ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> パワハラ : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:パワハラ

 近年、パワハラを告発する動きが活発になっています。兵庫県でパワハラ等が原因で知事が議会から不信任決議をされ、失職しましたが、それ以前にも各地でパワハラがやり玉に挙げられるケースが相次いでいました。

 今年(2024年)3月には北海道選出の自民党参議院議員である長谷川氏が、旅客機の客室乗務員に対するパワハラを演歌歌手の吉幾三さんにバラされ、それをきっかけに同議員の北海道庁職員や札幌市役所職員に対するパワハラも明らかになりました。彼は首の皮一枚でつながって、まだ議員の席にしがみついているようです。

 兵庫県以外でも、パワハラで窮地に陥った首長が何人かいます。また、これらをきっかけに、自治体の職員に対して、議員等からハラスメントを受けていないかどうかのアンケート調査を実施する動きもあります。

 これも、いいことだと思います。

 私が県職員だった時も、県職員を大声で恫喝する県議会議員が何人かいました。理不尽な要求をする県議もいました。

 古巣の県庁で少し風向きが変わったのは、議員等から何かを依頼されたり要求されたりした際に、それを必ず記録に残すようにしたことがきっかけだったと思います。それを機に、パワハラなどは少なくなった気がします。

 自治体職員が身を守るためには、議員等から言われたことは必ず記録に残すことを徹底し、そのことを予め公表しておかなければなりません。記録に残され、それが公開される可能性があるということになれば、議員らも変な要求や恫喝めいたことは控えざるを得ないでしょう。「記録するな!」などという議員がいれば、そのことも記録しなければなりません。

 職場からハラスメントが一掃されることを願っています。

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 兵庫県の斎藤知事がパワハラ、おねだり疑惑で窮地に陥っています。元県民局長が死をもって行った内部告発が、知事が主張するような「嘘八百」ではなく、かなりの事実が含まれているらしいことの証言が集まっているようです。

 彼は「大阪以外で始めて誕生した維新系知事」で、自民党本部も相乗りで推薦(県連の多くは他候補を応援)していました。その自民党県連からは辞職を要求され、維新の支持もぐらついています。

 それにもかかわらず、頑なに辞職を否定する知事に対し、あきれる声が高まっています。彼はまだ46歳です。年金受給まではまだまだです。今後の生活を考えれば、しがみつきたくなる気持ちも理解できなくもありません。


若くして失脚したエリートのその後

 エリート官僚だった人が若いうちに政治家に転身する例が多数あります。彼らに限らず、若いうちに政治家になった人の中には、パワハラ、収賄、不倫などの不祥事で、辞職したり次の選挙で落選する人もいます。

 世間からフェードアウトして全く名前を聞かなくなった人もいれば、コメンテーターとしてマスコミ、芸能の世界で生きている人もいます。所属していた政党と別の政党から立候補して落選を繰り返している人もいます。

 政治家ではなく、エリートのキャリア官僚等が事件を起こして若いうちに免職になることもあります。私の知っている例では、失脚後、生まれながらの頭の良さを生かして短期間で税理士資格を取得し、成功している人がいます。

 

 斎藤知事は、今となっては知事を続けることは困難でしょう。他の選挙に挑戦しても、当選は難しいでしょう。自殺者まで出して印象が悪いので、バラエティーの報道番組などでのコメンテーターとしての需要もないような気がします。

 資格を取って士業を営むなど、地頭の良さを生かせば、生計の道もあると思います。

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 私は、50歳台の県職員時代に人事委員会事務局で働いた時期があり、また県を定年退職後にある団体の公平委員会の仕事にも携わったので、公平審査の問題には関心があります。2月中旬、福岡県宮若市の公平委員会で市長のパワハラを認定した報道がありましたが、私はうっかり見逃していました。このブログを読んでくださっている方からそれを教えていただきました。

 

