ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 危機管理 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:危機管理

 2025年1月、タレントの中居正広氏が芸能活動から引退することになり、フジテレビの港社長が炎上して進退窮まっています。いずれも、直接的には危機管理の失敗によるものです。

 根本的な原因としては、中居氏の場合、性接待を受けても当然な特別な存在であると自認していたような気がします。だから性加害事件を起こし、「示談が成立したから芸能活動再開に支障がない」などとバカな本音を発信してしまったのでしょう。

 フジの港社長の場合、女性アナウンサーなどに接待させる組織風土が昔からあったのか、港社長がそんな風土を作ったのか、私には分かりませんが、ガバナンスの欠如した会社であることは確かです。

 理解しがたいのは、両者とも、危機管理の専門家の助言を仰がなかったのかという点です。中居氏については、なぜいきなり活動再開に言及するようなコメントを発表したのか、フジテレビについては、テレビカメラ不可などというテレビ局とも思えない馬鹿げた記者会見をなぜやったのか?

 危機管理を多少なりともかじった人なら、ヤバいと思ってストップをかけたはずです。特にフジテレビの経営陣がストップをかけなかったことは驚きです。

 私の古巣の県庁では、管理職研修などでは危機管理やマスコミ対応を何度も学ばされました。私は、謝罪会見の模擬演習までやったことがあり、幸か不幸か、巡り合わせで、その演習が役に立ってしまいました。

 また、研修など受けていなくても、例えば日本大学やジャニーズの事件など、これまでの様々な事件から、あんな会見をすればどういう結果になるか予測できないでしょうか?

 港社長の会見の様子などを見ると、彼はそんな研修を受けてもいないし、過去の事例の知識もないようにみえます。他の経営陣がストップをかけなかったところを見ると、経営陣は誰も危機管理について全くのシロートのようです。今どき、あんな浮世離れした組織もあるんですね・・・。
 フジテレビは、スポンサーが離れ、屋台骨が揺らいでしまいました。危機管理の失敗は、やはり恐ろしいものです。

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 また日大の不祥事です。2018年のアメフト部の悪質タックル事件をきっかけに、2021年には田中前理事長の脱税などが明るみに出て辞任に追い込まれ、体制立て直しのため2022年からOBで著名な作家である林氏が理事長に就任されていました。

 今回のアメフト部の違法薬物事件を見ると、改革はまだまだ進んでおらず、幹部連中の中にも不適格者がかなり残っている印象です。彼らを排除しなければ、改革は進まないでしょう。今回の事件は、不適格者をあぶりだすチャンスかもしれません。

 

数々の判断誤り等の責任者を特定せよ

 大麻使用の情報が再三あり、怪しいブツまで見つかっている状況で、なぜ正式に警察に相談しなかったのか、その判断をしたのは誰か、理事長まで伝わっていない情報があったとすれば誰が情報を止めたのか、責任者を明らかにしなければなりません。

 私の古巣の県庁では、悪い情報は一刻も早くトップまで伝えるように徹底されていました。対応策を考えてから上に伝えたくなる気持ちもありましたが、そのために伝達が遅れることは許されませんでした。詳報や対応策は、第2報以降で伝えればいいのです。

 今回の日大のような判断誤りは、組織人としては失格であり、そんな幹部を職にとどめておいては組織の立て直しなどできません。

 

危機管理学部があったはずだが

 日大には、他の大学ではあまりない「危機管理学部」があります。そこのスタッフは、自分の大学のこの体制を見過ごしていたのでしょうか?また、大学幹部は、大学の危機に際して、「危機管理の専門家」である彼らに相談しなかったのでしょうか?

 大学の危機に対して何もできなかったとすれば、この危機管理学部の存在価値に疑問符が付かざるを得ません。つまり、これは危機管理学部の危機でもあったのに、彼らは何もできなかったのか?

 これでは、ここで学ぼうとする学生などいるのでしょうか?

 おそらく林理事長も嫌気がさしていると思いますが、途中で投げ出すわけにはいかないでしょう。健闘を期待します。


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 2022211日に火災が発生し、6人の犠牲者を出した新潟県にある菓子メーカー三幸製菓、結構大きく、名前も知られている会社ですが、基本的な危機管理が全くできていないようです。絵に描いたような失敗事例として残りそうです。

 

ハインリッヒの法則(ヒヤリ・ハットの法則)

 地元の消防本部によると、あの工場では1982年の操業開始以降、米菓の屑などが燃える火災が8件も発生しているとのことです。また、火災報知器が作動しても「また誤報だろう」と作業を続けることが常だったとも報じられています。消防に通報されないボヤも多発していたのかもしれません。

 ハインリッヒの法則(別名、ヒヤリハットの法則)とは、労働災害における有名な経験則です。1件の重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在するというものです。多くの組織では、「ヒヤリハット報告」「ヒヤリハット活動」などで、大災害の芽を事前に摘むことに努めています。

 三幸製菓の今回の惨事は、この原則が正しいことを実証してしまいました。

 

なぜ社長の会見が遅れている?

