タイトルを見ると「切れる老人」をセンセーショナルに取り上げた本のようですが、そうではありません。著者自身が「おわりに」の中で述べられているように、むしろ逆の立場で書かれた本です。
著者は、京都大学霊長類研究所研究員などを歴任された認知科学の研究者で、本書には「認知科学が解明する「老い」の正体」という副題が付されています。この副題が、本書の内容を表しています。
報道を見ていると高齢者の犯罪件数が激増しているかのような印象を持ってしまいますが、それは高齢者の人口が増えた結果を反映しているだけで、人口当たりの犯罪件数、特に凶悪犯罪は、若者のほうが多いとのことです。
ただ、犯罪に至らなくても、怒りを抑えられずに周囲に迷惑をかけ、醜態をさらしている高齢者が多いことは確かなようです。高齢になると前頭葉の機能が低下し、怒りやすくなる、あるいは怒りを抑えられなくなることは、実験結果に表れています。
本書の3分の2ほどは、高齢者の認知機能の低下、身体反応やそれを改善させるための方策等に関する様々な実験結果が詳しく紹介され、後の3分の1ほどが、日本の高齢者の社会的孤立の問題について述べられています。
その中で、興味深いことをいくつかピックアップします。
わざと怒らせる実験で、怒りを感じた被験者に、右手を強く握らせると攻撃性が高まり、逆に左手を強く握らせると攻撃性が抑制されるとのことです。また、仰向けに寝ころぶと怒りを感じにくいようです。これらは、若者も高齢者も共通です。私も腹が立った時に、やってみようかと思います。
20代くらいの若者では運動と認知能力の関係は見られないとのことですが、幼少期、学童期や中年以降、有酸素運動をすることによって脳の血管が増大し、認知機能も高く保たれるとのことです。これは、私も歩き続けなければいけません。
多くの学術研究の結果から、強い社会関係があると、年齢、性別や健康状態にかかわらず、死亡のリスクが50%も低下することが分かっています。強い社会的つながりがあると、ストレスにうまく対処できたり、良い運動や食事の習慣が維持されるためと考えられています。
私は、あまり長生きしたいとは思っていないのですが、認知機能を維持するため、周囲との付き合い、有酸素運動に励もうと思います。
![]()
にほんブログ村 ご覧いただきありがとうございます。
サイト案内(目次)へ
コメント