ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 端数計算法 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:端数計算法

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 ここまで、契約保証金、電気や物品の売買契約、単価契約、相手方の支払遅延に対する遅延利息等などについて、「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(一般に「端数計算法」)の運用について、説明してきました。

 「端数計算法の誤った適用」

 「端数計算法の誤った適用2」

 「端数計算法の誤った適用3」

 

 本稿では、同法第7条により同法が「適用除外」される範囲について説明します。

 

適用除外の範囲

 端数計算法は、国税や地方税などには適用しないことになっていますが、その適用除外の範囲についても問題になることがあります。

 

国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(端数計算法)

(適用除外)

第7条 この法律は、次に掲げるものについては適用しない。

一 政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)第8条、第9条及び第10条の規定による遅延利息

二 健康保険法(大正11年法律第70号)第181条第1項、船員保険法(昭和14年法律第73号)第133条第1項、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第87条第1項、国民年金法(昭和34年法律第141号)第97条第1項及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)第28条(失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(昭和44年法律第85号)第19条第3項において準用する場合を含む。)の規定により徴収する延滞金

三 国税(その滞納処分費を含む。)並びに当該国税に係る還付金及び過誤納金(これらに加算すべき還付加算金を含む。)

四 地方団体の徴収金並びに地方団体の徴収金に係る過誤納金及び還付金(これらに加算すべき還付加算金を含む。)

五 国有資産等所在市町村交付金又は国有資産等所在都道府県交付金

六 前各号に掲げるものの外政令で指定するもの

 

 問題になるのは、この第4号の「地方団体の徴収金」の範囲です。

 端数計算法の中では定義されていないので、これを地方税等に限るのか、手数料や分担金等も含むのかが明確でありません。困ったことに、自治体の財務担当職員のバイブル的存在の「地方財務実務提要」もあいまいです。同書167節では、「端数計算に関する法律第7条第1項第4号に規定する「地方団体の徴収金」の解釈」と題するQ&Aと「地方公共団体の手数料等の端数計算」と題するQ&Aとで、異なった解釈を示しています。

 前者では、第3号で「国税」と明示していることとの違いを重視し、その他の公法上の収入(分担金、使用料、加入金等)も含むと解釈すべきだとしています。後者は、地方税法で端数処理を規定したのと同時にこの部分の改正が行われた経緯等から、ここでいう「地方団体の徴収金」は、地方税法第1条第1項第14号の「地方団体の徴収金」の定義と同様、「地方税並びにその督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費」をいうと解釈しています。「同じ本の中で異なる見解を示さず、調整すればいいのに・・・。」と思うのですが、気付いていないのかもしれません。

 

 私は、法令の解釈は文理解釈が基本であることから、「地方税」とせずに「地方団体の徴収金」としてある以上、分担金、使用料、手数料などの公法上の収入を含むと解釈すべきだと思います。

多くの地方公共団体で、下水道の分担金などで10円未満とか100円未満を切り捨てるような規定を定めているところが多いようです。しかし、これは、分担金も適用除外されていると解釈しているためなのか、条例に基づいて端数処理された後の金額が「確定金額」となるという解釈によるものなのか、または両方なのかは、はっきりしません。

いずれにしても、実務的には、自治体の判断で端数処理の仕方を決めていいことには変わりはありません。

 

 徴収しようとしたら収入よりも経費の方がかかってしまう徴収金を端数計算法を無理に適用して徴収しようなどとせず、法を適切に運用して、合理的な事務処理を測ろうと思います。

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ここまで、契約保証金、電気や物品の売買契約、単価契約などについて、「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(一般に「端数計算法」)の運用について、説明してきました。

 本稿では、相手方の支払遅延に対する遅延利息等についての適用関係について説明します。


相手方の支払遅延に係る遅延利息等

 地方公共団体が支払を遅らせた場合の遅延利息の額や端数処理については、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」によって定められていますが、逆に、相手方が履行を遅らせた場合のペナルティーについては、国の法令の定めはありません。したがって、本来は個々の契約によって定めるべきものです。

 しかし、地方公共団体によっては、財務規則などで、そのような場合の遅延利息の計算方法、端数処理などを定めている場合が多く、その場合には、100円未満の端数は切り捨てて徴収しない規定になっていることが通例です。これは、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」とのバランスを考慮してのことでしょう。私法上の契約で地方公共団体が債権者になる場合のルールを財務規則等で定めれば、その団体は契約に際してはその規則に従わなければなりません。

 

端数計算法の優先適用の解釈

 地方公共団体が、その債権の金額を計算する際の端数処理について財務規則等で100円未満切り捨て等と定めることについて、端数計算法第1条第2項の規定との関係がどうなるか、疑問を持たれる方もおられます。

端数計算法第1条第2

 他の法令中の端数計算に関する規定がこの法律の規定に矛盾し、又はてい触する場合には、この法律の規定が優先する。

 

