ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 予算単年度主義 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:予算単年度主義

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 今年5月から新たな元号に替わりますが、新元号の公表が4月1日になりそうな状況です。地方公共団体では、様々な対応を迫られています。

 もっとも大変なのは、民間と同様、システムの改修でしょうが、地方公共団体は民間とは別の検討が必要です。

 

予算単年度主義の制約

 地方公共団体は、予算単年度主義により、支出負担行為は原則として年度を超えては行えません。つまり、契約は、4月1日から翌年3月31日までに完結させることが原則で、これを逸脱するためには、何らかの手続などが必要です。

 今回、改元が5月1日ですが、多くのシステムは、4月に新年度になってから改修を発注する手続をしても、間に合わないでしょう。

 

自治体の対応策

 私に聞こえてくる範囲でも、自治体では様々な工夫をしているようです。

 最も正攻法なのは、債務負担行為の設定です。平成3012月の議会などで平成30年度補正予算を組み、債務負担行為を設定して、発注は平成30年度中に行うけれども納品や代金支払は2019年度になるような、年度をまたぐ契約を容認する手続です。

 もう一つは、システム改修の大部分を済ませる契約を平成30年度中に完結させてしまうことです。新しい元号を入力すれば新システムが完全に稼働できる状態までにすることを平成30年度の事業として終わらせます。新年度に入って新しい元号が発表されたとき、それを職員が入力するか、それだけを小額の手数料、又はサービスでSEにやってもらえば完成です。ただ、この方法は、代金を全額支払ってしまって年度が替わった後、本格稼働してみたらシステムの不備が見つかった場合のこと等が少し心配です。

 最悪なのは、実際は旧年度中にシステム改修を発注しておきながら、書面だけは4月に発注したように偽装することです。公務員は、こんな誤魔化しをしてはいけません。

 

 うちのような小規模自治体でも、今回の改元で、数百万円のシステム改修費を予定しています。社会全体では、著しい無駄です。

 私は、皇室を敬うことに関しては人後に落ちない者ですが、公務やビジネスは、西暦に統一すべきだと思います。元号を天皇陛下の在位に連動させたのは明治以降のことであり、それほど伝統があるものではありません。

 「元号をどうするか?」

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 「会計年度独立の原則」と「予算単年度主義」について詳しく御説明します。

 
「会計年度独立の原則」「予算単年度主義」は、いずれも国や地方公共団体の予算に関する重要な原則ですが、しばしば混同している人がいます。A県から出ている文書の中で、「会計年度独立の原則とは、一会計年度における歳入歳出は、他の年度にまたがって行われてはならないという予算に関する大原則である。この原則を貫き通すと、かえって不利、不経済となる等実情に即しない場合もあるため、財政の効率的運用を図る目的から、継続費の逓次繰越、繰越明許費、事故繰越等の例外措置が認められている。」という記載がありました。これは、両者を混同した誤りです。

 また、B県のホームページには、「予算は『予算の会計年度独立の原則』により、一会計年度の予算はその年度内に執行し完結することを原則とします。」という記載がありますが、これも同様の誤りです。
 

地方自治法の関係条文

(会計年度及びその独立の原則)

第208条  普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

2  各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

(予算の調製及び議決)

第211条  普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市にあつては三十日、その他の市及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。

2  普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。

(支出負担行為)

第232条の3  普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

会計年度独立の原則、予算単年度主義とは 

 会計年度独立の原則とは、法第208条第2項に規定される原則で、各年度に支出すべき経費の財源は、その年度における収入によって調達すべきことをいいます。この原則は、支出に関する契約が年度をまたぐこと等を特に禁止していません。数年度にまたがる契約であっても、各年度に役務の提供を受けた対価をその年度の予算で支払えば、その年度の収入で調達したということなので、この原則には抵触しないのです。

 

 予算単年度主義(の原則)は、法第211条第1項、第232条の3等により、予算は年度ごとに作成し、翌年度以降の予算を拘束してはならないとする原則で、予算の効力を会計年度内に限定し、それを超える支出負担行為を禁ずるものです。

 

二つの原則の例外

 継続費や債務負担行為は、各年度に役務の提供を受けたり完成した部分に係る対価をその年度で支払えば、会計年度独立の原則には抵触しないので、その例外とはされません。しかし、年度を超えて支出負担行為を行うことから、予算単年度主義には抵触するので、その例外とされています。

 逆に、過年度支出、過年度収入、歳出予算の繰越等は、各年度の歳入歳出予算、決算に計上するので、予算単年度主義には抵触しません。しかし、会計年度独立の原則には抵触するので、その例外とされています。

例えば、過年度支出は、過去の年度にその年度の収入からまかなうべきだった支出について、現年度の収入からまかなうことになってしまうので、会計年度独立の原則に反するのです。過年度収入も、過去の年度に収入してその年度の支出に充てるべきだった収入を現年度に収入し、現年度の支出に充てる結果になることから、会計年度独立の原則に反するのです。歳出予算の繰越は、現年度の経費に充てるべきだった現年度の収入を翌年度の経費に充てる結果になるため、会計年度独立の原則に反し、その例外とされているのです。

 

A県、B県の間違いは?

