サイト案内(目次)

 我々が公務員の身の処し方を考えるうえで、国税庁の佐川長官の姿は、絶対に避けたいものだと思います。きっと、彼自身も、どこで間違ってしまったのかと、後悔されていることと思います。

 まるで逃亡犯のように、人目を避けてこそこそ当退庁し、勤務時間中も身を隠しているかのような様子は、哀れです。ああはなりたくないと、誰もが思うでしょう。

 

森友学園への値引きに関与していたか?

 近畿財務局の担当者が、森友学園に国有地を不当に安く払い下げようとしていたことは、間違いありません。そんなことが担当者の独断でできるはずがないので、組織上層部の指示、関与があったはずです。それが、近畿財務局内部にとどまっていたのか、財務省理財局長も関与していたかが、まず問題です。

 また、その値引きが、高級官僚の誰かが安倍総理の意向を忖度した結果に過ぎないのか、安倍総理の周辺からの要請に応じたものなのかが、二つ目の問題です。

 

書類破棄等の答弁は誰のシナリオ?

 通常、どのように答弁するかは、担当部署が作成する想定問答などで事前に検討し、責任者の了解を得て決定されるはずです。書類が破棄されているとか、森友側と売買金額についての協議などしていないとかの虚偽の答弁は、誰が原案を作り、誰がそれを最終的に了承したのでしょうか?それが、三つめの問題です。

 そもそも、公務員の常識として、財産の売買の際の価格決定などに関する資料は、完結(引渡や代金授受等の終了)してから少なくとも5年間は保存するはずです。完結もしていない案件の資料を破棄などするはずがないのです。

 

 これだけの政治案件ですから、少なくとも財務大臣、普通に考えれば首相も、答弁内容を了解していたと思います。私は、県や市町村の場合しか知りませんが、本会議場で部局長が答弁する場合の答弁案も、必ず知事も目を通して了解していました。知事の答弁内容と齟齬があると困るからです。その点は、国も同じだと思います。

ただ、上層部は、それが虚偽であることを知らず、本当に破棄されていると考えていたかもしれないと思います。

 例えば、理財局長の立場に立てば、自ら破棄したり破棄を指示したりしたいところでしょうが、そのことがバレたら身の破滅です。部下が自分の気持ちを忖度して書類を破棄してくれることを期待して、部下が書いてきた「破棄した」という答弁を了承したのかもしれません。

 

財務省内の空気、佐川長官自身の気持ちは?

 冒頭で、佐川長官自身も後悔しているのではないかと書きましたが、そうでない可能性もあります。彼が、使命感を持って、明らかな虚偽答弁をしてまで疑惑の拡大を防ごうとしている場合です。その姿を英雄視するような雰囲気が財務省の上層部にあれば、それを助長するでしょう。

 

 前述の三つの疑問の答えによって、彼が誰を、あるいは何を守ろうとしているのか、違ってきます。

 違法な値引きを知っていたのであれば、自分自身を守ろうとしているものであることは当然です。

 さらに、首相周辺からの要請があったのであれば、その要請元と、要請に応じた自分自身を守っているのでしょう。

 いずれにしても、国民の利益という観点からは、虚偽答弁の動機はありません。

 したがって、彼が使命感を持って行動しているとしたら、国民の利益より内閣の利益を優先した誤った使命感です。

 

 今さら官邸の意向など気にせず、国会の場で、知っていることのすべてを話すことが、国家公務員としての矜持、義務だと思います。