乗ることを重視する政策運営になりそうです。これで日本がうまく平和に発展して行くことができるのか、心もとないものを感じさせられました。

 世界に目を転じても、「西側の自由主義勢力は、強権国家を抑え込めるのか」2023年が正念場になるかもしれません。それによって、日本の運命も大きく左右されそうです。

 本書によって、時局を考えるための基礎知識を得ることができました。

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