ワタミ会長の渡邉美樹氏が、11月末、某紙への投稿で、人事院勧告で0.05月減とされた公務員の賞与を批判し、このコロナ禍で「たった0.05か月減」だったことについて国民は怒るべきだなどと主張しました。少し前まで与党の国会議員として報酬を得ていた人が、制度を理解しておらず、この程度の認識であることにがっかりです。
12月9日、日経新聞の調査で、2020年冬の民間企業のボーナスが、平均8.55%の減額だったことが報じられ、また公務員優遇論が再燃しています。
こんなことになるのではないかと、危惧していました。
公務員の賞与は民間の半年遅れ
国家公務員の給与は人事院、地方公務員は人事委員会から水準が勧告され、国会、議会で給与法、給与条例の改正を経て決定されます。人事院は、毎年5月頃から、全国の都道府県、政令市の人事委員会と共同で、民間給与実態調査を行います。この調査は、月例給等は4月1日時点の給料を対象とし、賞与等は前年8月からその年の7月までの1年間に支払われた、又は支払われる予定のものを対象としています。
そして、賞与は民間で前年8月から当年7月までの1年間に支払われたものを公務員のその年度(4月~翌3月)の期末・勤勉手当と均衡させます。したがって、公務員の令和2年度の期末・勤勉手当は、民間の令和元年8月から令和2年7月までの賞与と均衡させるわけです。令和2年の夏と冬に公務員に支給された賞与は、コロナ禍で厳しい状況だった令和2年の夏の民間ボーナスだけでなく、好調だった令和元年の冬のボーナスも反映しているのです。
この制度のため、公務員の賞与や給料の増減は、民間と比較して半年ほど遅れ、また、緩やかなものになります。
民間給与が上昇していく時も、公務員の給料、賞与は遅れて、緩やかに上昇します。
このタイムラグは、民間給与を精緻に調査する必要があること、国会や議会の手続を要することから、やむを得ないことと考えられます。
ビルトインスタビライザー
40数年前、公務員試験のためにかじった財政学で、「ビルトインスタビライザー」(景気自動安定化装置)を学びました。景気が変動する局面で、その変動を緩やかにする働きが組み込まれている制度のことです。代表的なものは、失業給付です。景気が後退すると、自然に失業給付が増え、消費の落ち込みを緩和させます。
景気が急激に悪化したときに、公務員の賞与も急減すれば、消費の落ち込み、景気の悪化に拍車をかけるでしょう。公務員の賞与、給料の増減の民間とのタイムラグは、悪いことばかりではありません。
主に貧困問題などで活動されている藤田孝典氏は、ワタミ会長の主張に対し、「もう公務員はワタミで飲食しなくていい」と言っておられます。私も同調します。
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