ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 十津川警部 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:十津川警部

 昔から西村京太郎さんの大ファンなのですが、近年の作品に明らかな間違いや変な部分が多く、心配しています。出版社、編集者の皆様に、先生の名声を汚さないように注意していただきたいと思い、綴っています。

 

 この作品には、誰もが読み終えれば分かってしまう致命的な欠陥があります。結末がないのです。

 いくつかの事件が起こっていますが、どれも解決していません。最大の事件である列車爆破事件について、容疑者の動機の推測ができただけの段階で、物語が終わってしまっています。誘拐事件など、他の事件についても、犯人などの推測が語られるだけで、捜査もされず、犯人も捕まっていません。

 文芸Webマガジンで連載されたもののようですが、途中で放り出してしまったような感じです。

 

 他にも、刑事手続などの間違いがたくさんあります。

 まず、一度別の人物が犯人とされ、死刑判決が確定している事件について、簡単に別の人物を犯人とする公判が始まっています。ありえません。

 次に、長野地裁でのその公判について、ラジオが法廷内で生中継しています。ありえません。

 次に、その被告人が自殺(を装った他殺?)で死亡し、裁判所は、世論の批判を避けるためにすぐに有罪、死刑の判決を下しています。被告人が死亡した場合は、公訴棄却とすることが刑事訴訟法で定められており、有罪判決を下すことはあり得ません。

 さらに、その死者への地裁の死刑判決に対して、その死者に縁のあった女性に「上告」させます。「上告」とは最高裁に上げることであり、この場合は「高等裁判所に控訴」です。前提の判決自体がありえないので、どうでもいいのですが・・・。

 まだまだありますが、省略します。

 

 そのほかに、小説の構成としての妙な点もあります。

 私立探偵の橋本ら民間人7人に捜査を依頼するのですが、大掛かりな設定なのにその後の展開に反映されず、放りっぱなしです。「あれは何だったんだ?」という感じです。

 このような伏線の張りっぱなし、回収漏れのような部分は、近年の他の作品にも目立ちます。

 繰り返しになりますが、出版社、編集者は、十分注意して、先生の名声をなるべく汚さないようにお願いします。

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 この作品には、最初のページからミスがあります。しかも、トラベルミステリーの第一人者の西村氏とは思えない、鉄道の知識に関する残念なミスです。

 

 北陸新幹線開業によって、東京、金沢の遠距離恋愛に及ぼす影響を解説している部分です。

 今までは東海道新幹線で京都まで行き、京都から北陸本線の「サンダーバード」で金沢へ行くか、東海道新幹線で米原まで行き、そこから北陸本線の「しらさぎ」で金沢まで行くかのどちらか、前者は4時間30分、後者は5時間かかっていたと説明されています。お分かりのとおり、大事な路線が漏れています。

 北陸新幹線開業までは、上越新幹線で越後湯沢まで行き、ほくほく線経由の特急はくたかで金沢まで行くのが、3時間50分から4時間15分ほどと最短でした。しかも、はくたかは、在来線特急の営業運転で日本一のスピードを誇る人気列車でした。

これを漏らすとは、西村氏とも思えません。私自身も、2回ほど乗った懐かしい列車が漏れていて、残念でした。

 

 終盤で、犯罪に至るきっかけが解き明かされる場面も、不自然な点が目立ちます。

 

① 普通の女子大生が、恋人への誕生日のプレゼントに、100万円を超える中古のポルシェを贈ろうなどと考えるというのは、極めて不自然で、ほとんどあり得ない。

② 推理の過程で、亀井刑事や十津川警部の若いころなら、若い男が欲しがる物は車だったかもしれないが、今の東京に一人暮らしをしている若い男が、車を欲しがるのが一般的か?

③ 被害者の普通の女子大生が、入手困難なチケットを大量に入手できた理由は?もし、友人を動員して入手したなら、警察が友人に対する聞き込みをやっているのに、そのことが出てこないはずがない

 

 ①③の点は、犯罪に至る根幹の部分です。これらに不自然な点があると、作品全体が変になります。

 出版社、編集者は、もっと気を付けていただきたいと思います。

 
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