岸田総理は、2月1日の衆院予算委員会で、パート従業員らが働く時間を抑える原因となっている社会保険の被扶養者の「年収の壁」問題の解消に向けて、制度を見直す意向を表明しました。
現行制度では、夫が会社員や公務員、妻がパート勤務の場合、妻の年収が130万円(企業規模などにより106万円)を超えると、夫の社会保険の「被扶養者」から外れ、妻に保険料負担が生じます。これまでも短時間労働者への被用者保険の適用拡大が進められてきましたが、これをさらに拡大する方向でしょうか?
自民党が、制度の抜本的改革までの当面の策として、一時的に保険料負担を補助するよう提言し、それに対して岸田総理は、「一時的な保険料補助は、単身世帯の方々との公平という問題がある」と指摘したと報じられています。
不公平な制度
岸田総理の指摘はその通りだと思いますが、「単身世帯との公平」を言うのなら、もっと大きな問題があります。配偶者を被扶養者として保険料負担の対象から外してしまうこと自体、単身世帯の人にとっては著しく不公平です。
被扶養者分の保険料を扶養者が負担するのなら問題はないのですが、そうではなく、単身者も含めた被保険者全体で負担することになってしまっています。
18歳未満の子供についてならば、その分の保険料を社会全体で負担するということでいいと思いますが、生産年齢人口の専業主婦の保険料を社会全体で負担するのは、明らかにおかしいと思います。
ちなみに、国民健康保険には被扶養者などという概念はなく、専業主婦であろうと世帯主が負担する保険料に加算されます。だから、会社を辞めた時など、被用者保険を2年間任意継続(事業主負担分はなく、全額本人負担)するか、国民健康保険に加入するかを選択しなければならないのですが、一般的に扶養親族がいれば被用者保険の任意継続の方が有利(保険料が安い)になります。アンバランスが生じています。
また、老親を扶養していても親が75歳以上になると後期高齢者健康保険という別の制度の対象になり、被扶養者にできず、別途保険料負担が生じます。ここでもアンバランスが生じています。
政府がいう「対応策」、どんなことを検討しているのかまだ報じられていませんが、被用者保険の「扶養」という制度が、あちこちで矛盾を生じさせていることは疑いがありません。私は、子どもや障がい者など以外は廃止すべきだと思います。夫婦が共に働いて一緒に子どもを育てることは、少子化対策の足を引っ張るとは思えません。夫が働いて妻は子育てをして家を守るという旧来の家族の在り方を優遇する必要はありません。
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