ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> エマニュエル・トッド : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:エマニュエル・トッド

 本書は、2025年10月に朝日新聞社が開催した「朝日地球会議2025」という国際フォーラムでのインタビュー、パネル討論等を記録したものです。エマニュエル・トッド、オードリー・タン、モニカ・トフト各氏らへのインタビューやパネル討論、佐橋亮、錦田愛子、望月洋嗣氏によるパネル討論等が掲載されています。

 トッド氏は地球会議の中で「(米国は)そのうちベネズエラも攻撃するかも」と発言していましたが、この予言も今年(2026年)1月4日に現実化しました。本書で述べられているトッド氏の見解は、当然ながら氏の著作「西洋の敗北」等との重複が多いのですが、別の言い方での説明などで理解が深まります。

 「西洋の敗北と日本の選択」(エマニュエル・トッド)を読んで 参照願います。

 本書の半分以上はトッド氏関係のものですが、それ以外で私が最も興味を惹かれたのはオードリー・タン氏の話です。氏のことは、台湾のデジタル担当大臣としてIT技術を使ってコロナを抑え込んだことを報道で知っていましたが、それ以外はほとんど知りませんでした。

 氏が進めているvTaiwan」というデジタルツールは、特定の政策課題について立場の異なる多くの人がソーシャルメディアを使って議論を重ね、迅速に政策を「共創」するシステムのようです。そこには誰でもアクセスし、自分の意見を表明できます。他人の意見に賛同や反対もできますが、返信や再投稿のボタンはないので、荒らし行為はできないとのことです。代わりに、自身のアバターが同調者へ近づく様子や、異なる意見の間に橋を架ける様子を見ることができます。意見の対立する者同士の間で広範な合意を得る提案をすると、「橋渡しボーナス」を獲得できるとのことです。AIがファシリテーターの働きをし、どこまでなら合意できるのか探るようです。

 日本でも、安野貴博氏が東京都知事選に立候補した際に同じようなシステムを披露し、今は東京都等でも試行が進められていることが紹介されています。この「デジタル民主主義」が進展すると、議会や政党のあり方も変化せざるを得ないでしょう。「22世紀の民主主義」という本に、「政治家はネコになる」という言葉がありましたが、そんな時代が近づいているようです。

 22世紀の民主主義」(成田悠輔)を読んで  参照願います。

 私は、安野氏の「チームみらい」について、最近生まれた有象無象の新政党の一つと思って関心がなかったのですが、ちょっと違ったようです。「デジタル民主主義2030」というサイトで彼らの取組を見ることができるので、注目したいと思います。
 ほか、日本の核兵器保有の議論や、大国が自身の「勢力圏」を露骨に主張し始めた中での中堅国である日本のあり方等の話も興味深いものでした。
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 この著者の著作は私も過去に何冊も拝読し、このブログでも紹介しています。我々が日ごろ接している西側のマスコミとは異なる視点が多く、分析も的確で、興味深いのです。

 「西洋の敗北」(エマニュエル・トッド)を読んで 参照願います。

 本書は、2025年9月に刊行されていますが、2024年に刊行された「西洋の敗北」を踏まえ、過去の文藝春秋に掲載されたインタビュー記事等をまとめたものです。

 本書の話題の中心は、米国の覇権の終焉、ウクライナ戦争の行方、イスラエル問題、それらの中で日本はどうすべきか等です。

 イスラエル問題の中では、2025年6月のイスラエル、米国によるイランへの攻撃が最新の話題として取り上げられており、その中で予測されていたことが、すでに的中しつつあります。スンニ派のアラブ系諸国は社会体制から「国家」が弱く、リビアにしろイラクにしろカダフィーの死やサダム・フセインの軍事的敗北によってすぐに国家体制が崩壊しました。しかし著者は、シーア派のペルシア系であるイランは全く社会体制が異なるので、「仮に」ハメネイ師が暗殺されてもイランの国家体制が崩壊することなどあり得ないと主張されています。その予測が正しかったことは、2026年2月28日に再びイラン攻撃を始めてハメネイ師を暗殺したトランプが今、身に染みて感じていることでしょう。

