主人公は75歳の元サラリーマン、年金生活者の男性で、一般的な「終活」に嫌悪感を抱いています。妻は終活に熱心で、主人公にも終活するよう迫っています。

 主人公の考えとして、次のようなことが語られています。「生きてる間は生きることを考える。」「何だって死ぬ準備に時間取るんだよ。」「生きているうちは、生活に「死」の匂いを一切いれたくない。死やその周辺について考えたくない。」

 しかし、母親の急死などをきっかけに、主人公は「終活」を決め、家族に宣言します。家族は一瞬喜びますが、その終活は残された人に迷惑をかけないための準備ではなく、生きているうちに自分の「人生にケリをつけること」です。「気がかりなことや、やり残したことや、カロート(墓の骨を入れる穴)まで持っていきたくないことに、ケリをつけること」です。

 彼が終活として選んだのは、高校生時代に仲間と一緒に憧れていた少女に更衣室で覗きをし、仲間が武勇伝として言いふらしたために話題になってしまったことです。それを彼女に謝罪したいというわけですが、彼女のほうは主人公のことなど覚えてもおらず、非常に迷惑に思います。そこから騒動が始まります。

 彼が終活を始めたことが、彼女や彼の昔の不倫相手の女性に波及し、さらに主人公の妻にも波及し、妻が「やりたかった」一人暮らしを始めてしまうというストーリーです。

 幸い、ひどく不幸になってしまう登場人物はいません。

 

 私は以前から終活を進めていますが、家族に迷惑をかけないための準備ばかりが先行しています。今は、一般的な「終活」も、心残りがないように自分のやりたかったことをやってしまうことも含まれています。しかし、「やりたかったこと」が、誰かに復讐したいとか他人を巻き込むようなことである場合は、注意しなければなりません。
 私も今後、自分がやりたかったことにも目を向けていくことにしていますが、家族や他人に迷惑はかけないようにしたいものです。
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