ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 改ざん : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:改ざん

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 97日付で人事院から各省庁に『懲戒処分の指針における「公文書の不適正な取扱い」関係について(通知)』という文書が出され、それを受けて9月11日付けで総務省から『国家公務員に係る「懲戒処分の指針について」の一部改正について』という文書が、都道府県の人事、市町村担当に出されました。

 その通知が我が小規模自治体にも流れて来て、その存在を知ったのですが、その文書で引用されている「決裁終了後の決裁文書の修正について(通知)」という810日付けの内閣府公文書管理課長から各省庁あての文書が地方自治体には流れてきていなかったため、何とも要領を得ない、対応に困るものでした。

 この件については、私も以前から問題意識を持っていたので、内閣府の文書を取り寄せていただきました。

 『公文書の「改ざん」と「訂正」』参照

 

内閣府の文書

 この文書の要点は、決裁の終了した公文書は、修正のための決裁手続を取らなければ修正してはいけないことです。その修正の手続等について、各省庁の文書取扱規則等を改正するためのモデル規定も付されており、各省庁では、文書取扱規則等の改正を済ませたところが多いようです。しかし、地方公共団体には通知されなかったため、地方自治体の規則改正は、まだほとんど行われていないようです。我が小規模自治体はもちろん、県もまだです。

 この運用として、「決裁文書の文面、当該決裁文書の内容の意味及びニュアンスを全く変更せずに形式面のみ整える行為」は、修正には当たらないとされていますが、字体や均等割付の変更など、極めて限定的な取扱いです。フォントサイズを変更することによってニュアンスが変わるような場合は、含まないとされています。

 また、モデル規定の中に、次の項があります。

 「修正の内容が、客観的に明白な計算違い、誤記、誤植または脱字など軽微かつ明白な誤りに係るものである場合には、第1項の規定にかかわらず、修正のための決裁に係る手続を、□□に定めるところにより、簡素化することができる。

 やはり、誤字、脱字の類の訂正も、手続を簡素化していいとはいえ、決裁を要するということです。簡素化の具体例が示されていますが、合議先の関係課長などが同報でいいだけで、最終決裁権者(大臣)まで決裁を回すことが例として示されています。

 

あつものに懲りてなますを吹く

 各省庁が、どんな簡素化の措置を講ずるか、明らかになっていませんが、内閣府が具体例で示したようなやり方は、非現実的だと思います。

 昨年の電子データを修正して今年度の文書を作成することは、非常に多く、その際、年度や日付を1箇所くらい元のままにしてしまうことは、頻繁に見受けられます。多くは、発出する前に気づいて直すことになりますが、今まではおそらく起案者の一存か、直属の上司に断る程度で直していたでしょう。それを最終決裁権者まで回さなければならないでしょうか?

 修正決裁の手続を取らずに文書を直すと、「改ざん」とされ、免職又は停職ということのようです。

 あまり現実離れした厳しい規則、運用基準を作っても、かえって違反が日常化してしまいます。私は、以前も書いたように、施行前の文書と施行後の文書を区別し、施行前の文書は、簡易な手続で訂正、修正を認めるべきだと思います。施行前に気づいた誤記等は直属の上司に口頭で了承をもらう程度の手続で修正を認めるような手続を定めるべきです。財務省などで問題になったのは、施行後の過去の公文書を書き換えたものです
 もう少し状況を注視し、拙速を避けて、我が自治体の対応を検討したいと思います。

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現在の公文書作成(起案文書)のスタイル

 起案のやり方は、技術の進歩に伴って変化してきました。特に影響が大きかったのは、昭和50年ころから進んだ複写機の導入と、昭和60年代から進んだワープロ、パソコンの導入です。

 昭和40年代までは、万年筆を使って全て起案用紙に手書きで書かれることが普通でした。私は、この時代の実体験はありませんが、以前の起案を見る機会も多かったので、知っています。また、私の在職していた県庁では、起案用紙には、決裁欄や担当者の所属、姓、職名、標題、本文等を書く欄がある1号様式と、本文が1枚(裏表)で収まらなかった場合に続きを記載するための2号様式がありました。決裁が終わると、市町村へ通知する文書等は、浄書係が決裁済みであることを確認し、タイプライター等で浄書してくれました。

 複写機が入ると、1号様式に伺い文と概要だけ書き、詳細は別紙に記載するやり方が主流になりました。私も、経緯や理由などは、白い原紙に鉛筆で書き、それを複写して添付していました。だから、2号様式などはほとんど使用されなくなり、30年ほど前から見かけなくなりました。

 ワープロ等が普及すると、相手方へ発出する文案等も最初からワープロで打って添付するようになりました。もちろん、経緯や理由の部分は、ワープロ等で作成した別紙を添付します。

 

 昔の起案は、修正をしようとすると大変でした。今は、決裁欄のある1枚目に記載されていること以外の修正は、簡単にできます。

 

「修正」「訂正」はしばしば行われている

 決裁中の起案が、最終決裁までに上司が手直しを加えることは、当然のことです。

 決裁後の起案文書でも、訂正、修正は、時々行われていると思います。

例えば、決裁後に、相手方に文書を出そうとしたときに誤字や脱字に気づいた時などです。こんな場合には、上司、決裁権者にも了解を求めずに担当者の一存で訂正しているのではないかと思います。

また、状況の変化により、内容を変更しなければならないこともあります。このような場合、決裁権者の了解を得て決裁文書を差し替えたり、以前の決裁を廃棄して新たに決裁を回したりすることも、時々行われています。

 

このような行為を「改ざん」「書き換え」等として非難することはできないと思います。

 

「改ざん」と「訂正」「修正」の違い

「改ざん」として非難すべきものとそうでないものの区別は、なかなか難しいと思います。感覚的には分かっても、区別する判断基準の明示は、厄介です。

多くの場合、決裁権者が了解して修正するなら、問題はないはずです。決裁権者は、もともとその事柄を決定する権限を持っており、その権限の下に、前の決裁を取消し、新たな決裁をすることに問題はありません。しかし、今回の近畿財務局の決裁文書の場合、仮に決裁権者(異動があれば、新旧両方の局長)が了解したうえで書き換えたとしても、問題がありそうです。

 

施行前か施行後かで区別するのが適当ではないかと思います。その起案文書による事務などが実施されてしまった後には、絶対に書き換えてはいけないということなのだろうと思います。

施行後、何か前提条件に誤りが見つかったとしても、その誤りに基づいて意思決定された事実を残さなければなりません。単なる誤字、脱字などであれば、施行後に訂正することに何の意味もないので、それを禁じても問題は生じません。

既に施行、実施された公文書をその後に修正しようとするのは、何か意思決定の理由をごまかすとか、ミスを隠そうとする意図としか考えられないのではないかと思います。

 

今、特に定義もされずに文書の「改ざん」「書き換え」が非難されていますが、どういう行為が非難される行為なのか、違法になるのかをきちんと整理すべきだと思います。それを明確にしなければ、ルール化もできず、公務員としても対応に困ります。


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