ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 再任用制度 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:再任用制度

   サイト案内(目次)

 総務省から「地方公務員の再任用実施状況及び退職状況等調査」の結果が公表されました。この調査は、総務省が、地方公務員の高齢対策のために、全都道府県、市区町村、一部事務組合等を対象に毎年実施しているものです。

 私が興味を持ったデータをいくつかピックアップさせていただきました。

 

退職者の再就職状況

 平成28年度中の定年退職者のうち、再就職をした者は68.1です。そのうち、最も多いのが再任用された者で、44.6、次いで当該団体で臨時・非常勤職員等として再就職した者が9.4%、非営利法人への再就職が6.8%、営利法人への再就職が4.2%です。

 年金の支給開始が遅くなる中、定年退職後も再就職することが主流です。その受け皿として再任用制度が中心的な役割を果たしていることが分かります。

 

再任用者の給料

 平成29年度に採用された再任用職員で、フルタイムの職員は、一般行政職では24万円以上26万円未満が最多で、教育職では26万円以上28万円未満が最多です。

 短時間勤務の職員は、一般職では20万円以上22万円未満が最多、教育職では12万円以上14万円未満が最多になっています。教育職は、勤務時間が比較的短い勤務の人が多いようです。

 フルタイムならば、年金が支給されるまでの生活には支障のないレベルでしょう。

 

再任用制度の実施状況

 私が最も関心を持ったのが、この項目です。

 再任用条例を制定していない団体は、平成30101日の時点で、全国4町村だけなので、制度はほぼ全ての団体が持っています。

 平成29年度に再任用を実際に行っているのは、都道府県、政令市は全団体です。そかし、政令市以外の市・特別区では95.5%、町村で70.8%、一部事務組合等で31.3にとどまっています。

 

 我が自治体の周辺の町村でも、実際に再任用制度を実施していない団体が目に付きます。職員に話を聞くと、首長がやりたがらないという話をよく聞きます。公務員ばかり恵まれているという批判があるからなのか、小規模な職場ほどかつての上司が再任用職員になった場合のやりにくさが大きいからなのか、いずれかでしょう。

 高齢職員が安心して働けるよう、希望すれば再任用される制度は必要だと思います。

 また、経験豊富な職員をこのくらいの給与で活用できれば、自治体としてもいいことだと思います。ただし、「俺は実務は卒業した。」などといって管理職的なことしかできない職員では、再任用職員として使えません。どこかの大臣のようにパソコンを使えない高齢職員は、地方公務員にはいないと思いますが、高齢になっても実務能力の保持は欠かせません。  

私は再任用職員ではありませんが、勤務する以上、能力の研鑽は続けなければならないと思っています。

 にほんブログ村 政治ブログ 地方自治へ
にほんブログ村 参加しています。


   サイト案内(目次)

 平成30810日、人事院が、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げることについて、衆参両院の議長や内閣総理大臣に意見を申し出ました。我が自治体にも県の市町村課経由で流れてきました。

定年引上げ自体は、既に昨年6月に「具体的な検討を進める」旨の閣議決定がされており、既定事項ですが、今回の人事院の意見により、制度の大枠が固まったようです。近々、この意見に沿った法改正が行われるでしょう。

 

意見の骨子

1 国家公務員の定年を段階的に65歳まで引き上げ

2 本庁や地方支分部局の課長相当職以上の管理職に、原則60歳(60歳到達時の年度末)の役職定年

3 役職定年の対象外の職に就いている職員は、60歳到達時と同じ職にとどまることもあり得るが、その場合も給料は60歳到達時の70%の水準(役職定年の対象者の場合は年間給与が5~6割程度になることもある。)

4 60歳以上で希望する職員は、短時間勤務の職

5 現行の再任用制度は、定年引上げが65歳に達して完了するまで、暫定的に継続

6 引上げの年度にも計画的に最低限の新規採用の確保

 

予想されたとおりの内容だが

 おおむね予想されたとおりの内容です。役職定年制等を導入すれば、事実上は現行の再任用制度と大差はありません。

 しかし、気になるのは、同一の職にとどまる場合でも給与水準を70%に切り下げることです。同一労働同一賃金の原則憲法上の法の下の平等に反しないのでしょうか?

