ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 地方財政法 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:地方財政法

 18年ぶりのセ・リーグ優勝の阪神と、パ・リーグ3連覇を果たしたオリックスの優勝記念パレードが、11月23日、大阪市と神戸市で賑やかに開催されました。華やかさの裏で、警備に従事した職員について、ちゃんと公務で対応した兵庫県・神戸市に対し、ボランティアとした大阪府・大阪市の対応が批判されています。

 さらに、大阪府・市は、職員から寄附金も「割り当てて」募ったことが報じられています。私も、大阪府や大阪市のやり口は、違法である疑いが極めて強い行為だと思います。

 残念ながら、この手の悪質な行為は、公に報道されているだけでも時々起こっています。報道されないケースもかなりあるだろうと思います。4年前(2019年)にも愛媛県が、松山空港ソウル便の搭乗率を上げるため、部局ごとの目標を示して職員に私的な韓国旅行を促して問題になりました。人々の記憶も薄らいでいるだろうとは思いますが・・・。

 「割当て的寄付の禁止 愛媛県のソウル便支援策に思う」 参照願います。

 

 今回の大阪のケース、労働法の観点からの批判はメディアでかなり出ているので、ここでは私は地方財政法の観点から批判したいと思います。

 地方財政法第4条の5では、「割当的寄附金の禁止」を定めています。国は地方公共団体やその住民に対し、都道府県は市町村やその住民に対し、市町村は住民に対して、寄付を割り当てて強制的に徴収してはならないというものです。通説的解釈では、割り当てるという行為自体が強制の意味を含むため割り当てること自体が禁止され、また、強制的とは心理的圧迫も含むこととされています。「部局ごとの目標は示したが強制はしていない」などという言い逃れを許せば、規制自体の意味が失われます。

 今回の大阪でも部局ごとの割り当てが行われたと報じられており、心理的圧迫も当然あったでしょう。拒否すれば、まるで郷土愛がないかのように思われかねません。

 無償の労務提供は、金銭の寄付と同じことです。今回は、金銭の寄付も割り当てられたようです。したがって、今回の大阪のケースは、4年前の愛媛県のケースより違法性が強いでしょう。

 また、万一の事故の場合の責任や職員への補償にも不安があります。ボランティア扱いの場合、公務災害になるのか等・・・。
 維新の会が天下を取ると、こういうやり口が主流になってしまうのでしょうか?

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 広島県の湯崎知事が、421日、国が新型コロナ対策として全国民に一律給付する10万円について、県職員が受け取る分を寄付してもらい、県の新型コロナウイルス対策の財源にしたいという意向を表明しました。

財源が不足しているという現状は理解できますが、雇用主が従業員に寄付を割り当てるなど労働法の視点から問題があります。それに加え、地方財政法にも抵触すると思われ、いささか無理筋でしょう。ネット上は賛否が分かれているようですが、識者からは冷笑的な声が多かったようです。

この思い付きは、さすがに22日に早くも事実上撤回に追い込まれました。恐らく良識のある県幹部などが忠告したのでしょうが、県職員の懐を狙うことはあきらめていないようです。

 

地方財政法の規制

この法律は、地方公共団体の財政運営、国と地方公共団体や地方公共団体間の財政的な関わり方の基本事項等を定めています。

 その第4条の5では「割当的寄附金の禁止」を定め、その内容は、国は地方公共団体やその住民に対し、都道府県は市町村やその住民に対し、市町村は住民に対して、寄付を割り当てて強制的に徴収してはならないというものです。

 

地方財政法第4条の5(割当的寄附金等の禁止)

 国(国の地方行政機関及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

 

地方財政法の解釈

 戦後の財政難の時代、寄付金の名目に隠れて国や地方自治体による強制的な負担の転嫁が横行していた反省から、上の条文は、国や地方公共団体の行為をかなり広く規制する解釈が通説になっています。

 例えば、「間接であるとを問わず」とは、実行委員会や「〇〇財団」などを設けてそこを介して寄付を集めるような行為を指しています。

 「割り当てて強制的に徴収」は、一体的な観念と解され、「割り当てる」ということは、当然、強制の意味を含むものであるので、本条はこの「割り当てる」という行為自体を禁止し、あわせて「強制的な徴収(これに相当することを含む。)」を禁止しているという解釈です。つまり、割り当てをしても強制的に徴収さえしなければよいと解釈してはいけないということです。

 「強制的に徴収」とは、権力関係を利用して強圧的に寄附をさせるという意味であり、応じない場合に不利益をもたらすべきことを暗示する等社会的心理的に圧迫を加える場合も含むという解釈です。

 

広島県の事例

 広島県の今回のケースは、知事の言葉から、職員一人当たり10万円という目安、目標金額を割り当てたと解釈すべきでしょう。また、ほとんどの職員は、県の住民でしょう。

誰が寄付に応じ、誰が応じなかったか当局に把握されるでしょうから、職員に心理的圧迫が生じることは明白です。

地方財政法の通説的解釈からすれば、今回の広島県知事の思い付きは、違反です。

また、職員団体も、こんな無理筋を許しては存在意義を問われるので、大反対するはずで、実現は不可能だったでしょう。

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