ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 会計年度独立の原則 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:会計年度独立の原則

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 先日、ある方から次のような相談をいただきました。

 「電柱や電話ボックスを置く使用許可(更新)の申請が行われ、当市ではでは3月中に決裁をとり、3月中の許可日で、許可期間を41日から翌年331日までとしている。調定は、許可日の属する年度に行い、その年度の歳入にすべきと考えるが、どうか。」
 許可を4月1日以降にするというやり方は、不適切であることは当然です。4月1日の午前零時に許可書を交付できるはずがありませんから。

 

法令に明確な定めはない

 実は、歳入の調定に時期については、地方自治法、自治法施行令に、明確な定めがありません。

地方自治法

(歳入の収入の方法)

第231条 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。

地方自治法施行令 

(歳入の調定及び納入の通知)

第154条 地方自治法第231の規定による歳入の調定は、当該歳入について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤つていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査してこれをしなければならない。

 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、地方交付税、地方譲与税、補助金、地方債、滞納処分費その他その性質上納入の通知を必要としない歳入を除き、納入の通知をしなければならない。

 前項の規定による納入の通知は、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所及び納入の請求の事由を記載した納入通知書でこれをしなければならない。ただし、その性質上納入通知書によりがたい歳入については、口頭、掲示その他の方法によつてこれをすることができる。

 

 いずれも、調定の時期については、何も指示していません。

 もう一つ考えあわせるべき条文は、自治法施行令第142条の歳入の会計年度所属区分に関する規定です。この第1項第2号で、随時の収入で、納入通知書を発するものは、当該通知書等を発した日の属する年度」としています。原因となる許可や契約の日の属する年度にしなければならないのなら、そのように規定するはずです。そのような厳格な規定になっていないということは、原因行為の日に必ず調定し、納入通知書等を発行することを義務付けていないのでしょう。

 

会計年度独立の原則からは

会計年度独立の原則は、各年度に支出すべき経費の財源は、その年度における収入によって調達すべきことをいいます。役所の会計は現金主義なので厳密な運用はできませんが、企業の会計では、費用収益対応の原則から、費用や収益を所属させる年度は、その原因の存在する年度に厳密に一致させます。例えば、6月のボーナスは、前年度の12月から当年度の5月までの勤務に対するものだとすれば、4か月分は前年度の経費にし、2か月分だけ当年度の経費にします。

その考え方からすれば、平成30年度に行政財産を使用させる許可による使用料は、平成30年度の歳入にするほうが望ましいと考えられます。そのためには、3月中に許可したものも、調定は4月に行い、新年度歳入にすべきと思います。

いずれにしても、自治法等に明確に定められていない問題であり、各自治体の判断で、やり方を決めていいことだと思います。

 

昔は・・・

 私も、新採用に近いころ、県の土木関係の出先機関で、道路占用料などの徴収を担当していました。年度末には、更新の許可を大量に行わなければなりません。許可だけは、何とか前年度末までに間に合わせたとしても、調定、納入通知書の送付までは、絶対に不可能でした。

 当時は、調定決議書も納入通知書も、何枚かの複写の用紙に手書きで記入し、納入通知書は封筒に手書きで宛先を書いて郵送していました。何とか5月中旬までには発送できるよう、頑張って残業したものです。6月にずれ込むと監査から指摘されるなどと言われていました。

 そんな状態ですから、許可の日と調定の日を同じ年度にすべきだという考えは、浮かぶはずもありません。

自治法、自治令のこの部分は、私が担当していたよりも更に昔のローテクの時代に制定されています。今のように、更新分の調定決議書や納入通知書などは台帳システムから自動的に打ち出される状態を想定してはいないと思います。

 

法令で調定の時期や年度区分が明確に定められていないことで、実務に疑義が生じている問題があります。これについては、別稿で改めて紹介いたします。

 「会計年度独立の原則」と「予算単年度主義」について詳しく御説明します。

 
「会計年度独立の原則」「予算単年度主義」は、いずれも国や地方公共団体の予算に関する重要な原則ですが、しばしば混同している人がいます。A県から出ている文書の中で、「会計年度独立の原則とは、一会計年度における歳入歳出は、他の年度にまたがって行われてはならないという予算に関する大原則である。この原則を貫き通すと、かえって不利、不経済となる等実情に即しない場合もあるため、財政の効率的運用を図る目的から、継続費の逓次繰越、繰越明許費、事故繰越等の例外措置が認められている。」という記載がありました。これは、両者を混同した誤りです。

 また、B県のホームページには、「予算は『予算の会計年度独立の原則』により、一会計年度の予算はその年度内に執行し完結することを原則とします。」という記載がありますが、これも同様の誤りです。
 

地方自治法の関係条文

(会計年度及びその独立の原則)

第208条  普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

2  各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

(予算の調製及び議決)

第211条  普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市にあつては三十日、その他の市及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。

2  普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。

(支出負担行為)

第232条の3  普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

会計年度独立の原則、予算単年度主義とは 

 会計年度独立の原則とは、法第208条第2項に規定される原則で、各年度に支出すべき経費の財源は、その年度における収入によって調達すべきことをいいます。この原則は、支出に関する契約が年度をまたぐこと等を特に禁止していません。数年度にまたがる契約であっても、各年度に役務の提供を受けた対価をその年度の予算で支払えば、その年度の収入で調達したということなので、この原則には抵触しないのです。

 