 先の最高裁判決で、定年後の再雇用について、定年前の79%程度の給与とすることを容認していますが、今回の意見の70%という水準はそれを下回っています。また、定年退職という形を経ずに身分が継続しています。

 これが、合法、合憲なのか、私には疑問があります。

 「非正規職員の処遇等 最高裁の判断」

 

 今後、国会で議論され、成立後、地方議会でも形だけ議論されて地方公務員にも波及してくるでしょうが、どんな議論になるのか、注目しています。


   サイト案内(目次)

 時事通信によると、平成30年2月16日の午前、政府は、国家公務員の定年を現在の60歳から65歳に引き上げる方針を決め、準備に入るそうです。

 以前にも書きましたが、よほど昇給ベースを切り下げるなどしなければ人件費の増加を招くこと、高齢者の元気度には個人差があり、65歳まで一律に継続させるのは酷であること、若手のモチベーションに悪影響が想定されることなどから、私は、あまり賛成ではありません。現在の再任用制度の運用でいいのではないかと思っています。

  「公務員の定年延長」参照

 

 報道では、あまり詳しく報じられていませんが、国のホームページに「公務員の定年の引上げに関する検討会」の論点整理がアップされています。それによりますと、60歳以降定年年齢前までの職員を短時間勤務で再任用する仕組の導入なども検討されているようです。今後の検討に注目しています。

 ただ、現場の問題は、一部の市町村などが、首長の考えから再任用制度を事実上運用していないことです。そういう市町村の定年退職者は、年金支給開始までの間、御苦労されるようです。そういう問題を解決する方を取りあえず急ぐべきだと思います。

 

制度改正の方向

 今回、政府は、60歳以上の給与水準を一定程度引き下げる ②原則60歳以降は管理職から外す「役職定年制」を導入する という方向性を決めたとのこと。

 これだけでは、かなり人件費が上がりそうですが、「総人件費管理と人件費の価値の向上」も論点に上がっています。文章から、ある程度の人件費上昇は避けられないができる限り抑制したいという気持ちが読み取れます。

ただ、この方向は、現在の制度の基本を今後も維持することを前提とした小手先の改正です。世界の潮流からますますかけ離れていくようです。

 

世界標準は「年齢差別禁止」

 日本では、採用にあたって年齢で差別することは原則として禁止されていますが、現実には、地方公務員(正規職員)も含め、容認されています。

 給料や昇進などについて、性別や人種、宗教などで差別することはもちろん違法で、仮にそんなことが明るみに出れば大問題です。しかし、給料について年齢で差別することは、普通に行われています。

 公務員の給料でも、55歳以上の職員は、昇給が原則として停止されます。

 欧米では、「年齢差別禁止法」等の法律があり、定年などがないことはもちろん、そのような年齢による給与上の差別は、違法とされているようです。

 

 日本におけるこの意識の遅れは、もしかしたら憲法に由来するのかもしれません。憲法第14条では、人種、性別などによって経済的な差別があってはならないことは明示されていますが、年齢のことは規定されていません。これは、誰もが若い時があり、いずれ老人になるからでしょう。

 

憲法第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

今回の定年延長の方向性

 今回、方向性として決定された先の2点は、世界の「年齢差別禁止」の動向からかけ離れたものです。逆方向と言ってもいいでしょう。

 ある年齢に達したら自動的に仕事の内容が変えられ、給料が大幅に下がるなど、とんでもない話で、それならいっそ再任用の方がすっきりします。

 

 どうせ制度改正するのであれば、このような小手先の改正ではなく、抜本的な改正にしてほしいものです。世界標準に合わせるには、次のようなことが必要だと思います。

 ① 定年になったらみんなが一律に辞めるのではなく、個々人の体力、気力に応じて辞める時期、役職を辞めて責任の軽い仕事に就くべき時期を決める。

② 年功序列、定期昇給などは廃止し、能力、職務内容に応じた給与とする。

③ 総人件費は、増やさない。

 

今のところ、現実的ではありませんが、いつまでも小手先の手直しで済ませることも良くありません。世界標準に近づけ、高齢者がそれぞれの能力に応じた仕事を与えられ、維持可能な年金制度を構築するビジョンが求められているのではないでしょうか。


↑このページのトップヘ