ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 失敗学 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:失敗学

   サイト案内(目次)

 全国的に有名な徳島市の夏の風物詩「阿波踊り」ですが、市が中心となって新たに組織した実行委員会と有力な踊り手グループ(連)が所属する踊り手団体「阿波おどり振興協会」が対立し、混乱しました。実行委員会が収益増のために「総踊り」を止めて四つの有料演舞場に分散することをもくろんだのに対し、踊り手団体が反発し、実行委員会の反対を押し切り、恒例の「総踊り」を強行開催しました。

巨額の累積赤字の発覚で市が改革に乗り出したわけですが、踊り手団体との対立を招いたうえ、今年度の来客も例年に比べて大幅に減少させたようです。

 

踊りの主体は誰か

 阿波踊りの主人公は、踊り手たちです。もともと、観光イベントではなく、自分たちの楽しみのためにやっているものです。ライバルのグループ(連)の踊りも見たいでしょう。それなのに、踊り手グループの意向を無視して、その楽しみの最大の山場を勝手に中止、分散するなど、そんな意思決定は考えられません。

 赤字を出したくないなら、踊り手たちの楽しみを阻害せず、納得してもらえる方策を探さなければなりません。

 踊り手たちの意向が反映されていない誤った意思決定が、どういう過程で行われたか、「失敗学」の見地から興味があります。詳報を期待しています。

 

盛り上がりの分散は愚策

 観光イベントとしてみた場合でも、見物客にとっての最大の魅力、山場は、総踊りでしょう。圧倒的な迫力、盛り上がりを体感したいために訪れる観光客も多いと思います。その目玉を分散してしまえば、迫力も減ってしまい、魅力の乏しいものになってしまいます。見に行こうという人も減ってしまうでしょう。

 今回、踊り手たちの協力が得られていたと仮定しても、収益増が図られていたか疑問です。最初の年だけは収益が増えたとしても、魅力、迫力の減ったイベントに、将来にわたって客が来てくれるとは思えません。

 

地元マスコミのチェック機能

 一般に、このような事態になる前にストップがかかるものですが、今回は、地元の徳島新聞が昨年までの累積赤字にかなりの責任があり、また、市長は系列のテレビ局の出身でもあるため、筆が鈍っていたのではないかと思います。地元マスコミの沈黙が、市の暴走を許した可能性があるのでしょう。

 たしかに、徳島新聞は、今回の市の改善策を批判できる立場になかったことは理解できるのですが、他のマスコミは市の暴走を止められなかったのでしょうか?

 

 来年は、今回の反省の下に、市民と行政が一体となって総踊りを盛り上げていただきたいものです。


   サイト案内(目次)

 日大アメフト部の問題を観察していて、あきれ果てている人が多いと思います。私も、「何でこんなことを?」と感じるような部分が多く、日大には組織として欠陥があると思わざるを得ません。

 特に、5月23日の緊急の記者会見には、あきれましたが、その他にも首をかしげたくなることが多々あります。

 

5月18日の理事会でこの問題が取り上げられなかった!

 この理事会の前日には、この問題は既に炎上していました。対応を誤ると、アメフト部の存続や大学のブランドイメージなどが危ぶまれることは明白でした。

 そんな時に、せっかく理事会が開催されたのに、誰一人としてこの問題を問い質そうとする人はいなかったようです。理事は、全員役立たずのお飾りだったということです。

 特に、理事長、副理事長、学長等は、何を考えていたのでしょうか?

 

 想像するに、聞きたいこと、言いたいことは山ほどあったにもかかわらず、常務理事である内田氏に遠慮して黙っていたのだろうと思います。そうであれば、役立たずと言わざるを得ません。そんな理事がそろったのは、組織として重大な欠陥があります。

 もう遅すぎると言わざるを得ませんが、今からでも理事会が本来の役割を果たさなければ、さらに酷いことになってしまいます。

 

誰が事態をマネジメントしているのか?

