愛知県豊橋市の新アリーナ建設計画をめぐり、建設推進派が多数を占める豊橋市議会と、昨年11月に計画の中止と既に締結済みの整備運営契約の解除を掲げて当選した市長が裁判で争うことになったようです。

県への審査の申立てから裁判へ

 報道によると、議会が「契約解除には議会の議決が必要」とする条例の改正案を可決したのに対し、市長は議決が法令に違反すると主張し、議決の取り消しを求めて愛知県に審査を求めましたが、知事は3月末にこれを棄却していました。市長側が、この条例を「議会の権限を越え法令に違反する」と主張したのに対し、県は「条例で契約解除を議決事項として定めることを否定する内容が法令などで明文化されていない」などとして棄却しました。

 県の裁定に不服な市長側は、今度は条例改正のの取消しを求めて名古屋地裁に市議会を提訴しました。提訴理由は、「議会の権限を越え法令に違反する」に加え、この条例改正が契約解除を阻止することが目的で「裁量権行使の逸脱または濫用にあたる」などのようです。しかし、この主張、私は無理があると思います。

「解除」という言葉に違和感

 一般に契約の「解除」とは、相手側の債務不履行とか相手側が暴力団関係者だったことが判明した等の契約書で定められた事由があった際に一方的に行うものでしょう。本件についてはそんな事由はないようで、一方的な「解除」はできません。「解除」などと言いつつ、実際は「合意による解約」でしょう。

 契約の相手側がこんな「解除」にすんなり応じるはずはありません。この契約のためにこれまで費やした経費はもちろん、将来得られるはずだった利益も補償しなければならないと思います。

 万一、市長側が裁判に勝ったとしても、「解除」は難しそうです。

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