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 時事通信によると、平成30年2月16日の午前、政府は、国家公務員の定年を現在の60歳から65歳に引き上げる方針を決め、準備に入るそうです。

 以前にも書きましたが、よほど昇給ベースを切り下げるなどしなければ人件費の増加を招くこと、高齢者の元気度には個人差があり、65歳まで一律に継続させるのは酷であること、若手のモチベーションに悪影響が想定されることなどから、私は、あまり賛成ではありません。現在の再任用制度の運用でいいのではないかと思っています。

  「公務員の定年延長」参照

 

 報道では、あまり詳しく報じられていませんが、国のホームページに「公務員の定年の引上げに関する検討会」の論点整理がアップされています。それによりますと、60歳以降定年年齢前までの職員を短時間勤務で再任用する仕組の導入なども検討されているようです。今後の検討に注目しています。

 ただ、現場の問題は、一部の市町村などが、首長の考えから再任用制度を事実上運用していないことです。そういう市町村の定年退職者は、年金支給開始までの間、御苦労されるようです。そういう問題を解決する方を取りあえず急ぐべきだと思います。

 

制度改正の方向

 今回、政府は、60歳以上の給与水準を一定程度引き下げる ②原則60歳以降は管理職から外す「役職定年制」を導入する という方向性を決めたとのこと。

 これだけでは、かなり人件費が上がりそうですが、「総人件費管理と人件費の価値の向上」も論点に上がっています。文章から、ある程度の人件費上昇は避けられないができる限り抑制したいという気持ちが読み取れます。

ただ、この方向は、現在の制度の基本を今後も維持することを前提とした小手先の改正です。世界の潮流からますますかけ離れていくようです。

 

世界標準は「年齢差別禁止」

 日本では、採用にあたって年齢で差別することは原則として禁止されていますが、現実には、地方公務員(正規職員)も含め、容認されています。

 給料や昇進などについて、性別や人種、宗教などで差別することはもちろん違法で、仮にそんなことが明るみに出れば大問題です。しかし、給料について年齢で差別することは、普通に行われています。

 公務員の給料でも、55歳以上の職員は、昇給が原則として停止されます。

 欧米では、「年齢差別禁止法」等の法律があり、定年などがないことはもちろん、そのような年齢による給与上の差別は、違法とされているようです。

 

 日本におけるこの意識の遅れは、もしかしたら憲法に由来するのかもしれません。憲法第14条では、人種、性別などによって経済的な差別があってはならないことは明示されていますが、年齢のことは規定されていません。これは、誰もが若い時があり、いずれ老人になるからでしょう。

 

憲法第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

今回の定年延長の方向性

 今回、方向性として決定された先の2点は、世界の「年齢差別禁止」の動向からかけ離れたものです。逆方向と言ってもいいでしょう。

 ある年齢に達したら自動的に仕事の内容が変えられ、給料が大幅に下がるなど、とんでもない話で、それならいっそ再任用の方がすっきりします。

 

 どうせ制度改正するのであれば、このような小手先の改正ではなく、抜本的な改正にしてほしいものです。世界標準に合わせるには、次のようなことが必要だと思います。

 ① 定年になったらみんなが一律に辞めるのではなく、個々人の体力、気力に応じて辞める時期、役職を辞めて責任の軽い仕事に就くべき時期を決める。

② 年功序列、定期昇給などは廃止し、能力、職務内容に応じた給与とする。

③ 総人件費は、増やさない。

 

今のところ、現実的ではありませんが、いつまでも小手先の手直しで済ませることも良くありません。世界標準に近づけ、高齢者がそれぞれの能力に応じた仕事を与えられ、維持可能な年金制度を構築するビジョンが求められているのではないでしょうか。