文系ですが数学は嫌いではありませんでした。でも近年は脳の衰えを感じ、危機感を覚えています。鍛え直す取っ掛かりとして本書を手に取りました。

 著者は、塾講師を経て、YouTubeで数学解説の動画をたくさん配信し、いくつかの著作もあります。

 「はじめに」の中で、塾講師のときに生徒から受けた「数学って将来なんの役に立つのですか?」という質問が紹介されています。それに対しては、数学を直接使って仕事をしている人はわずかだけれど、数学で最低限の論理力、思考力を身につけないと社会で適応することが困難になるとされます。つまり、数学を駆使して科学技術の発展に貢献する人はわずかでも、我々一般人も筋道だった考え方を身につけるために数学を学ばなければなりません。だから、公式を丸暗記してそれにあてはめて答えを出すことを訓練するような数学の勉強は、無意味です。

 私は聞いたことがありませんが、一部の塾では「はじき」「くもわ」などという呪文を教えているようです。「はじき」とは、上段に「距離」、下段に「速さ」「時間」を置いた図で、問題文から数字を拾ってこれにあてはめ、距離を求める時は「速さ」×「時間」、速さを求める時は「距離」÷「時間」、時間を求める時は「距離」÷「速さ」です。「くもわ」も同様に上段に「比べる量」、下段に「もとになる量」「割合」を並べたものです。こんなのを憶えても、捻った問題には対応できないので、本質を捉えて考えることが推奨されます。

 例題もいくつか載っています。「A、B、Cの3人が100m競走をしました。AはBに20m差を付けてゴールし、BはCに20m差を付けてゴールしました。AはCに何mの差をつけてゴールしたでしょうか?」うっかり40mと答えてしまいそうです。(正解は36m)

 数学が苦手な人の特徴8つと、それを裏返した「数学脳」に変えるための8つの心得が紹介されています。最も大事なのは、公式を覚えるのではなく、なぜそうなるのかを考えることのようです。定理や公式も、単に覚えるだけでは忘れてしまい、応用も効かないので、それを証明したり公式を導くことで、考えて工夫する力を付けなければなりません。これらのことは、私は中学生のころは実践していたので、今からでも鍛え直すことができるかもしれません。
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