ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 年齢差別禁止法 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:年齢差別禁止法

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 仕事内容は同じなのに定年後の再雇用で賃金を減らされたのは違法だとして、横浜市の運送会社の契約社員(運転手)3人が正社員との賃金差額を支払うよう同社に求めた訴訟が最高裁で争われています。運転手側は逆転敗訴した2審判決の破棄を求め、会社側は維持を求めています。最高裁第2小法廷では弁論も行われ、6月1日に判決が予定され、注目されています。

 

争点は

1審は、「仕事内容が同じなのに賃金格差を設けることは、特段の事情がない限り不合理」として会社側に約415万円の支払いを命じました。これに対して2審の東京高裁は、減額幅は2割程度で同規模企業の平均より小さいとし、その上で「定年後の賃下げは広く行われ、社会的に容認されている」として、地裁判決を取り消しました。

3月には、北九州市の食品会社でのトラブルについて最高裁で、定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として、仕事をパートタイムとした上で賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた高裁の判決が確定しています。判決の中で、再雇用については「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」との判断が示されています。

 

今の流れでは、定年後の再雇用では、ある程度の賃金ダウンは容認されるのでしょう。運転手などのように、定年前後で仕事内容にほとんど変わりがない場合、どの程度のダウンまでが許容されるかが、一つの注目点でしょう。

 

地方公務員にも影響?

 地方公務員の再任用の場合、再任用後は、責任の程度が軽い職務に替わることが一般的です。そのようなケースについては、あまり問題にならないと思います。

 自治体によっては、再任用後に定年前の役職にそのままとどまるような再任用も時々行われています。そのような場合でも、給料は25%くらい下がることが多いようです。

 最高裁の判断によっては、影響を受けるかもしれません。

 

日本は年齢差別に寛容

 アメリカでは、年齢差別禁止法によって、定年制も原則として禁止されているようです。採用時の年齢制限など、禁止されていることはもちろんです。

 一方、日本では、採用時の年齢制限の禁止は非常に緩く、いわゆる正規社員、正規職員の採用は、キャリアを積み重ねる必要性などから、広く容認されています。定年制が一般的であることは、もちろんです。さらに、定年後の再雇用において、賃金をかなり下げることも一般的に行われています。

 

 日本のこの緩さは、憲法に由来しているのかもしれません。憲法第14条は、「年齢」での差別の禁止を明示していません。

 

 日本国憲法第14 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

 定年のある社会と、定年のない社会。私は、どちらかというと、定年があって責任に一区切りつけられる社会の方が、気に入っています。

 

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 時事通信によると、平成30年2月16日の午前、政府は、国家公務員の定年を現在の60歳から65歳に引き上げる方針を決め、準備に入るそうです。

 以前にも書きましたが、よほど昇給ベースを切り下げるなどしなければ人件費の増加を招くこと、高齢者の元気度には個人差があり、65歳まで一律に継続させるのは酷であること、若手のモチベーションに悪影響が想定されることなどから、私は、あまり賛成ではありません。現在の再任用制度の運用でいいのではないかと思っています。

  「公務員の定年延長」参照

 

 報道では、あまり詳しく報じられていませんが、国のホームページに「公務員の定年の引上げに関する検討会」の論点整理がアップされています。それによりますと、60歳以降定年年齢前までの職員を短時間勤務で再任用する仕組の導入なども検討されているようです。今後の検討に注目しています。

 ただ、現場の問題は、一部の市町村などが、首長の考えから再任用制度を事実上運用していないことです。そういう市町村の定年退職者は、年金支給開始までの間、御苦労されるようです。そういう問題を解決する方を取りあえず急ぐべきだと思います。

 

制度改正の方向

 今回、政府は、60歳以上の給与水準を一定程度引き下げる ②原則60歳以降は管理職から外す「役職定年制」を導入する という方向性を決めたとのこと。

 これだけでは、かなり人件費が上がりそうですが、「総人件費管理と人件費の価値の向上」も論点に上がっています。文章から、ある程度の人件費上昇は避けられないができる限り抑制したいという気持ちが読み取れます。

ただ、この方向は、現在の制度の基本を今後も維持することを前提とした小手先の改正です。世界の潮流からますますかけ離れていくようです。

 

世界標準は「年齢差別禁止」

 日本では、採用にあたって年齢で差別することは原則として禁止されていますが、現実には、地方公務員(正規職員)も含め、容認されています。

 給料や昇進などについて、性別や人種、宗教などで差別することはもちろん違法で、仮にそんなことが明るみに出れば大問題です。しかし、給料について年齢で差別することは、普通に行われています。

 公務員の給料でも、55歳以上の職員は、昇給が原則として停止されます。

 欧米では、「年齢差別禁止法」等の法律があり、定年などがないことはもちろん、そのような年齢による給与上の差別は、違法とされているようです。

 

 日本におけるこの意識の遅れは、もしかしたら憲法に由来するのかもしれません。憲法第14条では、人種、性別などによって経済的な差別があってはならないことは明示されていますが、年齢のことは規定されていません。これは、誰もが若い時があり、いずれ老人になるからでしょう。

 

憲法第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

今回の定年延長の方向性

 今回、方向性として決定された先の2点は、世界の「年齢差別禁止」の動向からかけ離れたものです。逆方向と言ってもいいでしょう。

 ある年齢に達したら自動的に仕事の内容が変えられ、給料が大幅に下がるなど、とんでもない話で、それならいっそ再任用の方がすっきりします。

 

 どうせ制度改正するのであれば、このような小手先の改正ではなく、抜本的な改正にしてほしいものです。世界標準に合わせるには、次のようなことが必要だと思います。

 ① 定年になったらみんなが一律に辞めるのではなく、個々人の体力、気力に応じて辞める時期、役職を辞めて責任の軽い仕事に就くべき時期を決める。

② 年功序列、定期昇給などは廃止し、能力、職務内容に応じた給与とする。

③ 総人件費は、増やさない。

 

今のところ、現実的ではありませんが、いつまでも小手先の手直しで済ませることも良くありません。世界標準に近づけ、高齢者がそれぞれの能力に応じた仕事を与えられ、維持可能な年金制度を構築するビジョンが求められているのではないでしょうか。


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