宮若市の事件

 宮若市の公平委員会が、市長の市職員に対するパワハラ行為を認定し、市長に対して職場環境の改善に努めるよう勧告したとのことです。昨年11月、複数の職員が公平委に対し、他の職員がいる前で「辞めろ」と言われたり、育児休業取得に難色を示されたりしたなど9件のハラスメント行為を訴えていました。公平委は職員や市長に事情を聞き、事実関係を確認したうえで、市長に対し、二度とハラスメント行為を行わず、職員が安心して公務に従事できる職場環境づくりに努めるよう地方公務員法に基づき勧告したと報じられています。

 市の公平委員会が、選任権者である市長に対し毅然としてこのような勧告を出すことは、まさに第三者機関としての面目躍如といったところです。

 

公平委員会によるパワハラの認定

 以前、このブログを読んでくださった別の読者から、公平委員会はパワハラの認定をしてくれないのかといったご質問を受けたことがあります。コメント欄では回答したのですが、コメント欄では見てくださる人は少ないので、ここで改めて説明します。

 公平委員会ができることは限られています。不利益処分に対する不服申立ては、自分が懲戒処分等を受けてそれに対して不服があれば申立てできますが、他の職員に対する処分を請求することはできません。措置要求でも、例えば、ある役職者のパワハラを認定してくれといっても、ダメでしょう。措置要求は、自分の勤務条件に関する要求であることが必要です。

 したがって、相手方が今後自分や他の職員に暴行や暴言を行わないよう措置を求める措置要求なら受理されるはずです。そんな要求なら、受理して審査することは公平委員会の義務です。その審査の中で、措置の前提としてパワハラがあったかどうかの認定もされるはずです。今回の宮若市のケースは、まさにそれでしょう。

 また、パワハラが今も続いているなら、苦情相談もできるはずです。その対応の中で、パワハラがあったかどうかの調査が行われ、何らかの対応があるでしょう。

 私が所属していた公平委員会では、委員会は通常は月1回しか開催しないので、苦情相談を受けた場合、まず事務局職員が話を聴き取ります。そのうえで、公平委員会に諮って、誰か一人の委員を担当にして事務局と調査を進める等の対応を取っていました。
 任命権者側にいじめられている職員にとって、公平委員会は最後の一つ手前(最後は裁判所か)の砦です。丁寧な対応が求められ、やりがいのある仕事でした。

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 3月8日にYahooニュースに転載された中國新聞の記事によると、この日、山口県の田布施町長は議会での一般質問に答え、税金の徴収ミスを内部告発した職員を1人だけの「畳部屋」に異動させた問題で、再発を防ぐための行動指針案を示したとのことです。

 記事では残念ながら指針案の具体的な内容は分かりませんが、適正な職務の遂行と公務員倫理の徹底、良好な職場環境の確保、情報の適正管理、交通法規・マナーの順守、事務処理・対応ミスの防止、接遇の向上の6目標が掲げられているようです。町では、この案を職員労働組合に示して意見を聞き18日に議会の全員協議会で説明して、4月から実施する予定とのことです。 

あまりにも総花的!
 指針案があまりに広い分野にわたっていることに驚きました。指針案に盛り込まれたとされる6項目は、いずれも大切なことであることは否定しません。しかし、接遇交通マナー順守など、職務執行どころか社会生活全般にわたる事柄まで一つの指針に盛り込もうとすれば、総括的、心得的なものにならざるを得ず、具体的な対策はつまみ食い的にピックアップされている程度のものになってしまっているのではないかと思います。すべてに具体的な対策を盛り込めば、読む気がしないほど分厚くなってしまうでしょう。
 内部告発者に対するパワハラのような問題を二度と起こさないというのが、そもそもの発端だったはずなのに、その問題に焦点を当てずに、むしろ、ぼやけさせよう、曖昧にしようという意図にも感じます。
 この問題を解明するために議会が設置した特別委員会は、結局、事実関係や原因を何ら解明しないまま解散してしまいました。原因などが追求されずに終わったため、このような総花的な指針にならざるを得なかったのでしょうか?
 「尻すぼみに終わった田布施町のパワハラ調査」 参照願います。 