 著者は極めて親日的で、日本に親切な助言をしてくださっています。

 「現状で私がお勧めしたいのは、欧州と米国のヒステリーに極力関わらず、何もせずに静観すること、しかし密かに核武装を進めることです。」

 日本が核攻撃を受けても米国が守ってくれるはずがないのは、私も同感です。核を持つことにより、自立ができ、米国の戦争に巻き込まれる恐れがなくなるという主張は説得力があり、日本にとって最善なような気もします。

 米国でも、アジアにおける中国の覇権を阻止するために、日本、韓国、台湾、オーストラリアなどの核保有を容認すべきだという意見もあるとのことです。それは、私は初めて知りました。

 「西洋の敗北」は世界25か国で翻訳(予定を含む)され、ベストセラーになっていますが、英語版はないとのことです。英米にとっては、あまりにも不都合すぎる真実だからという著者の推測は、正しいと思います。

 日本や世界の今後を考えるうえで、必読だと思います。
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 私は、ほとんどの日本人と同じく、ロシアの武力侵略の問題ではウクライナを応援しています。本書の副題は「日本と世界に何が起きるのか」ですが、これはウクライナの敗北を前提にしています。したがって、実は読んでいて憂鬱になってしまいます。

 著者はフランスの人口学者、家族人類学者で、自殺率や乳幼児死亡率の動き等の人口データや家族形態等を分析し、ソ連の崩壊、米国発の金融恐慌の発生など、数々の「予言」を的中させてきました。彼の分析は非常に説得力があり、私もこれまでに彼の著書を何冊か読み、ファンになっています。

 「グローバリズム以後」を読んで

 「第三次世界大戦はもう始まっている」を読んで

 「老人支配国家日本の危機」を読んで  参照願います。

 ウクライナの敗北は、米国や西欧などの「西洋」が、ロシアなどの「その他の世界」に敗北していくことの象徴です。「その他の世界」が西洋に背を向けるのは、「その他の世界」の低賃金労働者を搾取しながらブルジョアとしてふるまう西洋への反発、自分たちの価値観を押し付けようとする傲慢さに嫌気がさしていること等からです。

 本書は、2023年の夏ころ未来予測の形で執筆されましたが、2025年の春時点で見ると、既にかなり実現してしまっている感があります。

米国や西洋の衰退

 米国は先進国で唯一、平均寿命が低下している国です。2014年に78.7歳だったのが、2020年には77.3歳に、2021年には76.3歳になっています。黒人の死亡率は減少を続けており、白人男性の自殺、アルコール中毒等による死亡が平均寿命を引き下げています。

 ユニセフの統計によると、2020年ころの乳幼児死亡は、新生児千人当たり、米国は5.4人、ロシアは4.4人、英仏独は3人台、日本は1.8人とのことです。米国は衰退しており、その米国が主導している西側も衰退を免れません。

 米国や西洋の発展、繁栄の原動力であった勤勉、教育の重視などのプロテスタント的な美徳は、影をひそめてしまいました。米国の有名大学、特に理工系学部に占める外国人学生が増えました。製造業を支えるエンジニアの数は、米国は、人口が圧倒的に少ないロシアより少ないとのことです。これでは、製造業が衰退してしまうことも当然です。

 こんな状態に至ってしまえば、いかにトランプが保護主義的な施策を打ち出しても、エンジニアがいなければ製造業が復活できるはずがありません。物価上昇、物資の不足などで混乱を招くだけでしょう。
 日本は幸いにまだ米国ほど絶望的な状態ではありません。しかし、大学の理工系の不人気など、米国社会に近づきつつあります。西洋の失敗に学び、地に足の着いた産業政策を行っていかなければなりません。

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 日本では、核兵器廃絶に賛同しないと平和主義者ではないと思われるような雰囲気があります。しかし、平和を守るためには日本も核兵器を持った方がいいか持たないままの方がいいかを真剣に議論すべきなのに、その議論が封殺されてしまっています。

 著者は、日本も平和を守りたかったら核武装すべきだと主張しておられます。彼は、フランスの人口・歴史学者で、人口動態の分析等を基に卓越した洞察力で、ソ連崩壊等の数々の予言を的中してこられた方です。著者の意見は、日本の一般的なメディアとはかなり異なる部分が大きいのですが、現実に立脚し、理路整然としていて、説得力があります。私も、最初は反発を感じましたが、彼の意見に賛同せざるを得ませんでした。

