ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 稲盛和夫 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:稲盛和夫

 昨年亡くなられた偉大な経営者、稲盛和夫氏の教えを実践していると自称しながら、社員に低賃金を強いるブラックな経営者がいることを憂いています。稲盛氏の「経営12カ条」はすばらしいものですが、氏の経営理念の根底が「会社は全従業員の物心両面の幸福を追求する」であることが、あの12カ条の文言からは伝わりにくいのが玉に瑕だと思います。

 「経営12カ条」(稲盛和夫)を読んで  参照願います。

 

 あの第1事業の目的、意義を明確にする ー 公明正大で大義名分のある高い目的を立てるは、氏自身の言葉では、全従業員の物心両面の幸福を追求することが「どんな大義名分よりも立派な大義名分であり、どんなミッションよりも素晴らしく公明正大なミッション」であることが大前提です。しかし、この第1条の文言からは、必ずしもそれが読み取れません。

 そのため、意図的なのか理解していないのかは分かりませんが、稲盛イズムを悪用する経営者もいて、ネットでもその手の話がいくつも見受けられます。

 

ある会社

 私が仕事で関係しているある会社もその一つです。社長は稲盛氏の経営12カ条の信奉者であると自称し、盛和塾のメンバーで塾の役職にも就いていたことも自慢にしています。業務自体は公共的な仕事なので、入社してくる社員も地元国立大学の卒業生など、この地方の中小企業としてはかなりの人材をそろえています。社会貢献的なことを理念に謳っています。

 しかし、社員の給与等の待遇は必ずしも良くありません。この物価急上昇の中、2023年のベースアップも微々たるものだったとのことです。

 年度目標として「利益○億円」を掲げたとのことですが、私はこれは非常にまずいと思います。社長が「全従業員の物心両面の幸福」を第一義と考えていると社員が信じていない状況下で「利益○億円」を目指して頑張れと言われても、社員としては「社長の財産を増やすために頑張れと言われている」と感じてしまうでしょう。特にこの会社は同族会社なので、なおのことです。稲盛氏も著書の中で、この点は注意を要することを指摘しておられます。

 

 社会貢献などを理念に掲げ、従業員に仕事のやりがいを感じさせながら劣悪な労働条件で働かせることを「やりがい搾取」というようです。この会社も、今は社員の多くが一応やりがいをもって一生懸命に働いておられますが、いつまで続くか分かりません。若い社員の中には、辞めていく人もいるようです。

 稲盛イズムを標榜する経営者がいた場合、その会社の社員の給与水準等の勤務条件を調べ、本物かどうか見極める必要があるようです。黒字を計上しながら、物価上昇率以上の賃上げや物価手当の支給等をしなかった経営者は、まず偽物でしょう。
 盛和塾に関係していた経営者の方々は、稲盛氏の名声を汚さないよう気を付けていただきたいと思います。

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 京セラ、KDDIを創業し、日本航空を再建して2022年8月に亡くなられた稲盛和夫氏の最後の著作です。氏の経営哲学が日本のみならず中国の経営者などからも熱烈に支持されているということで、読んでみました。また、この12カ条の信奉者を自称するある経営者があまり社員を大切にしていないように感じられたことから、何が書かれているか知りたくなったことも、本書を手に取った動機の一つです。

 著者による「まえがき」には「これら12の経営の原理原則を守りさえすれば、会社や事業は必ずうまくいきます。」と書かれています。

 長くなりますが、その12カ条を紹介します。

1 事業の目的、意義を明確にする。公明正大で大義名分のある高い目的を立てる。

2 具体的な目標を立てる。立てた目標は常に社員と共有する。

3 強烈な願望を心に抱く。潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望を持つこと。

4 誰にも負けない努力をする。地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける。

5 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える。入るを量って、出ずるを制する。利益を追うのではない。利益は後からついてくる。

6 値決めは経営。値決めはトップの仕事。お客様も喜び、自分も儲かるポイントは一点である。

7 経営は強い意志で決まる。経営には岩をもうがつ強い意志が必要。

8 燃える闘魂。経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要。

9 勇気をもって事に当たる。卑怯な振る舞いがあってはならない。

10 常に創造的な仕事をする。今日よりは明日、明日よりは明後日と、常に改良改善を絶え間なく続ける。創意工夫を重ねる。

11 思いやりの心で誠実に。商いには相手がある。相手を含めてハッピーであること。皆が喜ぶこと。

12 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で

 

 読んでみると、著者の経験に裏打ちされ、とても説得力があります。ただ、経営学者が整理した「原則」とは異なり、「強い意志で必死に努力を重ねる」等の部分がいくつかの条で重複しており、あまり体系的ではありません。本書は、氏の多くの講演などを編集したものであるためかもしれません。また、「強い意志」「努力」「前向き」などが多くの箇所に出てくるのは、氏の思いが強い部分なのでしょう。

 もう一つ難点を挙げると、この12カ条の文言だけ読んでも従業員を大切にする意識が感じられないことです。本書を読めば、第1条の「事業の目的、意義」の中で、従業員の物心両面の幸福を追求することがあらゆる事業の基本的な目的であることが前提であることが分かります。京セラのホームページによれば、同社の社是は「敬天愛人」、経営理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」です。従業員に将来の心配をさせない待遇を与えつつ、社会に貢献しているという仕事の生きがいも与えるという、すばらしい理念だと思います。

 それがこの12カ条の文言だけ読んでも読み取れないことは、少し残念です。それが、稲盛氏の信奉者を自称しながら従業員を大切にせずに必死の努力だけ求める経営者が現れてしまう原因かもしれません。

 

 少々批判的なことも書きましたが、著者の経営への熱い思いが伝わりました。経営、組織の運営に携わる人は、ご一読を・・・。

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