職員組合は本気で精査を
 町長は議会で、勤勉手当の是正に時間がかかったのは職員組合との協議に時間を要したためと説明しています。つまり、町の職員組合は、条例通りの支給に異を唱えて3、4年も協議を引き延ばした悪辣な組合という汚名を着せられているのです。(私は、町当局が本当に組合と協議していたか疑っているのですが・・・。)
 汚名を返上するため、指針案をきちんと精査し、具体的な対策が盛り込まれているか、実効性がありそうか、検討していただきたいと思います。
 「勤勉手当も違法に支給していた山口県田布施町」 参照願います。 

 町のホームページも閲覧し、ネットでも探してみましたが、町の指針案は見当たりません。したがって、私は指針案を読んでおらず、報道で知りうる範囲で論評していますが、私の予測に反したすばらしい指針であることを願っています。

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 山口県田布施町で、固定資産税の課税誤りが放置されていたことを内部告発した職員を他の職員から切り離された一人だけの職場に異動させたパワハラ問題が昨年(2020年)6月に発覚し、全国的に話題を呼びました。私も関心があったのでこのブログで2回ほど取り上げたのですが、続報も聞こえてこず、失念していたところ、その後の情報について当時の記事にある方からコメントをいただきました。

 「山口県田布施町のパワハラ 幕引きを許すな!」 参照願います。

 

 いただいたコメントの情報をもとに私も町のホームページで議会の議事録を読んでみました。

 町議会ではこの問題の調査のために特別委員会を設置し、また、弁護士等の有識者による第三者委員会を設置して解明すると表明していましたが、実質的に何も調査しないまま9月に特別委員会も解散してしまったようです。

 

第三者委員会を設置しなかった理由

 特別委員会の委員長を務めた議員の答弁等によると、第三者委員会の設置について町の顧問弁護士から法律上の疑義を指摘されたとのことです。法律上の疑義というのは、地方自治法では附属機関の設置は執行機関には認められているものの、議会については根拠規定がないというものです。

 それは、そのとおりです。議会が外部人材による調査委員会等を設置する根拠規定は見当たりません。ただ、禁止する規定もなく、三重県などでは例があるようです。

 長部局でも、法律や条例によらず、自治法の根拠を有しない審議会、委員会など、山ほどあります。

 第三者委員会の設置が不適当だとしても、特別委員会に外部有識者を参考人として招致して意見を聞くことは完全に適法です。第三者委員会の設置に疑義があるのなら、特別委員会の中で解明すればいいことであり、調査自体を放棄してしまうのは、本末転倒です。幕引きの口実にしたかったのでしょう。議事録や報道を見ると、あの町の議員さんの多くは、町行政の適正化より、くさい物に早く蓋をすることに意識が集中していたようです。

 特別委員会では、有識者の意見を聞いて、再発防止策だけ提言しています。実態や原因を究明せずに再発防止策だけ提言というのは、妙な話です。調査したという形だけ整えるためのアリバイ工作ですね。

 

長や公平委員会の権限を侵す?

 特別委員長は、「執行機関に第三者委員会のような付属機関を設置し、人事異動等の人事行政を諮問することは、 地方自治法の趣旨から町長の執行権限を阻害するものであり、適当でないことを確認」とも言っていますが、これもごまかしです。条例で人事に関する権限を有する附属機関を設置するなどすれば、適当ではないでしょうが、長の権限行使の参考にする目的で有識者に意見を聞くための委員会(条例に基づかない附属機関)など、設置しても何の問題もないでしょう。また、長の権限行使をチェックすることは議会の役割で、長の執行権限を阻害することにはなりません。

 また、特別委員長は「人事に関することは、県の公平委員会、全てこっちに任されていますので、私たちじゃちょっと 事実関係に関してはちょっとできないということになっており・・・」とも言っています。公平委員会は各自治体に設置するもので、県に設置するものではありません。田布施町の場合、一部事務組合に委任しているのでしょう。また、長が行う権限の行使についてチェックすることは議会の役割で、公平委員会の権限などと関係ありません。

 

 やはり、世間の注目が薄れると、変な動きが出てしまうのですね。本件も、まんまと幕引きをさせてしまったようです。

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