ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 神戸市 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:神戸市

 神戸市の小学校で教諭4人が同僚にいじめをしていた問題で、神戸市は加害教員4人に年次有給休暇を取得させて休ませています。この給与支給について市民から批判され、市ではこのような場合に給与を差し止める新たな条例の制定を急いでいるとの報道がありました。

この問題は、多くの自治体も苦慮する問題で、私も悩まされたことがあります。

 

一般的な現行制度

刑事起訴されれば休職処分(起訴休職)にできますが、その前の段階で職場に来させない措置は、地方公務員法では想定していないのです。また、起訴休職の場合の給与について地方公務員法は何も規定しておらず、多くの自治体では、国家公務員に合わせて給与条例で「給料、扶養手当、地域手当及び住居手当のそれぞれ100分の60以内を支給することができる」等と定めています。「できる」ですから、事情によっては支給しないこともできます。

地方公務員法

 第二十七条 すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。

2 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、若しくは免職されず、この法律又は条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職されず、又、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降給されることがない。

28条 (第1項 略 降任、免職に関する規定)

2 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。

一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合

二 刑事事件に関し起訴された場合

3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。

 

 苦肉の策として職員に有給休暇を取得させるわけですが、職員が拒否すれば不可能です。その場合、どうしても職場に来させないようにするには、職務命令で自宅待機を命ずることになり、年次休暇も使わずに休ませて給与は全額支給しなければなりません。

 

神戸市の新条例に注目

 従来の制度がこのようになっているのは、推定無罪の原則からでしょう。また、起訴休職とのバランスを考慮する必要があり、起訴されたときより厳しい処分は難しいと思います。

 1028日に神戸市議会で可決成立した改正条例では、「職員の分限及び懲戒に関する条例」で本人の意に反して休職させられる場合に「重大な非違行為があり、起訴されるおそれがあると認められる職員であつて、当該職員が引き続き職務に従事することにより、公務の円滑な遂行に重大な支障が生じるおそれがある場合」を加えました。あわせて、給与条例も改正し、この場合には「給料、地域手当、扶養手当及び住居手当のそれぞれ100分の60以内を支給し、又は支給しないことができる。」としました。要は、起訴休職と同列の扱いにしたものであり、バランス的にはこの辺が限界でしょう。

 

 その時点で判明、確定している事実だけで懲戒免職に相当するなら、裁判での有罪確定等を待たずに速やかに懲戒免職処分をすればいいのでしょうが、それが困難なケースも多いでしょう。

 神戸市の今回の条例は、全国に広がるかもしれません。ただし、最終的に不起訴とか無罪になる可能性もあるので、運用を慎重にしないと違法とされることもあると思います。人事担当部局が判断に迷う場面もあるでしょう。


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 大卒なのを高卒と学歴詐称して採用され、そのまま長年勤務して定年退職し、その後に再任用されていた神戸市の職員が懲戒免職とされたことについて、11月末、報道がありました。

 この職員は1980年に24歳で市に採用され、2016年3月末に定年退職、同年4月に再任用されて引き続き市に勤務していたところ、最近、匿名の通報がきっかけで学歴詐称がばれたそうです。採用された際の試験の受験資格が、高卒までであったことが問題とされました。

 市では、定年の際に既に支給している退職手当も全額返還を求めるようです。

 市には、賛否両論が寄せられているとのことです。

 

厳しい処分の経緯

 厳しすぎるようですが、これに至る経緯もあるようです。

 2006年ころ、神戸市、尼崎市で同様の学歴詐称が問題となり、神戸市ではこのときの調査で詐称を認めた36人が諭旨免職(退職手当はもらえる。)になったとのことです。その後、大阪市や横浜市でも同様の問題が発覚し、両市などは、自己申告すれば停職1か月、後で発覚すれば懲戒免職という条件で調査したところ、それぞれ数百人の職員が停職処分になっています。

 神戸市では、その後に詐称が発覚した10人ほどが懲戒免職になっています。今回の処分は、これらとの均衡を考えてのことでしょう。

 

退職手当の返還はやり過ぎでは?

 以前は、懲戒免職処分の場合は無条件で退職手当が不支給でした。

 「退職手当支給制限処分」参照

 

 現在は、懲戒免職にした場合でも退職手当を支給しないことにするには、退職手当支給制限処分という別の処分が必要です。まして既に支給した退職手当の返還を求めるには、退職手当返納命令という別の処分が必要です。

 私は県に在職中、人事委員会などでこのような問題にも携わっていました。退職手当には給与の後払いという性格もあり、定年退職まで問題なく勤務していた人の退職手当を採用時の虚偽申告というだけの理由で、全額の返還を求めることができるか、私には疑問です。少なくとも、一部の返納にとどめるべきだと思います。

 審査請求が出されたりその後裁判になったりした際に、市人事委員会や裁判所がどのような判断を下すか、先例になる事例だと考えられるので、この元職員の方は、泣き寝入りせず、最後まで戦うべきだと思います。

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