 予算単年度主義(の原則)は、法第211条第1項、第232条の3等により、予算は年度ごとに作成し、翌年度以降の予算を拘束してはならないとする原則で、予算の効力を会計年度内に限定し、それを超える支出負担行為を禁ずるものです。

 

二つの原則の例外

 継続費や債務負担行為は、各年度に役務の提供を受けたり完成した部分に係る対価をその年度で支払えば、会計年度独立の原則には抵触しないので、その例外とはされません。しかし、年度を超えて支出負担行為を行うことから、予算単年度主義には抵触するので、その例外とされています。

 逆に、過年度支出、過年度収入、歳出予算の繰越等は、各年度の歳入歳出予算、決算に計上するので、予算単年度主義には抵触しません。しかし、会計年度独立の原則には抵触するので、その例外とされています。

例えば、過年度支出は、過去の年度にその年度の収入からまかなうべきだった支出について、現年度の収入からまかなうことになってしまうので、会計年度独立の原則に反するのです。過年度収入も、過去の年度に収入してその年度の支出に充てるべきだった収入を現年度に収入し、現年度の支出に充てる結果になることから、会計年度独立の原則に反するのです。歳出予算の繰越は、現年度の経費に充てるべきだった現年度の収入を翌年度の経費に充てる結果になるため、会計年度独立の原則に反し、その例外とされているのです。

 

A県、B県の間違いは?

 A県の文書は、前段の「一会計年度における歳入歳出は、他の年度にまたがって行われてはならないという予算に関する大原則である。」というのは、会計年度独立の原則ではなく、予算単年度主義の説明です。後段の「継続費の逓次繰越、繰越明許費、事故繰越等の例外措置が認められている。」という部分は、会計年度独立の原則の例外として正しい例示です。しかし、前段の説明が正しいとすると継続費も例外になりそうですが、継続費を挙げずに継続費の逓次繰越だけを例外として例示しているのはアンバランスです。財政用語辞典などの別々の項目をつなぎ合わせてしまったようです。 

 B県の文書の説明は、全く予算単年度主義の説明です。 

 会計年度独立の原則のほうは、民間の企業会計でも、継続企業の公準費用収益対応の原則等として尊重されていますが、予算単年度主義のほうは、民間では見られず、年度をまたぐ契約など平気で結ばれています。

一般向けの事典、解説書などでは区分せずに使用されていることもありますが、本来別のものであり、国や地方公共団体職員向けの厳密な解説では、峻別されています。

追伸

 「ブログの記事がパクられてますよ!」とある方から連絡をいただきました。早速見てみると、見事にパクられていました。

 不思議に腹は立ちません。私のブログがパクられたのは、私が承知している限り、これが初めてです。「私のブログもとうとう人様から真似られるほどに成長したか!」と感慨深いものがあります。

  2017年8月にアップした『「会計年度独立の原則」と「予算単年度主義」の混同』の記事は、私のブログの中でも最もコンスタントに閲覧数の多かったものですが、実は、あの記事は、かなり説明を省いているので、自治法を学び始めたばかりの人には不親切だなと反省していました。この機会に、少し説明を丁寧にした詳細版を今回アップしました。

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会計年度独立の原則、予算単年度主義の一人歩き

 地方自治体が結ぶ契約の中には、相手方と単価だけを契約し、実際に発注して初めて債務が発生する、いわゆる単価契約という種類があります。コピー用紙とか、文房具、ガソリン、灯油などの購入のために、多くの自治体では単価契約を結びます。その契約を結んだだけでは自治体の債務は発生しないため、支出負担行為には該当せず、「予算の執行」にも該当しません

 したがって、会計年度独立の原則とか、予算単年度主義とかに関係なく、いつ契約しようと、地方自治法上の制約はないものです。実際、法令をきちんと解釈して運用する自治体では、繁忙期を避けるため、1年間の単価契約を10月から翌年9月までの1年間で結んだりしています。

 しかし、あまり法令を読まない自治体では、予算単年度主義の名のもとに、このような契約まで41日付けで結ばないといけないと考え、そのように運用しています。そのような残念な自治体は、かなりの数に上ります。

 

地方自治法の関係条文

(会計年度及びその独立の原則)

第208条  普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

 

(支出負担行為)

第232条の3  普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

 読めば御理解いただけると思いますが、支出負担行為に該当しない契約は、どんな期間、時期に契約しようと、制約はないのです。

 

41日付け単価契約の弊害

 41日から実施したい単価契約を41日付けで締結しようとする場合、長期継続契約などを41日付けで結ぼうとする場合と同様の弊害を生じます。

41日付け契約の弊害 長期継続契約の運用」参照

つまり、不適正、業者との癒着、日付の遡りなどの違法行為の誘発、競争の阻害などの原因になってしまうのです。

契約期間を41日から1年間にしたければ、それはいいでしょう。しかし、契約日を41日にしようとすれば、上述のような不都合は免れません。

前年度中の適当な時期に入札などの契約準備をし、3月中に契約を締結すればいいのです。

 

年度を超える単価契約

暖房用の灯油の単価契約を考えてみましょう。4月くらいはまだ寒いので、4月末くらいまでの契約期間は欲しいところです。そんな場合は、例えば11月から4月末までを契約期間にするべきです。わざわざ3月末でいったん契約を終わらせ、41日から結びなおすのは、無駄な作業でしょう。

  こういう契約は、地方自治法などによって、禁止されていませんが、禁止されていると錯覚して「自粛」している自治体がたくさんあるのが実態です。

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