ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 最高裁 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:最高裁

 6月27日(金)、久しぶりの良いニュースが聞こえてきました。生活保護の引下げを違法とする判決を最高裁が下しました。

 このところ、イスラエル、ロシヤの攻勢、トランプの横暴など、海外のニュースは不愉快なモノばかりで、うんざりしていたところです。

 この訴訟は全国で提起され、地裁、高裁でこれまでに出された判決では、違法とするものが27件、合法とするものが16件でした。判断が分かれているものの、違法とする判断が優勢だったと言えるでしょう。

 問題になったのは、2013年~2015年に行われた引き下げです。安倍元総理が生活保護費の引下げを公約に掲げ、それを厚生労働省の官僚が忖度したものと言われています。森友事件と似たような構図です。

 「デフレ調整」という仕組みで引下げましたが、専門部会の審議を経ていないなど、あまりにずさん、いいかげんな手続が、裁量逸脱とされてしまいました。安倍一強と言われた時代に、政権から引下げの圧力をかけられて、ろくな理論武装もできないまま引下げをしてしまったのでしょう。これでは、司法も違法と判断せざるを得なかったのでしょう。

 厚労省にとって、この敗訴はあまりにみっともない!
 安倍長期政権がここまで政府機関を蝕んでいたとは、私も知りませんでした。

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 先月(2023年7月)20日、定年再雇用者の給与について、最高裁小法廷が、「基本給の大幅減少は不合理」と判断した二審判決を差し戻し、審理を名古屋高等裁判所に差し戻す判決を言い渡しました。私は、ニュースを見て、最高裁がこの格差を容認したのかと少し驚きましたが、詳しく見るとそうでもないようです。

 

高裁の審理不足を指摘

 この事件の2人の原告は、名古屋自動車学校の正社員として30年以上、教習指導員を務めていました。それぞれ2013年と2014年に60歳となった定年退職した後、嘱託職員として5年間再雇用されていました。再雇用では、定年前と業務内容は変わらなかったにも関わらず、基本給が定年前の約16万~18万円から約7万~8万円に減少し、その金額は、同社の入社後1~5年未満の正社員の基本給、約11万円を下回る金額だということです。

 原告2人は、この基本給の大幅減少を「正社員との不合理な格差に当たる」と主張し、定年前の賃金との差額の支払などを求める訴訟を名古屋地方裁判所に提起しました。名古屋地裁は、定年前と同じ業務内容であったにも関わらず基本給が正社員時の6割を下回り、新人正社員をも下回る水準だった事実を重視して「不合理な待遇格差」に当たると判断し、自動車学校側に約600万円の支払いを命じました。

 しかし、双方とも判決を不服として控訴し、名古屋高裁は1審の判決を支持しました。

 それに対して最高裁は、「労働条件の違いの合理性は、基本給の性質や支給の目的を踏まえて検討すべき」との判断枠組みを示し、再雇用者において役職就任が想定されていないこと等を指摘し、「再雇用の嘱託社員の基本給は、正社員の基本給とは異なる性質・支給目的があるとみるべき」としました。そのうえで、2審ではこうした基本給の性質などの違いについて検討が不十分であるとして、高裁に審理のやり直しを命じて差し戻しました。

 

かなり面倒な認定になりそう

 これまで、私も含め、再雇用の給与は定年前の給与の6割がギリギリのセーフで、それを下回ると違法になるという相場観があったように思います。地裁、高裁の判決は、その一般的な認識に従い、それに対して最高裁は、もっと詳細に審理するよう促したということでしょうか?

