ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 最低制限価格 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:最低制限価格

 既に最低制限価格を漏らしたとして官制談合防止法違反等の疑いで起訴されていた大阪府岸和田市の永野耕平前市長、別の数件の工事についても最低制限価格を漏らしていた疑いで、9月24日に再逮捕されました。

 その他、最近、気仙沼市などでも同様の疑いで市職員が逮捕されるなど、最低制限価格を漏らす事件が続いています。

最低制限価格が高すぎる

 最低制限価格を入手してそれと同額か少しだけ高い価格で確実に落札しようとする業者が存在するということは、最低制限価格でも十分に儲けが出るからです。少なくとも役所側に渡した賄賂分の数倍は儲かるのでしょう。つまり、最低制限価格が高すぎることが事件が多発する原因です。

 最低制限価格の設定は、各自治体等で少しずつ異なりますが、国土交通省の示す「モデル」に準じるところが多いようです。そのモデルでは、①直接工事費の97%、②共通仮設費の90%、③現場管理費の90%、④一般管理費等の68%を合計した価格が基本です。ただし、その合計額が、予定価格の92%を超える場合は92%にし、75%を下回る場合は75%とする枠が定められています。

 また、自治体の中には、もっと簡便に予定価格の〇%とするところもあるようです。

最低制限価格の見直しを

 最低制限価格を設けずに、仮にダンピングが疑われる著しい低価格の入札があった場合に調査する「低入札価格調査制度」にするのが、一案でしょう。しかし、その制度運用が難しそうだという懸念を感じるのであれば、最低制限価格の大幅な引き下げをすべきです。

適正工事価格の相対性

 適正な工事代金は、一律に積算できるようなものではなく、例えば各業者の事務所や資材置き場の位置によっては労働時間の歩留まりが全然異なります。また、その時点で抱えている技術者、労務者の稼働状況等でもコストが全く異なります。ある場面では、原価を割って受注しても企業としては有利になる場合もあります。
 各業者は、役所が設定する予定価格や最低制限価格を探るのではなく、自社の利益を確保できる最低限の価格で応札すればいいのです。そして、役所側は、根拠のない最低制限価格で企業の努力を邪魔してはいけません
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 新潟県長岡市や兵庫県西宮市で、市の職員が漏らした情報をもとに、業者が最低制限価格(に極めて近い額)で落札したという事件が相次ぎました。

 昔の不正入札とは、不正の構図が全く異なっているようです。

 

昔の不正は業者間の談合がほとんど

 昔の公共工事は、業者同士が談合しているケースがほとんどだったように思います。だから、なるべく高い金額で契約することを目指し、落札できる上限、予定価格と同額か、それに極めて近い金額での落札がたくさんありました。業者にとっては、予定価格をなるべく正確に知ることが重要であり、そこに贈収賄が生ずる構図がありました。

 1回目の入札で落札者がなく、再入札や再々入札をしても、最も安い業者だけは替わらない「一位不動入札」がほとんどで、1回で落札できなかった場合のシナリオもできているようでした。

 入札に集まった業者の様子を見ると、どの業者が落札する手はずになっているのか、分かりました。隠そうともしない、公然の秘密といった感じでした。

 

最近の不正の構図

 最近の事件を見ると、業者間の談合ができなかったと思われるものが多いようです。談合ができれば、最低制限価格などを目指さず、予定価格に近い価格で落札することによって利益を最大化できるわけですから。

 最低制限価格を目指すのは、危険なことです。それよりも少しでも低い金額で入札してしまうと、失格してしまいます。場合によっては、再入札や随意契約の交渉に参加する資格も失ってしまいます。だから、極めて正確な数字が必要です。

 そこで、業者としては、発注者側のキーパーソンに接触したくなるわけです。

 

