3月1日、大規模災害や感染症のまん延といった非常時に国が自治体へ必要な指示ができる仕組みを盛り込んだ地方自治法改正案を閣議決定したことが報じられました。想定外の事態が発生しても、国民の安全確保へ迅速な対応を取れるようにする狙いとのことです。
改正案では、事態が全国規模だったり、局所的でも被害が甚大だったりする場合などに指示権の発動を認めるようです。現在も、例えば災害対策基本法など個別法に規定があれば国は自治体に指示できるようになっていますが、これを個別法に規定がなくてもできるように一般化するものです。
また、現行の自治法でも国から地方に「是正の指示」「是正の要求」ができますが、自治体の事務処理に法令違反がなければ行えません。それを、非常時には自治体が事務処理を行う前に指示できるようにするものです。
個別法ではダメなのか?
非常時に国が自治体に指示したほうがいい場面があり得ることは理解できます。しかし、一般的な制度が必要なのか疑問があります。
一般的には、何をすべきかは現地の状況を把握している自治体の方がよく分かっています。自治体が行動しないとすれば何らかの理由があるからで、国から指示されたといってすぐ動けるとも思えません。
国の方が多くの情報を持っていそうなのは、外国からの攻撃、原子力災害等に限られると思います。そんなケースは、国が自治体にきちんと情報提供すべき問題です。福島原発の事故の際、国から福島県等に正しい情報が伝わっていたのかどうか、私は疑問を持っています。現地の関係者や国の担当部署は、東日本壊滅の可能性も考えていて、外国の公館も本国の指示で在留国民の東日本からの退避を勧めていました。事態を知った政治家の中には本人や家族の退避を始めた人までいたようです。しかし、少なくとも私が在職していた県庁には、それほどの危機だという情報は伝わってきませんでした。
こんな場合、情報を正しく伝えればパニックになってしまうので、情報は伝えずに指示だけするということなのでしょうか?
いずれにしても、ごく一部の限られたケースです。例に挙げられているパンデミックの際の他県の患者の受け入れ指示などは、個別法に書き込んでおけばいいでしょう。それ以外で国の方が的確な判断ができそうなのは、外国からの攻撃、原発事故くらいで、それらの対応は個別法に書き込んでおけばいい話です。非常時などという大雑把な要件で一般的な制度を作ってしまうと、悪用されかねません。
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