本書は、いわゆる明治維新150にちなんだ内容で、賊軍とされてしまった会津の名誉回復を狙った勢力が起こす事件を描いたものです。「戊辰150年の歴史を正す者」から、上野公園の西郷隆盛の銅像を破壊せよとの脅迫状が届くところから物語がスタートします。

 随所に歴史上の出来事が紹介されていて、著者は明治維新には否定的な意見をお持ちのように感じます。私も会津藩などに同情しており、明治維新は評価しておらず、日本の近代化のためにあのような暴力革命は不要だったのではないかと考えています。その点、著者の考えには共感します。

 「平成の薩長同盟?」 参照

 

 しかし、内容は・・・。

 長州出身者が主体となった「長州商事」、会津出身者を主体とする「会津商会」、東武鉄道、東京都などがドタバタ騒動を繰り広げる内容です。正直に言えば、動機などの設定が荒唐無稽すぎて、もはや推理小説、ミステリーとは呼べない内容です。ユーモア小説、コメディーのようなストーリーですが、それにしてはハチャメチャ度、滑稽味が足りず、おもしろくありません。中途半端な内容です。

 十津川警部や亀井刑事もこんな物語に登場させられて、困惑しているのではないかと思います。

 

 西村京太郎先生の十津川警部シリーズを出版すれば、買ってしまう昔からのファンがいて、それなりに売れるのかもしれません。しかし、こんな酷い作品を出版すれば、先生の名声に傷がつくのではないかと思います。私は、読んでいて少し悲しくなりました。

出版社、編集者は、目先の欲にとらわれず、先生の名声を大切にしていただきたいと思います。

 「西村京太郎氏の近年の作品が変だ1 「札沼線の愛と死…」

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