 「グローバリズム以後」(エマニュエル・トッド)を読んで

 「核兵器廃絶は現実的か?」  参照願います。

 

 西側諸国のインテリ、エリート層は、グローバリズムを礼賛する人が多く、知的に優位にあることを意識しながら、グローバリズムに反対する労働者などを馬鹿にしていると著者は言います。英国のEU離脱、トランプ現象などを「ポピュリズム」と捉えるインテリが多い中、著者は、「行き過ぎたグローバリズムの是正」と捉え、肯定します。本書でもその主張が展開されています。

 日本に対しては、核保有のほかに、移民の受け入れを提言しています。日本の最大の課題は少子化・人口減少であり、今となっては移民を受け入れるしかないとの考えです。

 ただし、その出身国は多元化することが必要です。特に中国出身者があまり増えないよう注意しなければならないとしています。「北京政府は、外国に渡った中国人同胞との絆を維持する政策を明らかに採って」いて、「求めに応じた中国系移民が、北京政府による他国介入のエージェント役を果たす可能性がある」としています。日本に在住する中国出身者は日本社会に好意的な感情を持っているのだろうけれど、現在の中国があまりに帝国主義的な施策を採っているので、危険であるとの忠告です。

 日本の国会議員たちにも、彼の著作には一通り目を通したうえで政策を議論していただきたいものです。

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 著者は、フランスの歴史・人口学者で、これまで数多くの著書でソ連崩壊、リーマンショック、トランプ大統領の勝利等を予言してきたことで有名です。彼の著書はこれまで何冊か読んでいますが、いずれも鋭く的確な分析に感銘を受けました。

 本書は、主に2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を論じています。本書と、数日前に読んだ佐藤優氏の本によって、私はこの戦争に関する考えがかなり変わりました。両氏の考えは、かなり近いようです。

 『「プーチンの野望」(佐藤優)を読んで』 参照願います。

 表紙のカバーには、「本来、簡単に避けられたウクライナ戦争の原因と責任はプーチンではなく米国とNATOにある。事実上、米露の軍事衝突が始まり、「世界大戦化」してしまった以上、戦争は容易には終わらず、露経済よりも西側経済の脆さが露呈してくるだろう。」という文言が記載されています。

 米国やNATOに責任があるというのは著者だけの考えでなく、元米空軍の軍人でシカゴ大学教授の国際政治学者、ミアシャイマー氏の主張が引用されています。ウクライナはNATOへの正式な加盟申請はまだでしたが、ロシアの侵攻のずっと前から米英はウクライナに大量の武器を与え、軍事顧問団も派遣し、ウクライナを「武装化」していたとのことです。また、ドイツ統一の時点でソ連に対してはNATOの不拡大を約束していたにもかかわらず、2008年のNATOの首脳会議で、ウクライナとジョージアを将来的にNATOに組み込むことを宣言しました。プーチンは、ウクライナとジョージアのNATO加盟は絶対に許さないと明確に警告していましたが、NATOはそれを無視し、ロシアとすれば、ウクライナ軍がさらに強化されてしまう前に叩かざるを得なかったのでしょう。

 私は、NATOがソ連にどんな約束をしていようと、ウクライナがNATO加盟を望めばやむを得ないのではないかとも思っていましたが、NATOがけしかけた要素も大きいようです。米国やEUは衰退基調にあり、ロシアはソ連崩壊後の混乱から奇跡的な回復を遂げています。ロシアが再び大国になってNATOと対峙することを米国やEUが恐れたということです。

 「アゾフ大隊」について、著者ではなく文春の編集部が次のように注書きしています。「2014年に白人至上主義極右思想の外国人義勇兵も含めた民兵組織として発足。現在はウクライナ内務省傘下にあるが、ナチスを彷彿とさせるエンブレム「ヴォルクスアンゲル」を部隊章として用いている。日本の公安調査庁も、「ネオナチ組織がアゾフ大隊を結成した」としていたが、現在、この記事はHPから削除されている。」

 

 西側やウクライナ側からの情報だけ見ていては分からないことをたくさん知ることができました。それでもなお、ロシア軍が他国に武力侵攻し、市民を虐殺していることは許せないことですが、単純にロシア、プーチンだけを悪と決めつけることはできないようです。

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