『いかがわしい者たちが主役の「インターネット産業」30年史』という副題です。本書は次世代を担う若者に向けたメッセージで、私のような高齢者は読者として想定されていないようです。でも、私は読みながら、「このころ私も初めてWindowsパソコンを買ったな」とか「私もスマホに切り替えたな」など、この30年を懐かしく振り返りました。

 著者はインターネットに夢中になって在学中の1995年に「電脳隊」を起業し、それがヤフーに合併されて、Yahoo!ニュースなど数々の事業を手掛けてこられました。本書は、2026年6月にLINEヤフー代表取締役会長を退任された直後に執筆、刊行されています。新聞で孫正義氏、三木谷浩史氏らが本書を推薦しておられるのを見て、読んでみたくなりました。

 1990年代前半に産声をあげたインターネットは、この30年間、我々の暮らしを激変させました。30年前、パソコン(PC9800)は県庁で仕事に使っていましたが、ネットや携帯電話などはまだありませんでした。変化の速さ、激しさにあらためて驚きます。

 著者は、インターネットの歴史は終わってAI時代が始まっており、このインターネットの30年は真打ちであるAIを迎えるための地ならしに過ぎなかったと言います。今のAI時代の幕開けの混とんとした空気が30年前と似ており、「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」ので、この30年間に起こったことが形を変えて起こり得ると考えておられます。

 7つの激変」とは、検索、SNS、動画、通販、広告、文化、起業の7つの分野の激変で、各章で描かれています。本の冒頭(「はじめに」や目次の前)に、各章の内容を表す短いフレーズと要約が記されています。例えば「1 検索」は「誰もカネになると思わなかった検索が、生成AIを生み出すまで」「検索は世界を便利にしただけではなく、人間の欲望と限界を可視化し、人力の時代を終わらせ、予測の時代を呼び込んだ。そして、その変化の連続の先に、いまの生成AIがある。」といった具合です。

 「5 広告」は「センスと勘だよりだったWeb広告が、データと数学に取って代わるまで」「文系エリートが支配していた広告の世界に、Googleはアドテクという名の数学を持ち込んだ。その瞬間、広告は科学へと変貌。少数が独占していたパワーが「全人類」に開放された。」です。うまく要約されていると思います。
 私はITも十分理解していないのに、これからは生成AIも少しは使えなければ、生活が不便になりそうです。退屈している暇はありません。
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