 ただ、最高裁の注文は、とても難しい注文に感じます。雇用者自身、基本給の目的や性質など、あまり意識していないでしょう。社会一般の通念から導くのでしょうか。

 個々の労働者の事情は勘案できないでしょう。再雇用とはいえ、まだ子育て中の人もおり、家族の生活を支えなければならない人もたくさんいます。また、扶養家族がいないから薄給でいいという訳にもいかないでしょう。

 

一般的には再雇用後は仕事が異なる

 裁判になっているケースは、本件も含め、定年前後で同じ仕事に従事しているケースが目立ちます。公務員などは、定年前後で責任の度合いも仕事内容も全く異なるケースがほとんどで、比較するのも無意味です。

 年齢による給与体系の違いはもちろん、定年制そのものも「年齢による差別」として違法とされる諸外国と比べ、日本社会は少し異質のようです。

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 6月18日、東京電力福島原発の事故について、最高裁が国の責任を否定する判決を下しました。この判決には納得できませんが、原発事故が起こった場合、原発を強引に推進していた国が賠償責任を負わないということであれば、原発の早期廃止を求める声に拍車がかかるでしょう。
 あの事故による避難者は、生活を破壊され、元の生活に戻れないにもかかわらず、十分な補償を受けていません。結局、泣き寝入りしろということでしょうか?

想定外の災害も想定が当然
 今回の裁判で、原告側は、政府の地震調査研究推進本部がが2002年に公表した地震予測長期評価に基づけば巨大津波の襲来は予見できたと主張しました。それに対して最高裁は、「仮に国が規制権限を行使して東電に必要な措置を講じていても、津波による大量の浸水を防ぐことができなかった可能性が高い」予見可能性についての判断を避けました。

 国は、自治体や住民に対し、以前から原子力防災計画、避難計画の策定、訓練の実施を求めています。想定内の災害ならば住民が避難しなければならないような事故に至るはずがないので、想定外の災害発生を漠然と想定し、自治体や住民に準備と覚悟を求めているのでしょう。
 また、現在は、原発がミサイル攻撃を受けたり、テロ攻撃を受けたりすることも、少なくともマスコミや私は想定しています。もし政府が、「そんなことは想定していない」と主張するなら、そんなアホな政府は不要です。

このような判決は有害
 今のような「具体的予見可能性」を重視するような裁判の傾向に、危惧を感じています。国などが、危険予測の調査結果などを隠したり、調査の実施事態を躊躇するようになってしまったりするのではないかという心配です。
 国などに対しては、「予見しなかった責任」「予見を怠った責任」も追及すべきでしょう。

結局、原発の存続は許されない
 具体的に想定していなかったレベルの災害が発生したときに、許容できないほどの被害(日本、地域が壊滅するなど)が生じるような施設は存続させてはいけないでしょう。また、被害を防ぐための莫大な投資をすることは、危険の少ないエネルギー源と比較してペイするはずがありません。

 政治家の皆様には、理性的な判断を期待したいと思います。

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 61日に、注目されていた最高裁の判決が二つ示されました。

 一つは、非正規雇用の労働者について、正規労働者との処遇の違いがどこまでが合理的とされ、どこからが不合理で違憲とされるかという問題でした。

 もう一つは、定年後の再雇用の社員についてどの程度までの処遇の差が許されるかという問題で、私はどちらかというとこちらの方を注視していました。

 「定年再雇用後の給与 最高裁の判断は?」

 

再雇用に厳格な「平等主義」は採らず

 最高裁は、日本の現状を追認し、欧米諸国のような厳格な年齢差別禁止を採らないことを明確に示しました。つまり、定年後再雇用者と正社員との格差を一部(かなり)容認しました。

 当該会社が、定年後の再雇用について、①再雇用の嘱託社員と正規社員では賃金体系が異なる②定年時に退職金を支払っている、③年金受給前は調整給を支給する、④年収が定年前の79%程度になるように配慮されている、等の事情を考慮し、再雇用後の賃金引き下げや「職務給」「賞与」を支払わないことを不合理とは言えないとしました。

 一方、休日を除く全ての日に出勤した者に支給される精勤手当は、嘱託社員に支払われないのは不合理で違法としました。

 

非正規、正規の格差にはかなり厳しく

 契約社員への各種手当の不支給を巡る訴訟では、最高裁は、当該運送会社が正社員にのみ支給していた6種の手当について、種類ごとに趣旨を個別に考慮し、「通勤手当」「給食手当」「無事故手当」「作業手当」「皆勤手当」の5種類の不支給を不合理としました。

 

地方公共団体も対応を迫られる?

