ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 長期継続契約 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

カテゴリ: 長期継続契約

   サイト案内(目次)

 また41日が近づいてきました。今年(平成30年)の41日は日曜日で、普通の役所は閉庁で契約の締結などできないはずですが、全国の地方公共団体で大量の41日付けの契約書が作成されると思います。

 

 私の属する小規模自治体では、かねてから日付を偽った契約について問題意識を持ってきましたが、ようやく41日付け契約を一掃する準備を完了しました。厳密に言うと、契約書を作成しなければならないような契約については、41日には締結しないということです。今年は日曜日なので、ないと思いますが、平日の場合、少額の事務用品を発注することなど(契約書の作成を省略できる範囲の契約締結)はあり得ます。契約書を作成しなければならないような契約は、4月1日にはしないということです。

 41日の奇跡 虚偽公文書作成、大量発生の予感」参照

 

日付を偽った契約一掃の手法

 41日から役務の提供を受けることが必要な、庁舎管理、警備、機器やソフトの賃借、維持管理などの契約、NHKの受信契約は、すべて条例等で長期継続契約に指定し、前年度中に契約できるようにしました。これにより、新年度分は前年度の2月には入札手続を始めており、翌年度予算が議決される日以後、前年度中に契約締結をすることとしています。

 また、職員研修などは、その年度に入ってから委託したのでは、講師の確保ができません。これまでは、ヤミ、口頭で発注しておいて4月の初旬に正式に契約していたのですが、債務負担行為を設定し、前年度のうちに正式に発注、契約するようにしました。

 

このようにした理由

 過去の記事でも、再三問題にしていたように、民間では問題にならない契約書の日付遡りは、公務員にとっては犯罪行為です。業者との癒着の元にもなり、4月初めに業務が集中する元凶にもなります。

 せっかく長期継続契約、債務負担行為という、簡単に前年度中に契約締結ができる手段があるのですから、使わない手はありません。

 私の古巣の県庁では、いまだに犯罪行為(契約日付の遡り、長期継続契約等の手続によらずに入札等を前年度中に実施など)を続けています。県庁でも正そうと思ったのですが間に合わず、改善できませんでしたが、再就職した現在の小規模自治体で、適切な会計制度を構築できました。そのことを喜び、かつ、誇りに感じています。

 

 「長期継続契約をもっと有効に活用せよ!」ほか、「長期継続契約」カテゴリの各記事を参照願います。


   サイト案内(目次)

 NHK受信料について、
以前在職していた県庁も同様だったのですが、私が現在所属している小規模自治体でも、根拠なく年度をまたいで契約している実態でした。また、口座自動振替にすれば受信料が多少安くなるので、その2点が気になっていました。このたび(平成2912月)、長の御理解をいただき、適正化できたので、御報告させていただきます。

 

長期継続契約の対象に指定

 NHK受信契約は、4月から1年ごとの契約にしたとしても、その更新の合意は3月末までにされているはずであり、年度をまたがざるを得ません。しかし、自治法第234条の3でも自治令第167条の17でも、NHK受信料は対象とされておらず、自治体が条例で長期継続契約に指定するか、債務負担行為を設定しなければ、年度をまたいで契約できません。

 当自治体の「長期継続契約が締結できる契約を定める条例」では、施設等の維持管理や機器等の賃貸借に加え、「その他長が特に必要と認める契約」という包括的な号が設けられており、これに基づいて「日本放送協会との放送受信契約」を指定しました。

 私がかつて属していた県庁など、他の自治体では財務規則で追加できるような条例になっている場合が多いので、その場合は財務規則を改正すればいいわけです。
 なお、自治法に精通しておられる方は、長期継続契約は各年度の予算の範囲内で役務の提供を受けなければならないことを危惧されるかもしれません。しかし、このような運営費は、暫定予算でも認められるべきもので、所要の予算が議決されないというのはありえない事態だと思います。また、万一の場合は、テレビを除却(受信料のかからない状態に)する覚悟です。

                          

