ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 地方自治 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

カテゴリ: 地方自治

 国会議員の政治団体に寄付した個人献金者の住所表記が、その個人の住所ではなく企業の所在地だったりする例が相次いで発覚し、実態は企業献金だったと疑われている問題、県知事20人の団体でも同様の問題があることが共同通信の調査で判明しました。

 共同通信が5月4日までに各団体の政治資金収支報告書を独自に調べたところ、2021~2023年に受けた個人献金の中に、寄付者が代表や役員を務める企業・団体の所在地などが書かれているケースが計610件(総額3629万1千円分)見つかったとのことです。

 また、長野県知事の資金管理団体が、県内の建設会社の代表ら26人から同じ日に個人献金計33万円を受けていたことが政治資金収支報告書で分かったことも報じられています。寄付の日付は2022年の知事選期間中で、複数の代表が、所属する長野県建設業協会長野支部が寄付を取りまとめたと証言しており、事実上の団体献金だったと解することが自然です。

やはり個人献金も優遇してはならない

 今回の知事らのケースや先般の国会議員らのケースは、住所等の記載が間抜けだったために発覚しました。しかし、アホだからたまたま発覚しましたが、きちんと記載されていたら見破るのは困難です。個人献金を偽装した企業・団体献金は、今後も完全には防ぎきれないでしょう。

 さらに、こんな悪辣なことをして所得税の税額控除まで受けているかもしれません。真面目に納税しているサラリーマンは馬鹿らしくなります。

 かといって、憲法上の問題もあるので、個人献金は禁止できません。せめて、所得税の優遇措置などは廃止すべきでしょう。そもそも、個人の政治献金も、自分に都合のいい政治をやらせるための賄賂のようなものです。

税務署は徹底調査を

 法人の役員に対する給与(報酬)は、損金に算入するためには原則として毎月同額(定期同額給与)でなければなりません。利益操作をさせないためです。ある月に役員に政治献金させるために支払額を増やしたりすれば、定期同額給与に該当しなくなり、損金にできずに課税対象になります。

 おそらく、個人献金を偽装して政治家に献金しようとする企業等は、その辺の帳簿操作は抜かりなくやっていると思いますが、念のため、税務署は今回の関係企業を徹底的に洗ってみていただきたいと思います。間抜けな住所を記載するくらいですから、抜けているかもしれません。
 今回に限らず、政治家に対する個人献金をした経営者等の所属企業に対しては、もれなく税務調査が付いてくるという扱いがいいだろうと思います。
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 愛知県豊橋市の新アリーナ建設計画をめぐり、建設推進派が多数を占める豊橋市議会と、昨年11月に計画の中止と既に締結済みの整備運営契約の解除を掲げて当選した市長が裁判で争うことになったようです。

県への審査の申立てから裁判へ

 報道によると、議会が「契約解除には議会の議決が必要」とする条例の改正案を可決したのに対し、市長は議決が法令に違反すると主張し、議決の取り消しを求めて愛知県に審査を求めましたが、知事は3月末にこれを棄却していました。市長側が、この条例を「議会の権限を越え法令に違反する」と主張したのに対し、県は「条例で契約解除を議決事項として定めることを否定する内容が法令などで明文化されていない」などとして棄却しました。

 県の裁定に不服な市長側は、今度は条例改正のの取消しを求めて名古屋地裁に市議会を提訴しました。提訴理由は、「議会の権限を越え法令に違反する」に加え、この条例改正が契約解除を阻止することが目的で「裁量権行使の逸脱または濫用にあたる」などのようです。しかし、この主張、私は無理があると思います。

「解除」という言葉に違和感

 一般に契約の「解除」とは、相手側の債務不履行とか相手側が暴力団関係者だったことが判明した等の契約書で定められた事由があった際に一方的に行うものでしょう。本件についてはそんな事由はないようで、一方的な「解除」はできません。「解除」などと言いつつ、実際は「合意による解約」でしょう。

 契約の相手側がこんな「解除」にすんなり応じるはずはありません。この契約のためにこれまで費やした経費はもちろん、将来得られるはずだった利益も補償しなければならないと思います。

 万一、市長側が裁判に勝ったとしても、「解除」は難しそうです。

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 兵庫県議会の百条委員会が3月4日、斎藤知事のパワハラ疑惑等についての調査報告書を公表しました。5日の県議会本会議で報告されるとのことです。

 報告書では、告発文書で指摘されていた行為について検証し、「机をたたいて激怒」など職員への知事の言動を事実と認定し、「パワハラ行為と言っても過言ではない」と結論付けています。また、それらのパワハラや一部贈答品の受領などの疑惑について「一定の事実が確認された」とし、この内部告発への対応について「客観性、公平性を欠いており、行政機関の対応としては大きな問題があった」と総括しています。

 斎藤氏には、「県の混乱と分断を一刻も早く解消するため、県民に説明責任を果たす」ことを求めています。

知事の対応は?