 ここでは、他の法令(地方公共団体の条例、規則も含む。)で国や自治体の債権債務の端数処理について定めたとしても、端数計算法が優先することを定めています。

 地方自治体の財務規則などで100円未満切り捨て等の定めをした場合にそれが有効なのかという疑問です。これも、「確定金額」とはどの段階の金額かという問題でしょう。

 相手方が遅延した場合の遅延利息等は法令の定めがないので、個々の契約次第です。その契約の中で、端数処理について定めてある場合は、それに従って端数処理された後の金額が「確定金額」です。地方公共団体が自らの契約についてルールを定めている場合は、そのルールが契約の内容に包括され、そのルールを前提とした契約内容によって「確定金額」が定まります。確定金額が定まる前の段階でどのような端数処理が行われようと、端数計算法の関知するところではありません。

 

 「確定金額」が定まる前の段階での端数処理についてまで端数計算法を適用させようとする誤りが多いように感じています。

 「端数計算法の誤った適用」
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 前稿では、主に契約保証金を例に、
国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(一般に「端数計算法」)の運用について、この法律を適用すべきでない場合にまで適用される傾向にあることを説明しました。

 「端数計算法の誤った適用」

 

 本稿では、もっと一般的な、売買代金や委託料などの端数処理について説明します。なお、前稿では、「地方財務実務提要」の記載が誤っていたことに触れましたが、現在この書籍の第3巻16章7節「その他諸法関係」に登載されている端数計算法についてのQ&Aは、私法上の債権債務に係る事項については、私からみてもいずれも妥当です。公法上の関係では、この法律が適用除外される「地方団体の徴収金」の範囲について、Q&A間で不一致があり、適当でない部分がありますが・・・。
 本稿の記載は、私法上の債権債務に関する部分なので、国の解釈運用と一致していると思います。

 

債権債務の「確定金額」とは

 「確定金額」については、端数計算法に定義がなく、法令用語として確立した定義があるような用語でもありません。文言に素直に「一つの契約を単位として支払うべき金額、受け取るべき金額として最終的に確定した金額」と解すべきであり、そのように解釈されています。

 つまり、契約によって具体的な金額が決まるような債権債務は、契約の中で端数処理についての取り決めがあれば、それによって端数処理された後の金額が確定金額になるのです。その取り決めは、四捨五入でも切り上げでも構いません。

 

電気料金

 電気料金については、各電力会社が「電力供給約款」を定めており、その中で料金の端数処理の方法が定められ、それに従って請求されます。その約款も含めて契約内容であり、それによって端数処理された後の金額が「確定金額」になるので、端数計算法の出番はありません。

 

一般の物品購入などの消費税等

 物を買って消費税率を乗じると、1円未満の端数が付くことがあります。その場合、相手方は、それぞれの定めているところにより、切り上げたり切り捨てたりして請求してきます。

 契約(発注)の際、端数処理について合意していればそれが契約内容であり、「確定金額」ですが、契約書を作成しない場合のほとんどは、そんなことを決めずに発注しているでしょう。それは、多くの場合、自治体側は相手方の定めに従うことを承認していると解釈すべきです。

 地方公共団体だから絶対に切り捨て以外の請求書は受け付けないなどと突っ張る必要はありません。切り捨ててくださいと言えば応じてくれる業者が多いでしょうが、本来はそんな理屈は通らないと思います。

 

単価契約の支払

 単価契約の論点は、どの単位をもって一つの債務とするかという点です。

 一般的には、1回の発注を一つの売買契約と捉えて端数処理して支払えばいいでしょうが、一定期間ごと(例えば1か月ごと)に集計して請求する旨を定めている場合も多いようです。そんな場合には、その集計した数量に単価を乗じた金額(消費税が付く場合はそれも付加)した金額を債務として確定した金額と考えるべきです。

 このような単価契約では、一定期間ごとに計算した金額をどのように端数処理すべきか、契約書で定めておくことが多いと思います。私は、そのようにしていました。

 「端数計算法の誤った適用3」 に進む。

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 ㈱ぎょうせいの「地方財務実務提要」は便利な本です。地方公共団体の職員が何か予算執行などについて対応に迷った場合、ヒントが見つかることも多いと思います。IMG_1070

 「○○実務提要」「○○ハンドブック」といった自治体職員が業務の参考にしている書籍の多くは、総務省の関係者などが執筆していると思いますが、ヒント、参考としてとらえるべきで、無批判に受け入れるのは危険です。

 

 契約保証金の端数計算について、これらの書籍の記載が誤っていたための混乱については、別稿「端数計算法の誤った適用」で紹介しました。

 そのほかにも、読んでいておかしいと思われる記載は、多々あります。法令の条文に立脚しない説明がされているものも多く、それらはあまり信用できません。それらについては、いずれ機会があれば述べたいと思っています。

 10数年前、知り合った自治省の若手キャリアに疑問を呈したところ、「昔からので変なのがだいぶあるんですよね・・・。」と言っておられました。

 

恩師の教訓

 大学で法律を学んでいたころ、恩師がおっしゃっていたことを思い出します。

 「学生同士が法律問題を議論しているのを聞いていると、自分の意見になっていない。○○の本にこう書いてあったなどと主張して、最後には『ほらここに書いてあるだろう』などと、本を見せ合ったりしている。〈学生一同爆笑・・・〉自分で納得して、自分の意見にしてから主張しなさい。」