資金前渡の対象に指定

 多くの自治体では、電気、ガス、水道などの公共料金は、資金前渡として資金前渡職員の口座に振り込み、その口座から自動引き落としとしています。しかし、自治令第161条第1項の各号を見ても、NHK受信料は該当せず、他の公共料金と同じ扱いにしようとすれば、第17号に基づいて、自治体の規則(財務規則等)で指定しなければなりません。

 先日、財務規則の改正手続を終え、NHK受信料を資金前渡の対象に加えました。


この制度改正をした理由

 この規則等の整備によって安くなる受信料は、年間わずか550円です。しかし、一度やっておけばずっと有効であること、年度をまたぐ契約を適正化すべきことから、実施しました。もっと大胆に、公金口座から直接自動引き落としを容認している自治体があることも承知していますが、違法っぽいので、次善の手法にしました。(このことについては、いずれ別稿で)
 「地方自治体の口座自動振替の可否」参照

 地方自治法もNHKも総務省の所管です。長期継続契約にしろ資金前渡にしろ、法律、政令でNHK受信料を初めから対象にしなかったことは、立法ミスのような気がしますが、自治体でできる改善は、今後も続けたいと思います。

 

〈参照条文〉

地方自治法

(長期継続契約)

234条の3 普通地方公共団体は、第214条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。

地方自治法施行令

(資金前渡)

161 次に掲げる経費については、当該普通地方公共団体の職員をして現金支払をさせるため、その資金を当該職員に前渡することができる。

1~(8)、(10)~(12)、(15)(16) 略

(9) 官公署に対して支払う経費

(13) 電気、ガス又は水の供給を受ける契約に基づき支払をする経費

(14) 電気通信役務の提供を受ける契約に基づき支払をする経費

(17) 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上現金支払をさせなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

(長期継続契約を締結することができる契約)

167条の17 地方自治法第234条の3に規定する政令で定める契約は、翌年度以降にわたり物品を借り入れ又は役務の提供を受ける契約で、その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに支障を及ぼすようなもののうち、条例で定めるものとする。



   サイト案内(目次)へ

 
長期継続契約は、長期の契約であることが趣旨、目的ではなく、年度をまたぐことを趣旨、目的とすることをストレートに宣言しているのが、山口県の「長期継続契約を締結することができる契約を定める条例」です。県を見習って、山口県内の自治体も同様の定め方をしているところが多いようです。

 

山口県「長期継続契約を締結することができる契約を定める条例」

地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百六十七条の十七の条例で定める契約は、次に掲げる契約とする。

一 物品を借り入れ又は役務の提供を受ける契約のうち、その契約の性質上一年を超える期間を定めて契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに支障を及ぼすようなものであって、次に掲げるもの

 イ 電子計算機若しくはその関連装置又は情報通信機器を借り入れる契約

   以下、ロ~ネ略

二 四月一日から役務の提供を受ける必要がある契約であって、当該契約の期間が二年度にわたらないもの

 

 この条例の第2号は、明らかに、4月1日から役務の提供を受けなければならないような契約は、前年度中に契約手続をするために、長期継続契約に指定しています。これこそ、長期継続契約の趣旨、目的を正しく理解し、活用しようとしている立派な条例です。

 長期継続契約であっても事業年度開始前の契約手続は不可だとか、長期(複数年)の契約でなければ該当しないなどという馬鹿げた運用をしている自治体の制度担当者は、山口県を見習っていただきたいものだと思います。

   サイト案内(目次)へ

 法令を解釈する場合、その法令が合理的に正しく制定されているという前提で解釈する必要があります。

 毎年41日から必要なサービスについての契約であれば、3月末までに締結する必要があります。それができないような制度をわざわざ創設したと考えることはできません。

 立法者の意思は明確です。

 

自治法第214条(債務負担行為) 歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。

自治法第234条の3(長期継続契約) 普通地方公共団体は、第214条の規定にかかわらず、     翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。

 

事業年度開始前の契約を否定するような文言はない

 自治法第234条の3では、この制度は、債務負担行為の例外として定められています。つまり、債務負担行為の手続をせずに、翌年度以降にわたり役務の提供を受ける契約を締結できるということです。契約時点からみて、翌々年度に役務の提供を受けて債務を負担することと同様、翌年度に役務の提供を受けて債務を負担することももちろん認められます。当年度の歳入歳出予算に載っているかどうかなど、考慮する余地はなく、そのように読める文言もありません