 百条委員会の報告には法的効力はなく、知事の対応が注目されましたが、5日の午後の囲み会見では、「報告書は1つの見解として受け止めたい。」としながら、「これまでの対応は適切だった。」と従来の見解をあらためて繰り返しました。結局、黙殺するようです。居座って時が経つのを待つつもりでしょう。

 次は、SNS戦略等に係る公選法違反疑惑や、優勝パレードへの寄付金に公金を還流させた疑惑等について、捜査が進むのを期待しています。疑惑だらけの知事が居座ったままでは、兵庫県政が落ち着きを取り戻すことはできそうにありませんから。

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 先月(2025年2月)、佐賀県が職員二人を能力不足を理由として分限免職処分にしたことが話題になりました。処分自体は2024年度でしたが、公になって話題になったのが先月ということです。

 公務員といえど、分限免職は珍しいことではありません。「心身の故障により職務の遂行に支障がある」ことによる分限免職は、時々あります。社会保険庁が廃止された際には、多くの国家公務員が分限免職になりました。

 協調性がないためにトラブルを繰り返した職員が、適格性を欠くとして分限免職になった例も、私の古巣の県庁でも2例ほどありました。

 それらに比べて、能力不足による分限免職は、例は少ないと思いますが、無かったわけではありません。

能力不足による分限免職

 地方公務員でも20年ほど前から導入が始まり、10年ほど前から本格実施されている人事評価制度(能力評価と業績評価)では、低評価が続く場合は分限処分(降格等)にすることを、いわば前提としています。酷い場合には免職にもなります。

 私が県の教育委員会事務局に在職していた時も、能力不足の教員は県の教育センターで再教育を受けさせられ、それでも復活できなかった場合は自発的な退職を促されていました。応じなければ分限免職になったでしょうから、ほとんどの者は退職に応じていたと思います。

 行政職員の場合は、教員等よりさらに分限免職の例は少ないと思います。古巣の県庁でも、戦力外の職員を何人も抱えていましたから・・・。
 しかし、せっかく人事評価制度を導入しているのですから、明確なルールの下、明らかに能力不足の職員は分限免職の処分を行うべきだと思います。ただし、当局者による恣意的な運用がされないよう、チェック機能が必要です。

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 新潟県の市民団体「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」が、県民投票実施のための条例制定を求めて集めた署名簿を、全ての市町村選挙管理委員会に提出したことがネットで報じられました。集まった署名は、直接請求に必要な数の4倍を超えているとのことです。

 市町村選挙管理委員会での審査が終わり、直接請求が正式に受理されれば、4月にも定例県議会で審理されるようです。

どうせ自民党が反対するだろうが

 新潟県の花角知事は、再選された選挙の際などに、再三、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、県独自の検証作業を進めた後に「責任を持って私の考えを県民に説明し、県民の意思を確認する」と説明していました。「県民の意思を確認」する手段として最もたしかなのは、県民投票であることは間違いありません。

 しかし、これまでの状況から判断すれば、この県民投票条例案は自民党の反対で潰される公算が大きいでしょう。

 自民党、再稼働推進派の言いそうなことは予想できます。まず、原発は国が責任をもって決めるべきことで、地方が決める問題ではないということです。しかし、こんな言いぐさは地方自治を踏みにじるものです。国としても大きな問題でしょうが、住民にとっても生命の安全にかかわる大問題であり、自分たちで決めて悪いはずがありません。

 もう一つ、県議会という住民の代表が議論して決めれば、住民投票は必要がないという意見です。しかし、知事選にしろ県議選にしろ、原発再稼働の賛否を正面から争点として争われてはいなかったはずです。一般に、原発推進派は、原発問題が選挙の争点になるのを避けようとする傾向にあります。せいぜい、「原発の安全性は国が責任をもって住民の理解を求めなければならない」等と国に丸投げする程度でしょう。

 住民投票になれば、負ける可能性が大きいと思っているからでしょう。卑怯な態度です。

 新潟県は、以前、旧巻町(今は新潟市の一部)で、わが国で初と言われる条例による住民投票で、東北電力が計画していた原発を葬りました。地方自治の歴史の中で、輝いています。県議会で正々堂々と(国に責任を丸投げせず)議論され、県民投票が実施されることを期待しています。

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