問題は最低制限価格の高さ

 予定価格、設計金額の90%もの金額を最低制限価格に設定すれば、最低制限価格で契約したとしても十分な利益が確保できます。国土交通省の指導の下、こんな最低制限価格の設定が日本中に蔓延しているのは、業者の利益を確保するために国ぐるみで官製談合しているようなものです。

 本来の趣旨に戻り、最低制限価格は、諸経費率をほとんどゼロにした儲けが出ない金額に設定するか、最低制限価格など設定せずに入札するべきだと思います。

 「高すぎる最低制限価格」 参照

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 新潟県長岡市で、118日、官製談合等の容疑で、市の工事検査監や県議会議員の秘書、工事業者らが逮捕されました。報道によると、工事検査監は、県議会議員秘書の依頼に応じて工事価格(予定価格)を漏らし、工事業者はその情報をもとに最低制限価格ぴったりで落札したということです。
 さらに、29日、兵庫県西宮市でも、官製談合の疑いで市の下水建設課の職員や工事業者らが逮捕されました。事件は、長岡市とおおむね同じ構造で、職員が設計価格を漏らし、業者がその情報をもとに、最低制限価格を4万円上回る2億5千万円で落札したというものです。

 情報を漏らした市の職員等が悪いことはもちろんですが、制度上の問題を指摘したいと思います。それは、最低制限価格を高く設定しすぎていることです。

 

最低制限価格とは

 最低制限価格は、粗雑な工事を防ぐため、入札に際して発注者が設ける落札の最低金額です。製造や請負の契約のための入札の際に設定することができますが、物品購入などの入札の際は設定できません。これを下回る金額で入札した場合は失格になります。

 一方、予定価格は、落札の上限額であり、これを超えれば落札できません。つまり、予定価格以下、最低制限価格以上の金額で、一番低い金額を入札した者が落札します。だから、最低制限価格で入札すれば、ほぼ確実に落札できます。「ほぼ」と書いたのは、複数者が最低制限価格で入札してくじ引きになることもあるからです。

 最低制限価格は、積算した工事価格から、事業者のもうけに当たる諸経費などを削ぎ落して計算することが本来の趣旨ですが、一律に予定価格の90%とか、3分の2とかで設定する実態になっている団体も多いようです。

 

長岡市の最低制限価格

 市のホームページに、201612月から適用されている長岡市の最低制限価格の設定方針が公表されていました。

 それによると、130万円以上の工事が対象で、次の基準で設定するようです。

1. 算定式:非公表
2.
制限価格:予定価格の70%~90%(現行どおり)
 算定した結果が予定価格の90%を超えた場合は、予定価格の90%となります。

 

 工事価格(予定価格)が分かれば最低制限価格もピッタリ分かったようなので、実態としては、予定価格の90%を最低制限価格とすることがほとんどだったのかもしれません。
 西宮市の手法も、似たような手法のようです。国のモデルに準じているのでしょう。

 

 そもそも、最低制限価格は、その趣旨から、工事の実費だけは賄えても儲けは出ない水準に設定すべきものです。多くの業者が契約したがる価格(ちゃんと儲けの出る価格)を最低制限価格に設定するから、こんな事件が起こるのです。

 このような設定方法は、長岡市、西宮市だけでなく、多くの地方自治体で行われているようです。

 予定価格の90%もの価格を最低制限価格に設定するのは、建設業者の利益を守るためです。納税者の利益は損なわれています。このようなやり方が制度化されているのは、建設業界と行政とのなれ合いの結果だと思います。ただ、市町村などの場合、単純に国や都道府県に準じているだけかもしれません。

 

 皆様の自治体では、最低制限価格をどんなやり方で設定していますか?

 入札後に予定価格や最低制限価格を公表している団体ならば、すぐ分かりますが、近年は、非公表の団体が多いようです。それでも、最低制限価格未満で失格した入札と、落札価格を見比べれば、おおよそは推測できます。

 事件が起こる前に、正すべきは正された方がいいと思います。

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