年甲斐もなくファンタジー小説が好きです。自身が子供時代も「西遊記」、「オズの魔法使い」などを読んでいましたが、子育て時代に「ナルニア国物語」「ゲド戦記」などを子供以上に楽しく読んだのがきっかけです。最近は「本好きの下剋上」にはまっています。

 2014年に上橋菜穂子さんが国際アンデルセン賞を受賞されたニュースを見て、読んでみたいと思ったのですが、サラリーマン時代はできず、今になってしまいました。

 本作は、中世的な架空の世界が舞台です。この物語にはは闘蛇と王獣という架空の動物が登場しますが、それ以外は魔法などはなく、物理の法則のとおりに動いているので、ファンタジーではないと著者は考えておられるようです。

 闘蛇は飼いならして戦争に使うと、騎馬などと比較にならない圧倒的な戦力になります。王獣はさらに高い戦力になりますが、それを飼いならすことのできる者はその国には存在しません。

 ヒロインの母親は、霧の民と呼ばれる流浪の一族の出身で、彼らには闘蛇を操る術とともに、昔、闘蛇や王獣を使って戦争をした際に大災厄が起こったことが伝わっており、闘蛇や王獣を操る術は禁忌として封じられています。

 母親は、一族を離脱してヒロインの父親と結ばれ、闘蛇の医術師として娘を育てていましたが、闘蛇の大量死の責任を取らされて処刑されるところから、物語が始まります。

 ヒロインも動物の医術師としての道を歩みますが、母親との記憶、鋭い観察眼で、封印されていた王獣を操る術を再発見します。そのことが為政者に知られ、戦争に巻き込まれることになります。

 物語の中で、世界を滅ぼしかねない高度な技術や知識を秘匿して後世に伝えないことが正しいのかも問われているように感じました。

 著者は、文化人類学者です。またこの物語の執筆に当たっては。産婦人科医や獣医師らから詳細な助言を仰いでいるとのことで、彼女ならではの作品といえます。

 ハードカバーの400ページほどの本で4巻(本編3巻、外伝1巻)、2~300ページの文庫本でちょうど倍の8巻もある長編ですが、一気に読んでしまいました。
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