地方公共団体の財政運営、国と地方公共団体や地方公共団体間の財政的な関わり方の基本事項等を定めた、地方財政法という法律があります。
その第4条の5では、「割当的寄附金の禁止」を定めています。内容は、国は地方公共団体やその住民に対し、都道府県は市町村やその住民に対し、市町村は住民に対して、寄付を割り当てて強制的に徴収してはならないというものです。
地方財政法第4条の5(割当的寄附金等の禁止)
国(国の地方行政機関及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。
地方財政法の解釈
戦後の財政難の時代、寄付金という名目でごまかして国や地方自治体による強制的な負担の転嫁が横行していた反省から、上の条文は、国や地方公共団体の行為をかなり広く規制する解釈が通説になっています。逐条解説書などでも次のように説明されています。
例えば、「間接であるとを問わず」とは、後援会を設けてそこを介して寄付を集めるような行為を指しています。
「割り当てて強制的に徴収」は、一体的な観念と解され、「割り当てる」ということは、当然、強制の意味を含むものであるので、本条はこの「割り当てる」という行為自体を禁止し、あわせて「強制的な徴収(これに相当することを含む。)」を禁止しているという解釈です。つまり、割り当てをしても強制的に徴収さえしなければよいと解釈してはいけないということです。
「強制的に徴収」とは、権力関係を利用して強圧的に寄附をさせるという意味であり、応じない場合に不利益をもたらすべきことを暗示する等社会的心理的に圧迫を加える場合も含むという解釈です。
愛媛県の事例
愛媛県は、松山空港ソウル線の搭乗率を上げるため、部局ごとの目標人数を示して私費での韓国旅行を職員に促して問題になりました。それに対して中村知事は、ノルマやペナルティーはないことから「何が問題なのか分からない。」と述べたとのことです。
愛媛県の今回の行為は地方財政法が規制している分野ではないでしょう。しかし、「割り当て」に「強制」の意味があることは、通説的な共通認識です。部局ごとに目標人数を割り当てれば、各部局や所属職員は心理的な圧迫を感じることは当然です。知事の抗弁は、やや無理筋でしょう。
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