11月中旬、総務省が外形標準課税の基準見直しの議論に入ったことが報じられました。減資をして外形標準課税の対象から外れる企業が相次いでいるのを阻止したいようです。私も現在の基準には矛盾を感じていますが、聞こえてくる議論、意見に違和感を覚える部分もあります。
外形標準課税
都道府県税の一つ、事業税(ここでは法人に対するものに限る。)は、原則は法人の所得(収益から経費を引いたもうけ)が課税標準ですが、資本金が1億円を超える法人に対しては、所得に対する所得割に加え、資本金に対する資本割、付加価値(給料、報酬などの総額)に対する付加価値割の合計額が課されることになっています。それが外形標準課税です。法人が赤字でも資本割や付加価値割が課されるので、都道府県にとっては不況でも一定の税収が得られるというメリットがあります。
しかし、資本割等が単純にプラスされるわけではなく、その分、所得割の税率が低くなっています。例えば、一般的な営利企業で、外形標準課税ではない場合は所得に対して3.5%(400万円までの所得の部分。標準税率)、5.3%(400万から800万円までの所得の部分)、7.0%(800万円超の所得の部分)の税率ですが、外形標準課税の場合の所得割は所得に対して一律に1.0%です。かなりの差です。
つまり、企業の業績が良く、所得が多い場合は、外形標準課税の方が税負担が少なくなります。業績が良ければ良いほど、外形標準の方が企業にとっては有利になります。外形標準課税は、不振に喘ぐ企業には厳しく、業績好調の企業には優しい制度です。
都道府県には被害者意識が強いようだが
資本金を1億円以下に減資する企業が多いのは、外形標準課税逃れより、法人税の中小企業特例を受けたいことが大きいと思います。外形標準課税は、企業にとって必ずしも不利ではありませんから・・・。
資本金が1億円以下の企業が受けられる中小企業の特例は、税率、交際費、留保金課税の扱いなど、大企業と比較してかなり有利です。
基準見直しには賛成
たしかに、資本金だけを基準とするのは変で、見直しには賛成です。資本金の額など、株主総会の議決を得れば帳簿上だけの操作で簡単に変えられますから・・・。ただ、見直し案の中で、資本金と資本準備金の合計額を基準とする案もあるようですが、これは馬鹿馬鹿しいと思います。資本準備金を資本剰余金に振り替えることも簡単にできてしまいます。利益剰余金等も含めた純資産の額を基準とするなら、有りだと思います。
また、働いている人の数(従業員数にすると派遣社員を増やす可能性)、年商、事業所の数など、幅広く議論すべきでしょう。ただし、外形標準課税は、業績の好調な企業からの税収は減ることを忘れずに・・・。
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