本の帯に書かれたコピー「セーヌ河岸を核に緑化・エコ・福祉・減災の街に 社会的共生を目指すパリの都市デザイン!」が、本書の主な内容を伝えています。

 デザイン関連の仕事、研究をされている知人が、おもしろいからぜひ読むようにと貸してくれました。読みながらいろいろ考えさせられますが、200ページほどの薄い本で、写真も多いため、1日あれば十分読めます。

 

 最初の1章は、「はじめにー惨敗の50年」という表題です。

 パリでは、頻発するテロや暴動を抑えるため、豊かな人と貧しい人が同じ地域、同じ集合住宅に混住することを目指していた(ミキシテ・ソシアル計画)とのことです。しかし、そんな理想の下で建設された郊外の公営、公団住宅からは、中間所得層が次々に去って低所得者層ばかりが残り、火薬庫とかテロの温床と呼ばれるような状態になってしまいました。

 その状況は現在も続いていますが、2001年にパリ市長に就任したドラノエ氏の政策が、住民にやさしく、観光客も呼び込む街に変える効果を発揮しました。自動車の交通規制、バス優先路線、自転車専用レーン、徹底した緑地化と公園整備などです。

 本書は、それらの政策の内容と効果が解説されています。

 

エコと福祉と観光のパリプラージュ

 セーヌ右岸の河川敷、総延長2.3キロの区間に夏の間だけ砂を入れて砂浜にするものです。ビーチでビキニ姿で日光浴をするという金持ちのバカンスを、ノートルダムなどが見えるパリの真ん中で、有給休暇が取れずにバカンスに行けない家庭に提供するというものです。その期間は、河川敷の高速道路は通行禁止(バカンスで交通量が少なくなるため可能)になります。

 夏のパリを訪れる観光客も引き付け、エコ、福祉、観光に役立っています。しかも、この費用は、市の予算から支出されるのは3分の1ほどで、あとは企業等の協力で賄っており、官民共同でもあります。

 

 その他、洪水を想定して、24時間以内に解体撤去できる橋、浮庭、廃墟となっていた国鉄の格納庫等を再生したユース・ホステルなど、興味深い施設がたくさん紹介されています。

 自治体で都市計画、まちづくりを担当されている方などには、ヒントになる本だと思います。

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