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現在の公文書作成(起案文書)のスタイル
起案のやり方は、技術の進歩に伴って変化してきました。特に影響が大きかったのは、昭和50年ころから進んだ複写機の導入と、昭和60年代から進んだワープロ、パソコンの導入です。
昭和40年代までは、万年筆を使って全て起案用紙に手書きで書かれることが普通でした。私は、この時代の実体験はありませんが、以前の起案を見る機会も多かったので、知っています。また、私の在職していた県庁では、起案用紙には、決裁欄や担当者の所属、姓、職名、標題、本文等を書く欄がある1号様式と、本文が1枚(裏表)で収まらなかった場合に続きを記載するための2号様式がありました。決裁が終わると、市町村へ通知する文書等は、浄書係が決裁済みであることを確認し、タイプライター等で浄書してくれました。
複写機が入ると、1号様式に伺い文と概要だけ書き、詳細は別紙に記載するやり方が主流になりました。私も、経緯や理由などは、白い原紙に鉛筆で書き、それを複写して添付していました。だから、2号様式などはほとんど使用されなくなり、30年ほど前から見かけなくなりました。
ワープロ等が普及すると、相手方へ発出する文案等も最初からワープロで打って添付するようになりました。もちろん、経緯や理由の部分は、ワープロ等で作成した別紙を添付します。
昔の起案は、修正をしようとすると大変でした。今は、決裁欄のある1枚目に記載されていること以外の修正は、簡単にできます。
「修正」「訂正」はしばしば行われている
決裁中の起案が、最終決裁までに上司が手直しを加えることは、当然のことです。
決裁後の起案文書でも、訂正、修正は、時々行われていると思います。
例えば、決裁後に、相手方に文書を出そうとしたときに誤字や脱字に気づいた時などです。こんな場合には、上司、決裁権者にも了解を求めずに担当者の一存で訂正しているのではないかと思います。
また、状況の変化により、内容を変更しなければならないこともあります。このような場合、決裁権者の了解を得て決裁文書を差し替えたり、以前の決裁を廃棄して新たに決裁を回したりすることも、時々行われています。
このような行為を「改ざん」「書き換え」等として非難することはできないと思います。
「改ざん」と「訂正」「修正」の違い
「改ざん」として非難すべきものとそうでないものの区別は、なかなか難しいと思います。感覚的には分かっても、区別する判断基準の明示は、厄介です。
多くの場合、決裁権者が了解して修正するなら、問題はないはずです。決裁権者は、もともとその事柄を決定する権限を持っており、その権限の下に、前の決裁を取消し、新たな決裁をすることに問題はありません。しかし、今回の近畿財務局の決裁文書の場合、仮に決裁権者(異動があれば、新旧両方の局長)が了解したうえで書き換えたとしても、問題がありそうです。
施行前か施行後かで区別するのが適当ではないかと思います。その起案文書による事務などが実施されてしまった後には、絶対に書き換えてはいけないということなのだろうと思います。
施行後、何か前提条件に誤りが見つかったとしても、その誤りに基づいて意思決定された事実を残さなければなりません。単なる誤字、脱字などであれば、施行後に訂正することに何の意味もないので、それを禁じても問題は生じません。
既に施行、実施された公文書をその後に修正しようとするのは、何か意思決定の理由をごまかすとか、ミスを隠そうとする意図としか考えられないのではないかと思います。
今、特に定義もされずに文書の「改ざん」「書き換え」が非難されていますが、どういう行為が非難される行為なのか、違法になるのかをきちんと整理すべきだと思います。それを明確にしなければ、ルール化もできず、公務員としても対応に困ります。
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