「新版・一流の頭脳」という副題が付いています。表紙カバーの織り込まれた部分には「生物学的には、私たちの脳と身体は今もサバンナにいる。私たちは本来、狩猟採集民なのである。」と書かれています。
人類は、誕生してからほとんどの期間を狩猟採集民として代を重ね、農耕が始まったのもつい最近であるため、私たちの遺伝子は、脳や身体を狩猟採集に適した姿に作るよう設計されています。たくさん歩いたり走ったりするとより多くの食料を得られるため、より活動的な者だけが子孫を残し、生き残ってきたようです。
移動する生物だけに脳があり、多く移動する動物ほど脳が大きくなります。人間も、運動をするとご褒美として脳内に快楽のホルモンが分泌されて快感を得られるほか、BDNFという物質が脳内に生成されてそれが脳を活性化させ、成長させるとのことです。
著者は、スウェーデンの著名な精神科医で、本書は多くの新しい脳科学研究の成果が紹介されています。
私たちは、危険を感じ、ストレスを受けると、闘争又は逃走に備え、偏桃体からコルチゾールというホルモンが分泌され、心拍数が上がって緊張状態になります。その状態が長く続くと、海馬の細胞が死に、海馬が萎縮してしまいます。記憶の中枢である海馬が萎縮すると、物忘れがひどくなります。歩いたり走ったりするとコルチゾールが抑制され、海馬の萎縮を防ぎます。つまり、運動がストレスから身を守ります。
また、コルチゾールには脂肪の燃焼を妨げる効果があるので、血中のコルチゾール濃度が増えると、腹部に脂肪が溜まり、その上、食欲が増進して高カロリーのものを食べたくなるとのことです。運動によってコルチゾールを抑制すると、これらを防ぐこともできます。
ストレスを抑えるほか、集中力を高める、記憶力を高める、アイディアを取り出す、学力を高めるにも、ウォーキング、ランニングなどの運動が効くことが実験の結果で判明しています。
どのような運動が最も効果があるか、目的によって多少違いがあるようですが、いずれもあまり激しい運動でなくても効果があるようです。ただ、激しい運動をするとBDNFの生成量が大幅に増えるので、長期的に見れば負荷の大きい運動をすればそれだけの効果は期待できるようです。
本書を読み、運動を続けていれば高齢になっても脳を衰えさせず、さらに脳細胞を増やすこともできることを知りました。これを読んだ以上、記憶の衰えを年齢のせいにはできません。
年を取って脳の衰えを感じている人、ストレスを抱えている人、もっと頭を良くしたい人は、本書が参考になるかもしれません。
![]()
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。
サイト案内(目次)
コメント