 

かつての自分についての反省

 大学時代にせっかく有意義な教えを受けていたのに、若いころの私は十分に実践できていませんでした。制度の解釈に迷っているとき、「地方財務実務提要」に答えを見つけると、「一件落着!」と安心し、本当にそれでいいのか考えることを怠っていた気がします。

 

 20年ほど前から、ようやくこれらの書物を評価しながら眺められるようになりました。今も「地方財務実務提要」は便利に使っていますが、書かれていることはあくまでもヒントとして捉え、自分で考えて納得できなければ答えとして採用しないことにしています。

 

 かつての私だけではありません。多くの自治体職員は、「実務提要」などに書かれていたり、総務省の担当職員が言ったりしたことなどは無批判に信用し、自らの判断を停止している気がします。

 職場で、このブログで、一石を投じ続けたいと思います。

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 「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」(一般に「端数計算法」)は、地方公共団体にも適用され、自治体の予算執行の場でしばしば登場します。

 やや拡大適用される傾向にあることが気になっています。

 

端数計算法の主な部分は、次のとおりです。

(通則)

第一条  国、沖縄振興開発金融公庫、地方公共団体及び政令で指定する公共組合(以下「国及び公庫等」という。)の債権若しくは債務の金額又は国の組織相互間の受払金等についての端数計算は、この法律の定めるところによる。

 他の法令中の端数計算に関する規定がこの法律の規定に矛盾し、又はてい触する場合には、この法律の規定が優先する。

(国等の債権又は債務の金額の端数計算)

第二条  国及び公庫等の債権で金銭の給付を目的とするもの(以下「債権」という。)又は国及び公庫等の債務で金銭の給付を目的とするもの(以下「債務」という。)の確定金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする。

 国及び公庫等の債権の確定金額の全額が一円未満であるときは、その全額を切り捨てるものとし、国及び公庫等の債務の確定金額の全額が一円未満であるときは、その全額を一円として計算する。

 国及び公庫等の相互の間における債権又は債務の確定金額の全額が一円未満であるときは、前項の規定にかかわらず、その全額を切り捨てるものとする。

 

ある市の混乱(契約保証金)

契約保証金は、契約を締結するに先立って、相手方が自治体に納付する保証金です。相手方が契約上の義務を履行しない場合には、自治体が没収します。各自治体の規則で、「契約金額の100分の10に相当する金額以上の金額」等と定められています。

平成28年、ある市が、契約保証金について、契約金額に100分の10を乗じて1円未満の端数を生じた場合はそれを切り上げる旨の通知を出しました。実は、その市は、数年前に、従来は切り上げていたものを切り捨てることに変更したばかりだったのです。

 この改変の理由は、端数計算法の解釈の誤りにあったのだと思います。

 実は、「地方財務実務提要」「契約実務ハンドブック」という自治体職員が参考にしている2つの書籍に、契約保証金について「端数計算に関する法律に従って、1円未満を切り捨てる」旨の誤った記載がかつてあったのです。それらの記載は、疑問に思った自治体の職員が出版社に問い合わせ、出版社を介した執筆者とのやり取りの結果、平成26年ころに削除されました。地方財務実務提要では、契約の章からは削除され、第3167節「その他諸法関係」8210頁に、正しく改められました。

 この市は、昔は正しく切り上げていたものを、書籍の記載を見て切り捨てに改め、その後、書籍からその記載が改正されたので、元に戻されたものだろうと想像しています。

 この契約保証金などは、法律を一読すれば、端数計算法の対象外であることは、明らかです。

 

我が自治体も危なかった!

 実は、私の属した自治体でも、危なかったのです。

 新任の会計職員向けのテキストの原案に「契約保証金は、契約金額に100分の10を乗じた額に1円未満の端数が生じた場合は切り捨てる。」旨の記載があり、原案作成者は前述の書籍を根拠に提示しました。書籍には確かにそのような解説されていましたが、私は絶対に誤りだと確信したので、テキスト案のその部分の記載を削除してもらいました。

 このような自治体は、ほかにもあると思います。

 

「債権」、「債務」と「確定金額」

 契約保証金は、契約しようとする者があらかじめ預託するもので、契約を断念すれば納める必要がなく、自治体から請求することもできません。自治体にとって「債権」と言っていいのか疑問です。

 「確定金額」は特に定義されていないので、一般的な国語の感覚で、「最終的に支払うべき金額として確定した金額」というくらいの意味だろうと思います。「○○以上の額」などと定められているものは、「確定金額」とは言えないでしょう。100分の10を計算して、1,111.6になったら、それ以上の額ならいくらでもいいわけで、そんなものが確定金額と言えないであろうことは法律を読んだだけで明白です。

 また、100分の101,111.6で、それ以上の額という条件なら、保証金額を最小に抑えようと思えば1,112円を保証金とすればいいわけです。この法律の必要性、出番はありません。

 このほか、端数計算法を根拠に、計算の途中の過程で端数切り捨てをする人もいますが、それも、法律の適用を誤っています。

 「端数計算法の誤った適用2」

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