6月27日、経済産業省が資源の有効活用策を議論する有識者会議で、大量のプラスチックを使用する製造業に対し、再生材の使用量の目標設定や使用実績の報告を義務化する方針を示したことが報じられました。早ければ来年の通常国会で資源有効利用促進法の改正を目指すとのことです。
日本は、リサイクルなどで回収されるプラスチックの割合は比較的高いものの、回収されたものの多くは焼却処分されています。それを再生利用することを進め、脱炭素化につなげたい考えと伝えられています。
しかし、本当にそれでいいのか、私は疑問を持っています。再生のための収集・運搬に要するエネルギーとの比較だけでなく、再生しようとする際に不可避的に発生するマイクロプラスチックの排出などの問題等、環境へのマイナス要因と合わせて、国民に説明しなければなりません。
マスコミ報道では、再生材の使用を義務付けることによるコストの増が国民の負担になることを問題にしているものは見受けられますが、マイクロプラスチックの排出増を指摘するものは見当たりません。
マイクロプラスチック問題
2022年3月、医学雑誌で発表されたオランダの研究で、健康な成人22人のうち、17人の血液中からプラスチック粒子が検出されたことが発表されました。この時点では、血管内のマイクロプラスチックが人の健康にどのような影響を及ぼしているか不明だったのですが、今年(2024年)4月、ある医学研究を各マスコミが大きく報じました。
人間の血管内に微小なプラスチック粒子が溜まっており、それが心臓発作や脳卒中などと関連している可能性があるという内容です。
この研究では、頸動脈にたまったプラークを取り除く「頸動脈内膜剝離術」という手術を受けた304人の成人について、プラークに含まれるプラスチックを調べたところ、58%の患者からポリエチレンが、12%の患者からポリ塩化ビニルが検出されました。さらに、切除したプラークにプラスチックが含まれていた人は、含まれていなかった人に比べて、その後の約3年間に心臓発作や脳卒中を起こしたり何らかの原因で死亡したりする割合が4倍以上も高かったとのことです。
環境中にマイクロプラスチックや、それより微小なナノプラスチックが排出されてしまうことは、リサイクルでは防げません。最新鋭の再生工場でも、洗浄や破砕の過程でマイクロプラスチックやさらに微小なナノプラスチックが発生してしまい、フィルターを設置しても外部に大量に排出されることを防げないようです。
回収したプラスチックを洗浄せずにそのまま燃やして、熱でエネルギーを回収(サーマルリサイクル)するなら、マイクロプラスチックの排出量は少ないはずです。しかし、洗浄・破砕して再生材にするとなると、大量のマイクロプラスチックを排出することになります。二酸化炭素の排出量を多少減らしたとしても、トータルで環境にプラスになるかは非常に疑問です。
政府は十分な説明を
研究者の多くは、プラスチックの問題はリサイクルでは解決できず、プラスチックの生産、使用を大幅に減らすしかないと考えているようです。再生材の利用促進などは、アリバイ作りのようなもので、本当はプラスチックの生産そのものを大幅に減らすしかないのかもしれません。
政府はこれまで二酸化炭素排出量を削減することに取り組んできたのでしょう。それを最新の研究で見直しが必要になってしまったのかもしれません。
しかし、取り返しのつかないことになる前に再検討し、国民が納得できるように説明していただかなければなりません。
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