著者は、遺伝による人の能力への影響、資産形成法など、様々な分野の著書があり、その中では口に出しにくいことも明解に語られているので、私はファンです。本書は、それらで語られている事実から、ではどのように生きるのが幸福への近道か考察されています。
幸せかどうかは主観的なもので、本来は外部からは判断できませんが、本書では幸福になる土台を有しているかで判断することにしています。また、人生は限られた貴重な資源である時間やお金を何に振り向けるかの選択(トレードオフ)の繰り返しです。その選択によって、幸福を感じることのできる機会が多くも少なくもなります。
そして、選択をすれば必ずもう一方を失うというコスト(機会費用)が発生します。したがって、選択せずに済めばそれがベストです。お金があればミカンを買うかリンゴを買うか迷う必要がなく、両方を楽しむことができます。そこから、「選択を避けるもっともシンプルな戦略はお金持ちになること」という身も蓋もない原則が導かれます。
幸福の土台
著者は、前述の「幸福になる土台」を「金融資本」「人的資本」「社会資本」の三つの資本であると主張されます。「金融資本」はそのままの一般的な意味、「人的資本」とは労働市場に投じて利益を上げることのできるもの、「社会資本」とは人とのつながり(パートナー、友人)などです。
本書は、この三つの資本を効率的、合理的に構築するノウハウを論じたものです。金融資本を効率的に増やす方法、労働市場における自分の価値を高める方法、人との関係を最も有意義な形に取捨選択していく考え方等が論じられます。
現実的なノウハウ
「実践編」は、「金融資本の成功法則」「人的資本の成功法則」「社会資本の成功法則」として、「幸福の土台」別に実践的ノウハウが紹介されています。それらの中では、先に挙げた著書で説明されていた最新の研究成果もあらためて紹介されています。
例えば、金融資本を効率的に増やす方法として、外貨建てで、手数料の安いインデックスファンドを長期に定額購入し続けることなどが、最も合理的であるとして推奨されています。
また、人の能力は遺伝による部分が大きく、素質がない分野では努力しても無駄であるという身も蓋もない真実から、どのようにすれば自分の「人的資本」を最も高められるかを論じています。
私のような高齢者も興味深く読みましたが、これからが長い若い人たちには、大いに参考になると思います。
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