 これほどの危機に、事態をマネジメントしている責任者が見えてきません。アメフト部、内田氏が独断で動いているように見えます。

 こんな問題を、直接の当事者にマネジメントさせるのは、絶対にダメだと思います。自分自身の立場を守ることと、大学、学生の利益を守ることが、両立しないからです。

 大学、学生の利益を最優先に考えることのできる立場の人、危機管理の素養のある人にマネジメントさせなければなりません。

 この事件の当事者で、自身の保身を図る可能性がある人は、この問題の方針決定からは除外しなければならないことは当然です。

 

 23日の緊急記者会見は、誰が決定したのでしょうか?あんなことを発表するなら、予定どおり関西学院大学への再回答の際でもよく、準備不足で緊急会見をした判断が理解できません。

 

 記者会見の司会者に、あの広報部顧問という職員を充てたのは、誰が決めたことなのでしょうか?危機管理の素養もなく、あのような場をさばけるような性格、能力の持ち主ではないことは、分からなかったはずがないと思うのですが・・・。

 かなり高齢のようで、どんな事情で広報部顧問という職責に就き、あのような重要な場面に登場してきたのか想像がつきません。これも内田氏が人事担当役員であることによる弊害なのでしょうか?

 

 前稿でも述べましたが、「危機管理学部」が収拾に乗り出さなければ、存在価値が問われますよ。

 「日本大学危機管理学部の危機管理」


   サイト案内(目次)

 東京都中央区の区立泰明小学校で、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」のデザインによる新たな「標準服」が高価すぎると批判されています。最低限のセットで6万円ほど、替えのシャツまで含めると一式8~9万円ほどもするとのこと。保護者が苦情を言うのも当然です。

 

失敗学、危機管理論の貴重なサンプル

 この標準服の決定は、明らかに大失敗です。公立学校の使命を忘れ、経済的に困難な家庭もあることを無視した決定自体が、どんな立派な動機があろうと失敗です。

全国ニュースで批判を浴びるに至っては失敗であることは明らかで、途中過程でも引き返す機会を失するなど、決定後の様々な対応も失敗しています。まるで、失敗学の古典、「失敗の本質」(戸部良一ほか)で取り上げられているインパール作戦のようです。

 近年中に、ハーバードなどの、失敗学、危機管理論の講義レジュメに取り上げられるかもしれません。

 

失敗の数々

 行政職員として、数々の失敗を見聞きし、自らも失敗してきた私から見て、この件の失敗を列挙してみます。

1 常識、バランス感覚を欠く人物を校長に据えていたことが、まず、根元的な失敗でしょう。人事システムに問題があることは、明らかです。

2 この種の仕事は、通常の学校では副校長が中心になることが多いと思いますが、この件では副校長の役割が見えず、イエスマンだった可能性があります。副校長が適時に教育委員会に相談するなどすれば、防げていたはずで、人事配置も失敗しています。

3 利害関係者である保護者を関与させずに決定したこと、そんなやり方を許す組織であったことも、失敗です。

4 おおよその価格が明らかでない状態で導入を決めるなどは、ほとんど信じがたい失態です。

5 価格が明らかになり、高価すぎることが分かった時点で、引き返さなかったことも失敗です。関係者も、今になってみれば、アルマーニに賠償金を払うことになっても、新学期の一月くらい標準服の供給が間に合わなかったとしても、今の事態よりはましだったと思っていることでしょう。

6 区の教育委員会が、事態を把握することが遅かった失敗はもちろんですが、把握してからも、引き返させる決断をしなかったことも失敗です。断固として、計画を撤回させるべきでした。

7 私は東京都の仕組はよく知りませんが、一般的に、学校設置者は市(区)ですが、教員の人事権は都道府県の教育委員会が握っています。市(区)の教育委員会の幹部より有力校の校長のほうが立場が上のこともしばしばです。今回も、区教育委員会の指導には限界があったのかもしれません。それならば、都の教育委員会が前面に出て対応すべきでした。このようないびつな組織であることも、失敗を大きくした原因だと思います。

8 騒動になってからも学校側が公表した文書、校長の記者会見は、真正面から失敗に向き合っておらず、危機管理の観点からお粗末なものです。区や都の教育委員会が全面的に介入することをためらった結果と思われ、失敗でした。


  私たち、行政に携わる身としては、このような事件を教訓にして、適切な組織運営、意思決定に努めなければなりません。

↑このページのトップヘ