 A県の文書は、前段の「一会計年度における歳入歳出は、他の年度にまたがって行われてはならないという予算に関する大原則である。」というのは、会計年度独立の原則ではなく、予算単年度主義の説明です。後段の「継続費の逓次繰越、繰越明許費、事故繰越等の例外措置が認められている。」という部分は、会計年度独立の原則の例外として正しい例示です。しかし、前段の説明が正しいとすると継続費も例外になりそうですが、継続費を挙げずに継続費の逓次繰越だけを例外として例示しているのはアンバランスです。財政用語辞典などの別々の項目をつなぎ合わせてしまったようです。 

 B県の文書の説明は、全く予算単年度主義の説明です。 

 会計年度独立の原則のほうは、民間の企業会計でも、継続企業の公準費用収益対応の原則等として尊重されていますが、予算単年度主義のほうは、民間では見られず、年度をまたぐ契約など平気で結ばれています。

一般向けの事典、解説書などでは区分せずに使用されていることもありますが、本来別のものであり、国や地方公共団体職員向けの厳密な解説では、峻別されています。

追伸

 「ブログの記事がパクられてますよ!」とある方から連絡をいただきました。早速見てみると、見事にパクられていました。

 不思議に腹は立ちません。私のブログがパクられたのは、私が承知している限り、これが初めてです。「私のブログもとうとう人様から真似られるほどに成長したか!」と感慨深いものがあります。

  2017年8月にアップした『「会計年度独立の原則」と「予算単年度主義」の混同』の記事は、私のブログの中でも最もコンスタントに閲覧数の多かったものですが、実は、あの記事は、かなり説明を省いているので、自治法を学び始めたばかりの人には不親切だなと反省していました。この機会に、少し説明を丁寧にした詳細版を今回アップしました。

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会計年度独立の原則、予算単年度主義の一人歩き

 地方自治体が結ぶ契約の中には、相手方と単価だけを契約し、実際に発注して初めて債務が発生する、いわゆる単価契約という種類があります。コピー用紙とか、文房具、ガソリン、灯油などの購入のために、多くの自治体では単価契約を結びます。その契約を結んだだけでは自治体の債務は発生しないため、支出負担行為には該当せず、「予算の執行」にも該当しません

 したがって、会計年度独立の原則とか、予算単年度主義とかに関係なく、いつ契約しようと、地方自治法上の制約はないものです。実際、法令をきちんと解釈して運用する自治体では、繁忙期を避けるため、1年間の単価契約を10月から翌年9月までの1年間で結んだりしています。

 しかし、あまり法令を読まない自治体では、予算単年度主義の名のもとに、このような契約まで41日付けで結ばないといけないと考え、そのように運用しています。そのような残念な自治体は、かなりの数に上ります。

 

地方自治法の関係条文

(会計年度及びその独立の原則)

第208条  普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

 

(支出負担行為)

第232条の3  普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

 読めば御理解いただけると思いますが、支出負担行為に該当しない契約は、どんな期間、時期に契約しようと、制約はないのです。

 

41日付け単価契約の弊害

 41日から実施したい単価契約を41日付けで締結しようとする場合、長期継続契約などを41日付けで結ぼうとする場合と同様の弊害を生じます。

41日付け契約の弊害 長期継続契約の運用」参照

つまり、不適正、業者との癒着、日付の遡りなどの違法行為の誘発、競争の阻害などの原因になってしまうのです。

契約期間を41日から1年間にしたければ、それはいいでしょう。しかし、契約日を41日にしようとすれば、上述のような不都合は免れません。

前年度中の適当な時期に入札などの契約準備をし、3月中に契約を締結すればいいのです。

 

年度を超える単価契約

暖房用の灯油の単価契約を考えてみましょう。4月くらいはまだ寒いので、4月末くらいまでの契約期間は欲しいところです。そんな場合は、例えば11月から4月末までを契約期間にするべきです。わざわざ3月末でいったん契約を終わらせ、41日から結びなおすのは、無駄な作業でしょう。

  こういう契約は、地方自治法などによって、禁止されていませんが、禁止されていると錯覚して「自粛」している自治体がたくさんあるのが実態です。

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