著者は、慶応大学商学部准教授で、組織論、生産管理学がご専門の経営学博士です。しかし、この題名から分かるように、本書でいう「経営」とはいわゆる企業経営やお金儲けのことではありません。「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目標に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」と定義されています。
幸せを求めない人間も、生涯他者と関わらない人間も存在しないので、誰もが経営の当事者というわけです。
「はじめに:日常は経営でできている」に続く15の章も全て「〇〇は経営でできている」という標題です。「〇〇」には、貧乏、家庭、恋愛、就活などが入ります。各章にはそれぞれ3つほどの節がぶら下がっていますが、そのタイトルは全て有名な作品名などのパロディーになっています。「粗にして野だが偽ではない」(元ネタ:「粗にして野だが卑ではない」城山三郎)といった具合です。
「おわりに:人生は経営でできている」「謝辞:本書は他力でできている」の後に、「タイトルはパロディーでできている」という文があり、元ネタが明かされています。構成からして遊び心満載ですが、中身も、ユーモア、諧謔、自虐ネタで満ちています。これだけそろえるには、著者は大変苦労されたと思います。
身近な例では、レストランで注文した料理が出てくるのが遅かった場合、感情に任せてウエイターに怒鳴ったり、嫌味を言ったりすることは、自分が幸福になるためには何の役にも立ちません。目的に沿わない行動をとることによって、余計に不愉快な状況を創り上げてしまうのが、経営の失敗です。
我々は人生の様々な場面で、目的のためには不合理な行動をつい取ってしまいがちです。本書には、それらの不合理な行動が列挙され、なぜ幸福実現の役に立たないのか説明されています。
すべての人は、経営概念を持てば不条理と不合理から抜け出すことができ、幸せになれる、豊かになれると著者は言われます。
私も、感情に任せて不合理な行動を取らないよう、気を付けなければなりません。教訓に満っていながら、軽妙な文章のおかげで説教臭くなく、クスリと笑える箇所も多い本でした。
![]()
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。
サイト案内(目次)へ
コメント