 地方公共団体も、今後、一般の非常勤職員、定年停職者の再任用職員、再雇用職員の処遇について、見直しを迫られるかもしれません。

 例えば、現在の非常勤職員には期末手当も勤勉手当も支給されていません。新たに設けられる会計年度任用職員も、期末手当は支給されることになっていますが、勤勉手当は対象外のようです。それが、合理的なのかどうか考える必要があるかもしれません。

 また、定年後の再任用職員、再雇用職員は、今回判決があった会社よりも格差は大きいと思います。多くの場合は職務内容が変わるので直接の比較はできませんが、まれに、同じ役職のまま再任用になる場合もあります。また、地方公共団体では、年金支給開始前だからといって調整給の支給もありません。

 

 住居手当は、正社員は転居を伴う異動があるからなどの理由で、正社員だけに支給することも不合理ではないという判断です。転居を伴う異動などのない市町村役場では、どんな判断になるのか、検討の必要があるかもしれません。

 

 私の自治体でも、判決を精査して検討してみたいと思います。


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 仕事内容は同じなのに定年後の再雇用で賃金を減らされたのは違法だとして、横浜市の運送会社の契約社員(運転手)3人が正社員との賃金差額を支払うよう同社に求めた訴訟が最高裁で争われています。運転手側は逆転敗訴した2審判決の破棄を求め、会社側は維持を求めています。最高裁第2小法廷では弁論も行われ、6月1日に判決が予定され、注目されています。

 

争点は

1審は、「仕事内容が同じなのに賃金格差を設けることは、特段の事情がない限り不合理」として会社側に約415万円の支払いを命じました。これに対して2審の東京高裁は、減額幅は2割程度で同規模企業の平均より小さいとし、その上で「定年後の賃下げは広く行われ、社会的に容認されている」として、地裁判決を取り消しました。

3月には、北九州市の食品会社でのトラブルについて最高裁で、定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として、仕事をパートタイムとした上で賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた高裁の判決が確定しています。判決の中で、再雇用については「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」との判断が示されています。

 

今の流れでは、定年後の再雇用では、ある程度の賃金ダウンは容認されるのでしょう。運転手などのように、定年前後で仕事内容にほとんど変わりがない場合、どの程度のダウンまでが許容されるかが、一つの注目点でしょう。

 

地方公務員にも影響?

 地方公務員の再任用の場合、再任用後は、責任の程度が軽い職務に替わることが一般的です。そのようなケースについては、あまり問題にならないと思います。

 自治体によっては、再任用後に定年前の役職にそのままとどまるような再任用も時々行われています。そのような場合でも、給料は25%くらい下がることが多いようです。

 最高裁の判断によっては、影響を受けるかもしれません。

 

日本は年齢差別に寛容

 アメリカでは、年齢差別禁止法によって、定年制も原則として禁止されているようです。採用時の年齢制限など、禁止されていることはもちろんです。

 一方、日本では、採用時の年齢制限の禁止は非常に緩く、いわゆる正規社員、正規職員の採用は、キャリアを積み重ねる必要性などから、広く容認されています。定年制が一般的であることは、もちろんです。さらに、定年後の再雇用において、賃金をかなり下げることも一般的に行われています。

 

 日本のこの緩さは、憲法に由来しているのかもしれません。憲法第14条は、「年齢」での差別の禁止を明示していません。

 

 日本国憲法第14 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

 定年のある社会と、定年のない社会。私は、どちらかというと、定年があって責任に一区切りつけられる社会の方が、気に入っています。

 

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