著者は医学博士、管理栄養士で、大妻女子大学教授でもあります。地域医療活動として、「暮らしの保健室」(東京都新宿区など)やがん患者とその家族を支援する「マギーズ東京」などで、栄養指導の実践にも取り組んでおられます。本書の副題は、「低栄養を解決する長生き食べ方」です。
本書は、健康長寿のために中高年はどのような食事をすべきかを説いた本です。
「サルコペニア肥満」という言葉が紹介されています。脂肪が多すぎる状態のまま筋肉が落ちてしまう状態のことです。比較的新しい概念で、今後診断基準などが発表される予定だそうです。肥満のまま高齢になってしまうと、筋肉が落ち(サルコペニア)、そのことによって代謝が減ってさらに脂肪が増える悪循環に陥ります。体重やBMIにさほど変化がなくても、筋肉が減って脂肪が増え、体の組成が変化します。
中高年にとっては、低栄養も過栄養も、どちらもフレイル、要介護につながり、健康寿命を縮めてしまいます。本書は、そうならないための食事法を解説したものです。
本書の前半部分には、現在特に病気でない中高年が健康を維持するために何を食べるべきか、後半部分は、中高年が病気になって回復を目指しているときの食事や終末期の食事まで述べられています。
脂肪が多い状態のまま高齢になると、さらに筋肉が落ちるサルコペニア肥満となるおそれがあるので、適正体重に戻す努力は必要です。しかし、断食とか「〇〇しか食べないダイエット」などは、中高年はやってはいけないとのことです。断食などをすると体を動かすエネルギーが不足し、本来は身体づくりに使われるはずのタンパク質が使われてしまい、筋肉が維持できないので、さらに代謝が落ちてしまい、悪循環になります。
前半の、健康を維持するための食事は、比較的オーソドックスな内容が多い印象ですが、後半の病気を得てからの食事法に、私は興味を惹かれました。
例えば、がんの療養中、下痢、便秘、味覚障害などが現れることがあります。回復のためには適切に栄養を摂らなければなりませんが、そんな時の食事の工夫が紹介されています。これらは、自分の老後のためにも、家族の介護のためにも参考になりそうです。
栄養状態を把握するために毎日体重を測り、その推移を観察することが推奨されています。私は長生きしたいとは思っていないのですが、要介護になるのはできるだけ先延ばししたいと思っています。そのため、栄養、健康に関する本をいろいろ読んで参考にしていますが、本書も参考になりました。
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