 また、災害が発生した後の対応もかなりお粗末です。

 火災から1週回以上経った2月19日時点、警察による本社の立入捜査も始まっています。しかし、広報担当者が謝罪したという報道はありましたが、社長が会見したという報道はありません。これは、かなり特異なことです。

 考えられる可能性としては、社長に記者会見を促す経営幹部がいない、または会見を促された社長がぐずっている、どちらかでしょう。

 火災が鎮火した直後に、社長が記者会見して謝罪すべきでした。調査中のことは調査中と答えればよく、分からないことは分からないでもやむを得ないので、会見すべきでした。遅れれば遅れるほど、「なぜこんなに遅いのか」という非難が加わり、誠意が伝わりにくくなってしまいます。

 

 私の古巣の県庁などでは、「危機管理研修」などにより、これらの心得を叩き込まれました。私は、模擬謝罪会見まで経験しました。三幸製菓は、そういう体制になかったようです。

 今回の事案、多くの組織に再点検のきっかけを与えてくれました。

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 芸能ネタにはあまり興味がないのですが、この騒動には、危機管理の観点から関心を持ちました。

 昨今、事態を収束させようとして、その対応を誤り、かえって火に油を注いでしまったという事例をしばしば目にします。

 各地のいじめなどの問題で、学校や教育委員会が、むりやりいじめがなかったという結論を出して幕引きを図り、被害者側の反発を招き、結論がひっくり返されたりもしています。事件を矮小化して終わらせ、一件落着させるという手法が通用しないことは、もはや危機管理の常識と言ってもいいと思うのですが、いまだにそれをしようとする組織が後を絶ちません。

 

見通しの甘さ

 今回、運営会社のAKSが、なぜ被害者である山口さんの納得も得られないような内容を発表して幕引きができると考えたのでしょうか?あの発表の内容では、山口さんが納得しないことを予想できなかったはずはありません。実際、第三者委員会の報告書の内容そのものにさえ、山口さんや他の一部のメンバーが不満を抱いていたことをAKSも会見の中で認めざるを得ない状態でした。

 常識的に考えれば、そのような状態で会見を開き、幕引きができるはずがありません。

 

 私の想像ですが、あの会見に山口さんが納得しないことはAKSも承知していたけれども、一応一区切りつけた形だけ整えようとした。その後、山口さんらが不満を述べようとも、黙殺して、沈静化するのを待つつもりだった・・・。

 そんなところだろうと思います。山口さんが、会見の途中にツイッターで乱入してくることは想定していなかったのでしょう。要は、考えが甘かったわけです。誰か、山口さんに入れ知恵した人がいたのかもしれません。

 AKSもマスコミに対する自分たちの影響力を過信していたのかもしれません。

 

危機管理の鉄則

 今回、AKSは、加害者側に加担していた一部メンバーを守り、そのことによって自分たちの利益をも守ろうとしたのでしょう。

 不祥事が起きたとき、中途半端に何かを守ろうとすることは墓穴を掘ります。一切を明らかにすることが、最善の方策のようです。

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 日大アメフト部の事件について、大学理事長ら当局のやることは、すごく不合理に見えます。理事会が速やかに調査して対応しないこと、内田前監督について全ての職から解任しないこと、理事長が記者会見しないことなど、わざわざ問題を大きくしているようで、不合理です。

 しかし、理事長などの立場に立ってみると、その時々の判断には、合理性があるようにも思えます。

 

理事長を表に出すのは最後の最後

 理事長が記者会見を行えば、その時に発表する内容がどんなものであろうと、暴力団との交際について質問されることは明らかです。写真もあり、過去に調査した記録もあり、交際を否定することはできないでしょう。そうなると、学校法人の理事長としては致命的に不適格であることが白日の下にさらされてしまいます。結局、大学の評判を地に落とした末に辞任せざるを得ないことになるでしょう。

 大学当局、理事長としては、世間の関心が薄れるかもしれないという一縷の望みにすがって、ひたすら引き延ばしを図るという行動も合理的かもしれません。

 

前監督を切り捨てられない

 大学が、あの悪質な反則を監督らが指示したものだと認定すれば、前監督らの辞任を認めるのではなく、全役職から解任(懲戒解雇)せざるを得ないでしょう。そうなった場合、理事長の懐刀として大学や理事長の暗部を熟知している前監督が、どんな反撃に出てくるか予測ができません。

 最終的には前監督を切り捨てなければならない可能性は考えているでしょうが、このような危険があるので、なるべく引き延ばし、世間の関心が薄れることに期待せざるを得ないのかもしれません。

 

第三者委員会の結論も早くはできない

 第三者委員会を設置したこと自体が引き延ばし策なのでしょう。外部の機関である関東学生連盟が結論を出した後になって、大学の「第三者委員会」で調査してもほとんど無意味だと思います。

 学生連盟と異なる結論を出せば、世間からは身内の組織防衛と疑われ、信じてもらえないでしょう。そもそも、選手らに聴取すればすぐに分かることを2か月もかけて調査する意味がありません。

 唯一、意味があるとすれば、日大アメフト部がなぜ勝利至上主義に陥ってしまったのか、日大の組織にどのような問題があったのかという根本原因を解明することだと思います。それならば2か月かかるかもしれません。しかし、それであれば、あのタックルが監督やコーチの指示で行われたことはすぐ分かるでしょうから、それを中間報告等の形で発表した上で、根本原因に切り込むべきでしょう。

 被害を受けた関西学院大学側に事情聴取するなどは見当違いです。

 公表時期を少しでも遅らせようとするのは、やはり世間の関心が薄れるのに期待しているのでしょう。結果を公表すれば、その対応について理事長が記者会見することを求められるので、それを避けたいのでしょう。

 

 組織内に弱み、暗部を抱えていると、どんなに危機管理を的確にやろうとしても、手足を縛られているようで、うまくいかないでしょう。組織内に後ろ暗い部分を存在させないことが、最大の危機管理だと思います。

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