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 平成20年に行われた国家公務員退職手当法の改正までは、公務員が懲戒免職処分を受けると、退職手当も自動的に不支給でした。この改正で、「全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる」こととされ、「退職手当支給制限処分」という新たな手続が加わりました。

 地方公務員についても、各団体の退職手当条例で、同様の改正が行われました。

 

国家公務員退職手当法

(懲戒免職等処分を受けた場合等の退職手当の支給制限)

第12条 退職をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者(当該退職をした者が死亡したときは、当該退職に係る一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者)に対し、当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任、当該退職をした者が行つた非違の内容及び程度、当該非違が公務に対する国民の信頼に及ぼす影響その他の政令で定める事情を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる

 (1)  懲戒免職等処分を受けて退職をした者

 (2) 国家公務員法第76条の規定による失職(同法第38条第1号に該当する場合を除く。)又はこれに準ずる退職をした者

 退職手当管理機関は、前項の規定による処分を行うときは、その理由を付記した書面により、その旨を当該処分を受けるべき者に通知しなければならない。

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制度改正の理由

 制度改正前は、懲戒免職処分と退職手当全額不支給は不可分でした。そのため、退職手当が欲しい職員は懲戒免職処分取消請求を行う必要がありました。そうした中で、退職手当まですべて失わせることが気の毒なようなケースについて、免職処分が取り消されるケースもありました。

 退職手当は、これまでの勤務に対する対価という側面もあり、一度の不祥事による免職と切り離した方が、合理的です。

 

制度の運用

 この制度の運用としては、原則としては全額不支給とされ、一部不支給とするのは、「停職処分にとどめる余地があるところ、あえて厳しく免職処分とされた場合」等に限るとされています。実際にも、一部不支給処分は、極めてまれです。

 教員などでは、普通なら免職にまではする必要のない不祥事でも、「教壇に立たせるわけにはいかない」という判断から、免職とされることがあり得ます。一般職では、そのようなケースはまれであり、今後も、懲戒免職処分=退職手当ゼロが普通の状態が続くと思います。

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