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 日大アメフト部の事件について、危機管理の問題として論じているものは多数見かけます。このサイトの前稿などもその一つです。

「日本大学危機管理学部の危機管理」

「失敗学、危機管理論、組織論の教材の宝庫」

 

 危機管理の不手際で問題を大きくしてしまった面はたしかにあるのですが、危機管理以前の問題を忘れてはなりません。それは、日大アメフト部の監督などが、勝つためには相手にわざと怪我を負わせてもいいという勝利至上主義に陥っていたことです。

 

勝利至上主義に陥った組織上の問題

 あの悪質なプレーが監督などの指示に基づくものだとしたら、どんなに危機管理を巧みにやったとしても、大問題になって監督等の解任に至ることは避けられなかったと思います。問題の根本は、組織が勝利至上主義に陥ってしまっていたことです。

 フェアプレーよりも、勝つことの方に重い価値を置く組織になってしまったことには、勝つことの方が人事、給与面で有利になり、周囲からの称賛も得られるシステム、環境であったということでしょう。これを是正しなければなりません。

 

 この問題は、企業経営、組織論の中で、組織ビジョンなどとして論じられています。古くは、企業の利益を優先して消費者の安全を軽視した企業などが、市場から退場を迫られたこともあります。雪印乳業の事件、三菱自動車の事件などがそうでした。

 損失を顧みずに消費者、社会の安全を優先する行動を採ったことで、称賛され、業績を拡大させた例もあります。「エクセレント・カンパニー」などで紹介されていたと思います。

 

守るべきものを間違えている理事会の問題

 日大の当局の動きをみると、守らなければならないものを誤っているようです。選手や全学生、卒業生、大学のブランドを守るより、前監督などを守ろうとしているように見えます。世間からもそう見えているようです。

 通常なら、理事会が、選手、学生、大学のブランドを最優先にした行動を敢然ととるべきところ、理事会メンバー(前監督)や職員(コーチ連)の仲間意識の方を重視した行動をとっています。大学の危機であることを感じていないようです。これも、組織的な重大欠陥です。

 

日大はピンチをチャンスに転換を

 スポーツに重きを置いている日大は、勝利よりもフェアプレーに重きを置く組織風土に転換しなければならず、今が千載一遇のチャンスです。勝利至上主義の組織運営をしていた連中を排除し、フェアプレーに重きを置く組織風土に転換しなければなりません。

 今、アメフト部で徹底した調査をし、勝利至上主義に陥っていたスタッフを排除すれば、他の運動部に対しても強烈なメッセージになります。全学がフェアプレー重視の組織に生まれ変わることも可能です。

 そうすれば、勝つこと以上に社会の評価を高めることができる可能性があります。

 

 今、アメフト部は、それをしなければ、対外試合もできない状況に追い込まれており、躊躇している余裕はありません。

 幸い、世論は、選手たちには同情的です。選手たちが、今後試合もできないことは可哀想だと感じています。日大当局(理事会)の早急な決断が待たれます