福島原発の事故の際、数々の偶然によって、東日本壊滅という事態を免れました。そのことは、私もこのブログで何度か紹介していますが、具体的にどんな「奇跡」だったのか、ここにまとめてみます。神を信じない私ですら、「日本は神に守られているんじゃないか」と思いたくなるほどの奇跡です。
最近、この奇跡を知らないのか、忘れてしまったのか、原発推進などという政治家が増えています。もし神が存在したら、「あれだけの奇跡で助けてやったのに、また同じことをやろうとするのか?」と呆れ果て、この次は日本を助けてくれないでしょう。
本稿は、「私が原発を止めた理由」(樋口英明)の関係個所を要約したものです。原発に賛成する人も反対する人も、この本をぜひ読んでいただきたいと思います。
「私が原発を止めた理由」(樋口英明)を読んで 参照願います。
2号機の奇跡
2号機でもメルトダウンが起こり、大量の水蒸気と水素ガスが発生して格納容器内の圧力が設計基準をはるかに超えて高まった。爆発を避けるため本来はベントという圧力を抜く作業を要するが電源喪失で自動ではできず、作業員がそこに行きつくまでに死んでしまうほど周囲の放射線が高かったため手動でバルブを開くこともできなかった。格納容器は放射能を外部に出さないため頑丈に密封されているはずであるが、どこかに脆弱なところがあったらしく圧力が抜けたため、爆発を免れた。爆発していれば東日本が壊滅していたはずで、本来は絶対にあってはならないことだがこの格納容器が欠陥品であったために東日本壊滅を免れた。
4号機の奇跡
4号機は定期点検中だったが、隣接の使用済み核燃料貯蔵プールに核燃料が保管されていた。ここも電源喪失で循環水の供給ができなくなり、3月15日ころには干上って大量の放射性物質が放出される恐れが高まった。しかし、たまたま隣接する原子炉ウエルにシュラウド取り換え作業のために普段は張られてない水が張られていた。そして、使用済み核燃料貯蔵プールと原子炉ウエルを隔てている仕切りがずれるという本来あってはならないことが起き、大量の水がプールに流れ込んだ。原子炉ウエルの水は、工事が遅れたために残っていたもので、本来は3月7日には抜かれていたはずのものだった。仕切りがずれた理由は、不明。
また、4号機の建屋内で原因不明の水素爆破が起こり、使用済み核燃料プールの天井が吹き飛んだ。そのおかげで、東京消防庁の背の高い放水車(「キリン」という愛称)で水を入れることができ、250キロ圏内(東京が入る)の避難という事態を免れた。
免震重要棟の存在
2007年7月に新潟県中越沖地震が起こり、その際の経験と新潟県知事の強い要請により柏崎刈羽原発に免震重要棟が作られ、その後福島原発にも設置された。福島原発にこれが設置された数か月後にこの事故が起き、これがなかったらやはり東日本壊滅に至っていた。
その他の奇跡
福島原発の事故で外部に放出された放射性物質の量は、広島原爆の100倍を超える。3月15日には放射線量が高く、屋外での作業ができない状態になったが、その日の昼頃、突然放射線量が下がり、屋外作業が可能になった。たまたま偏西風によって、放射性物質が太平洋に流れたもの。
もし北風が吹いていたら、放射性物質が東京に達し、黒い雨が降っていたかもしれない。そうなれば、東京は悲惨な状態になった。現実には太平洋に流れた放射性物質は、空母上でトモダチ作戦に従事していた米軍兵士を被ばくさせた。