 

 以上のように、制度創設時に対外的に説明した趣旨、目的が、あいまいにされていたため、運用について誤解が生じ、41日以降でなければ契約を締結できないとか、長期(複数年)の契約でなければならないなどという馬鹿げた解釈が生まれてしまったのでしょう。

   サイト案内(目次)へ

「逐条地方自治法」の説明

 長期継続契約については、自治省、総務省が代々監修している「逐条地方自治法」にその制度創設の趣旨、目的が次のように説明されています。少し長くなりますが、引用します。

「改正前においてはこのような契約は、普通地方公共団体が毎年更新を繰り返していると解するよりほかになかったのであるが、特に電気、ガス、水の供給又は電気通信役務の提供を受ける契約すなわち電燈電力、ガス、水道、電信電話等のような契約は、およそ普通地方公共団体の存続する限り、一日も欠かすことのできないものであり、個人の私生活に例をとれば、それはいわば生活をするうえで絶対的に必要なサービスであるから、毎年更新を繰り返すまでもなく、長期にわたって契約を締結できることとするのが合理的であることはいうまでもない。これらの契約については、別段第214条の規定による債務負担行為として予算でこれを定めることなく、直接本条の規定によってこれを締結することができるのである。」

 

この解説は、制度創設直後の昭和40年に発行された版から最新版まで変わっていません。要約すると、「長期にわたって不断に必要なサービスに関する契約は、毎年更新を繰り返すまでもなく、長期にわたって契約を締結することを容認すること」が趣旨、目的であると言っています。

 

もっとも本質的な部分をぼかしている!

「逐条地方自治法」の解説は、意図的かどうかは分かりませんが、重要な言葉が省略されていて、正確ではありません。それが、現在に至るまでこの制度の運用について誤解を生む要因になっていると思います。

昭和38年の制度化以前、自治体では毎年、年度初めに電力、水道等の契約を繰り返していて煩瑣であったなどという実態はありませんでした。したがって、煩瑣の「解消」が本来の目的であったはずはありません。制度化以前も、何らの手続もされないまま年度を超えて契約が継続され、料金の支払手続だけが行われていたことは間違いありません。

つまり、更新を繰り返す煩瑣を避けるためではなく、その違法状態の解消、適法化が本来の目的と考えられます。この本来の目的を正直に表明すれば、これまでが違法状態であったことを告白することになり、正確な表現を避けたものと推察されます。「逐条解説」中の「改正前においてはこのような契約は、普通地方公共団体が毎年契約を繰り返していると解するよりほかになかったのであるが、」という表現は、実際はそんな手続をしていなかったことを示唆しています。

 

毎年41日に契約更新を繰り返しても違法

 さらに、実際に毎年契約更新を繰り返したとしても、それが4月に入ってからでは違法状態の解消にはなりません。電気などのサービスは、職員が登庁する前から必要で、適法化するには年度開始前の契約締結を容認する以外にありません。この制度は、年度開始前の契約締結を容認することも本来の目的としていたと解釈せざるをえません。

 

年度開始前の契約締結を容認することによる違法状態の解消が制度創設の目的であったことは、不動産の賃借を考えても一層明確です。不動産の賃借は毎年4月1日から1年間の契約が繰り返されることが多かったと考えられますが、毎年4月1日午前0時に契約できるはずがなく、年度初めには未契約状態での不動産の使用、契約日付の遡りが繰り返されていたことは疑いがありません。これについて複数年の契約を認めたとしても、何年かに一回は違法状態が繰り返されることになり、それを回避するためには、事業年度開始前の契約を認めるしかありません。

 制度創設時には、立法者は、条文のとおり、債務負担行為と同様、役務提供年度の前年度の契約締結を容認し、これを重要な目的としていたことは疑いありません。我々公務員にとっては、当時も今も、事務煩瑣の解消などよりも違法状態の解消の方がずっと優先されるべきことは、言うまでもありません。

↑このページのトップヘ