私は年甲斐もなくファンタジーが好きで、仕事を引退したら上橋さんの作品を読むことを楽しみにしていました。「獣の奏者」に続き、本書は私が二つ目に拝読した作品です。2016年にNHKが綾瀬はるかさんの主演でこの作品を放送しましたが、私は残念ながら視聴できませんでした。
「獣の奏者」(上橋菜穂子)を読んで 参照願います。
腕の立つ女用心棒バルサが、川に落ちた新ヨゴ王国の第二皇子を偶然に居合わせて救うところから物語がスタートします。この皇子チャグムは、水を守る精霊(ニュンガ・ロ・イム)の卵を体に産みつけられてしまったため、それが生まれるまで守らなければならない「精霊の守り人」の運命を背負っています。もし卵が卵食いにやられてしまって無事に産むことができないと、現実世界では大干ばつに襲われます。私は女用心棒が「精霊の守り人」かと思っていましたが、皇子のほうでした。また皇子は、ある事情から父王からも命を狙われているので、バルサ達は王からの刺客(狩人)と卵食いの二つの敵からチャグムを守らなければならず、戦います。
この世界は、現実世界(サグ)と精霊たちが住む世界(ナユグ)が重なり合う二重構造になっています。ニュンガ・ロ・イムもその卵を狙う卵食いもふだんはナユグに存在していますが、時折り現実世界に現れて干渉します。バルサもチャグムもナユグと自由に行き来できないので、苦しい戦いになります。バルサは、ナユグと交信できる魔術師らの助けを借りながら、王に命じられた狩人たちや卵食いからチャグムを守るため戦います。途中で事情が変わり、狩人たちがバルサらの味方になり、協力して卵食いと戦います。なかなか複雑な設定です。
さすが文化人類学者の上橋さんの作品で、ファンタジーなのにリアリティーを感じます。「守り人シリーズ」など、この著者の作品を今後も読むのが楽しみです。
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