ウクライナへのロシアの侵略を巡り、11月20日、米国がロシアとまとめた新たな和平案をウクライナに提示したことが報じられました。和平案の詳細はウクライナも米国も明らかにしていませんが、米アクシオス、英フィナンシャル・タイムズ、ロイター通信などは情報筋からかなりの情報を得ているようです。
それによると、ウクライナがまだ維持している東部ドンバス地方を放棄し、軍の規模を大幅に縮小し、兵器の多くを諦める内容になっていると報じています。また、ウクライナがNATOに加盟しないことを誓うとの内容も盛り込まれているとされていますが、同国はこれまで、この条件を拒み続けてきました。さらに、ウクライナ軍の兵力は60万人に限定されるという内容もあるようです。
ウクライナは「信頼できる安全の保証」を得るとされていますが、具体的な内容は示されていません。一方、ロシアについては、制裁解除や主要7カ国(G7)に招かれてG8の一員に復帰し、「グローバル経済に再統合される」とされているばかりか、戦争犯罪調査の打ち切りまで盛り込まれているようです。
よくもまあ、これほどロシアの言い分ばかりを羅列したものを「提案」などと言えたものです。ウクライナのゼレンスキー大統領は、戦争終結に向けて「アメリカの構想」で動く準備があるとしていますが、国民に向けては「非常に難しい選択に直面するかもしれない。尊厳を失うか、重要なパートナーを失うかという選択だ」と演説し、苦しい胸の内を述べています。ゼレンスキー大統領の苦悩、悔しさは、想像するだけで胸が苦しくなります。
この「提案」は、ヨーロッパ各国はもちろん、米国共和党内からさえも反発があり、多少は是正されるでしょうが、結局は侵略者であるロシアに対して大きな罰は下せないのでしょう。
旧ソ連がウクライナ領内に残した核兵器をウクライナに放棄させた際、ブダペスト覚書によって、米国、ロシア、英国はウクライナの領土の一体性について武力を行使しないことを保障しています。ロシアは、この覚書を破って侵略してきたのです。また、米国共和党は、ウクライナがNATO加盟を目指すことを助長していました。ロシアも米国も、ウクライナに対して、騙したりはしごを外したりしているのです。ゼレンスキー大統領はじめウクライナの人々は、さぞ悔しいことでしょう。
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