私は自身のメンタル面はほとんど心配していないのですが、この著者の前著がメンタルのことだけでなく、身体の健康についても詳しく説明されていて、とても参考になったので、本書も手に取りました。

 「メンタルを強くする食習慣」(飯塚浩)を読んで 参照願います。

 前著と同様、本書も表紙の題名の頭に「小さな町の精神科の名医が教える」というフレーズが付いています。著者は、精神科を専門とする医師ですが、各種病気の栄養療法の学会でも活躍しているようです。本書も、メンタルにとどまらず心身全体の健康が解説されていて、さらには日本人全体の健康についての警鐘を鳴らしています。

 内容を端的に要約すると、小麦(グルテン)、乳製品、植物油、精製糖が、いかに日本人の健康を蝕んでいるか、詳細に説明されています。欧米人が大丈夫だから日本人も大丈夫だとは限らないようです。

 例えば、哺乳動物は一般に、離乳期を過ぎると乳糖を消化するラクターゼという酵素が非活性化します。日本人の約90~95%も遺伝的にラクターゼ非持続型ですが、北西ヨーロッパではこの型は成人の10~20%です。牛乳を飲むとお腹が緩くなる日本人が多いのは、そのためです。ただ、ラクターゼ非持続型でも腸内細菌のビフィズス菌等が多少は分解してくれるのですが、あまり負荷をかけすぎると不調を起こします。

 腸の粘膜は、消化された栄養素や水分だけを血中に受け入れ、未消化のものや毒素を通さないバリアーですが、小麦のグルテンはこのバリアーを緩めてしまってリーキーガット(腸漏れ)を起こします。すると体内に取り込むべきでないものが血中に入り、様々な不調を起こします。グルテンが血中に入ってしまうと、今度は抗原として働き、免疫反応を起こします。この免疫反応は、白血球の型によって個人差が大きく、なんともない人がいる一方、小腸の絨毛を破壊してしまうセリアック病、アトピー性皮膚炎や花粉症のようなアレルギー症状、関節リウマチや1型糖尿病のような自己免疫疾患を引き起こすことがあるとのことです。悪いことに、戦後の品種改良で小麦中のグルテン含有量が戦前比20~30%ほど増え、おいしくはなったようです。しかし欧米でもセリアック病が急増し、グルテンフリー食が推奨されるようになっています。

 日本人に多い白血球の型ではアレルギー症状を起こしやすいとのことです。花粉症が国民病のようになってしまった今、食料安全保障の対策も兼ねて、米飯中心の食生活への回帰を国が積極的に進めるべきでしょう。

 ここでは書ききれませんが、乳製品中のカゼイン、植物油、精製糖、交感神経の緊張の継続も様々なメカニズムで疾患を引き起こすことが解説されています。これらは、戦後の急速な食生活や社会の変化で、日本人に様々な疾患を招きました。昔は全国一の長寿県だった沖縄が、あっという間に全国中位になってしまったのは、急速な食生活の変化が原因です。
 これらを完全に断つことは困難ですが、事実を知り、少しでも対策を講ずることは必須であると感じました。
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