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NHK受信料について、以前在職していた県庁も同様だったのですが、私が現在所属している小規模自治体でも、根拠なく年度をまたいで契約している実態でした。また、口座自動振替にすれば受信料が多少安くなるので、その2点が気になっていました。このたび(平成29年12月)、長の御理解をいただき、適正化できたので、御報告させていただきます。
長期継続契約の対象に指定
当自治体の「長期継続契約が締結できる契約を定める条例」では、施設等の維持管理や機器等の賃貸借に加え、「その他長が特に必要と認める契約」という包括的な号が設けられており、これに基づいて「日本放送協会との放送受信契約」を指定しました。
私がかつて属していた県庁など、他の自治体では財務規則で追加できるような条例になっている場合が多いので、その場合は財務規則を改正すればいいわけです。
なお、自治法に精通しておられる方は、長期継続契約は各年度の予算の範囲内で役務の提供を受けなければならないことを危惧されるかもしれません。しかし、このような運営費は、暫定予算でも認められるべきもので、所要の予算が議決されないというのはありえない事態だと思います。また、万一の場合は、テレビを除却(受信料のかからない状態に)する覚悟です。
資金前渡の対象に指定
多くの自治体では、電気、ガス、水道などの公共料金は、資金前渡として資金前渡職員の口座に振り込み、その口座から自動引き落としとしています。しかし、自治令第161条第1項の各号を見ても、NHK受信料は該当せず、他の公共料金と同じ扱いにしようとすれば、第17号に基づいて、自治体の規則(財務規則等)で指定しなければなりません。
先日、財務規則の改正手続を終え、NHK受信料を資金前渡の対象に加えました。
この制度改正をした理由
この規則等の整備によって安くなる受信料は、年間わずか550円です。しかし、一度やっておけばずっと有効であること、年度をまたぐ契約を適正化すべきことから、実施しました。もっと大胆に、公金口座から直接自動引き落としを容認している自治体があることも承知していますが、違法っぽいので、次善の手法にしました。(このことについては、いずれ別稿で)
「地方自治体の口座自動振替の可否」参照
地方自治法もNHKも総務省の所管です。長期継続契約にしろ資金前渡にしろ、法律、政令でNHK受信料を初めから対象にしなかったことは、立法ミスのような気がしますが、自治体でできる改善は、今後も続けたいと思います。
〈参照条文〉
地方自治法
(長期継続契約)
第234条の3 普通地方公共団体は、第214条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。
地方自治法施行令
(資金前渡)
第161条 次に掲げる経費については、当該普通地方公共団体の職員をして現金支払をさせるため、その資金を当該職員に前渡することができる。
(1)~(8)、(10)~(12)、(15)、(16) 略
(9) 官公署に対して支払う経費
(13) 電気、ガス又は水の供給を受ける契約に基づき支払をする経費
(14) 電気通信役務の提供を受ける契約に基づき支払をする経費
(17) 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上現金支払をさせなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの
(長期継続契約を締結することができる契約)
第167条の17 地方自治法第234条の3に規定する政令で定める契約は、翌年度以降にわたり物品を借り入れ又は役務の提供を受ける契約で、その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに支障を及ぼすようなもののうち、条例で定めるものとする。