ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 総務省 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:総務省

 ふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した総務省の決定を違法として、市が取消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は本日(6月30日)、総務省の決定を違法と認め、取り消しました。大阪高裁は総務省の決定を是としていましたが、泉佐野市の逆転勝訴です。日本の法治主義が一応守られました。

 この件については、私も総務省のやり口に義憤を感じ、何度かこのブログで論じていましたが、私にとっても非常に嬉しいニュースです。

 「総務省がおかしい 泉佐野市へのいじめ」

 「ふるさと納税制度から泉佐野市の除外は不当!」

 「地方交付税を国の都合で使うべきではない!」

 

法律の遡及適用はさすがにアウトだ!

 ふるさと納税の新制度は201961日に施行された改正地方税法を根拠に、返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に規制しています。総務省は、同市が改正法施行前にこの規制に従わなかったとして新制度から除外し、市側は「法の遡及適用」として反発していたものです。

総務省に設置された第三者機関、国地方係争処理委員会も、総務省が法に基づくルールを遡って適用したことを問題視して決定の再検討を総務省に勧告していたにもかかわらず、総務省が勧告を無視して除外を続けていたものです。

 

誰の判断だったのか?

 絵にかいたような法の遡及適用で、多少なりとも法律を学んだ人なら、違法の疑いが濃いことはすぐに分かります。誰があのような決定をしたのでしょうか?

 自分の省に置かれている第三者機関が見直しを勧告したのに、それに従わないという判断は誰がしたのでしょう?国地方係争処理委員会の委員は、総務省が推薦しているでしょう。そこが見直しを勧告したということは、違法の疑いが濃厚だと判断したことは明らかです。

 私は、政治家サイドの判断ではないかと思っています。役人は、一般にこんな危険な判断はしたくないでしょう。それとも、かつて優秀だった総務省事務方の劣化が進んでしまったということでしょうか?

 最高裁まで争えば、政府の判断を忖度してくれるはずだと甘えていたのでしょうか?
 大阪高裁は、そんな判断をしたのかもしれません。ここは最高裁が、法治主義を守る気骨を示してくれました。

 

 いずれにしても、総務省、ひいては安倍政権は、大恥をかく結果になりました。

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 平成301031日付けで総務省から出された「地方公務員における長時間労働の是正について」という事務連絡が、県の市町村課を通じて我が小規模自治体にも届き、回覧されていました。

 

文書の概要

 本年7月に施行された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」により、民間では、平成314月から時間外労働の上限規制が導入されます。また、8月に行われた人事院の「公務員の人事管理に関する報告」でも、長時間労働の是正に関する報告が行われています。

 これらを踏まえ、超過勤務命令の上限を設定する条例の制定長時間労働に関する面接指導の強化を求める内容です。国の人事院規則がまだ制定されていないので、具体的な内容はこれからですが、各自治体の「職員の勤務時間、休暇等に関する条例」の改正を求め、また、医師の面接の対象者を1箇月あたり100時間から80時間への拡大、職員の申し出がなくても面接を実施することなどが示唆されています。

 

言うは易く行うは難し

 職員団体や議会から長時間勤務の是正を求められた執行部が、まず口にするのは、「事前命令の徹底」です。しかし、これは不可能に近いほど困難なことです。

 執行部としては、「必ず事前に命令を受けよ!」と強調しておくことにより、事前命令を受けていないのは時間外勤務とみなさない、無断で残っている職員が悪いと弁明する逃げ道を用意できます。

 職員の側からすると、急ぎの仕事で事前申告し、明日は明日の仕事があるのに、「明日にしてください。」などと言われ、上司と口論するくらいなら、こっそりサービス残業、風呂敷残業をした方がいいと思うでしょう。

 超過勤務命令の上限時間を設定することも、同じことです。

 一方、一部だとは思いますが、ダラダラ残業をしながら十分な戦力になっていない職員がいることも事実です。

 

 超過勤務を減らすには、仕事のやり方を工夫して業務を減らすか、十分な戦力になっていない職員を再教育するか、人員を増やすしかないでしょう。部署ごとの人員の過不足の解消も有効でしょう。上限時間の設定などは、ごまかしを生み、問題を見えにくくする小手先の手段です。問題の根本を解決する別の対策が不可欠です。

 組織・人事当局、管理職の覚悟、手腕が問われているということでしょうか?

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「行政実例」とは

 地方自治体では行政を運営するに際し、法令、通達、通知等と並んで、「行政実例」を参照します。地方自治体が法令の適用などについて疑義がある場合、総務省(旧自治省、自治庁)に照会し、それに対する回答を他の自治体も参考にできるよう、公にしたものです。

 本来、単なる意見の表明に過ぎず、裁判になったケースで否定された例もありますが、多くの自治体がこれに依拠して事務を進めています。

 

「行政実例」の問題点

 自治体にとって大変便利なものではあるのですが、中には変なのもあり、自治体の事務処理を歪めているものもあります。そのときの国の職員の資質、熟練度によるものと思われます。

 「行政をゆがめる行政実例」参照

 

「行政実例」は今後どうなるか

 地方自治関係の行政実例は、明治時代に発出されたものまでありますが、昭和20年代、30年代に発せられたものが多く、昭和58年ころまで続いています。昭和60年代以降は、行政書士法の運用とかに関する行政実例は多少ありますが、地方自治に直接関わる地方自治法、地方公務員法などの関係の行政実例は見当たりません。

 総務省は、近年は、地方自治体が疑問点を照会し、文書での回答を求めても、応じていないようです。無理もありません。自治体が文書での回答を求めるような案件は、解釈が困難でしかも影響が大きいものが多いので、責任をもって回答などできないのでしょう。

 そんなこともあり、行政実例は、もう30年以上も加除されていない例規集のような状態です。

 また、平成124月に施行された地方分権一括法以降、国と地方の関係が従来と変わり、新たに昔のような「行政実例」など、発する立場かどうかも疑問で、またそんな雰囲気でもないでしょう。つまり、次第に古すぎて使えなくなり、廃れていくことになると思います

 ただし、今のところはまだ、行政実例に縛られている自治体が多い現状です。

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 総務省から出された「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」に沿って、各地方公共団体では平成28年度決算について財務書類等の作成の準備が進められています。私も、年度初めの仕事が一段落したので、担当者に任せきりにせずに、勉強を始めることにしました。

 

私のバックグラウンド

 私は、県庁で市町村課、出納局、一般部局での会計担当など、長年自治体の会計事務に携わり、職員研修などの講師を引き受けることも何度かあったので、従来型の自治体の会計制度については、一通りの知識はあります。

 また、企業会計についての実務経験はありませんが、仕事上のいろいろな場面で簿記の知識の大切さを実感していたため、机上の独学ではありますが、5年前に日商1級を取得しました。したがって、一通りの知識だけはあります。

 ただ、新たな公会計システムについては、全くの素人からのスタートです。

 

「新地方公会計統一基準の完全解説」って

 執務時間中はそんな時間はないので、手始めに、この本を図書館で借りて読んでみました。

 正直に言って、ほとんど役には立ちませんでした。

 以前に示されていた手法との変更点の解説ばかりがやたらに丁寧です。以前の手法など知らない者にとっては、読み続けるのが苦痛でした。基本的な仕組、特に一般の企業会計との違い、一般的な仕訳との違いなどの解説を期待していたのですが、そういう説明はあまりありません。

 仕訳例は載っているのですが、何の解説もなく、また、BS、PL、CF、NWという略称が注書きもなく使用されています。BS、PL、CFくらいは簿記の勉強をする中でも使うので意味は分かります。残るNWは純資産変動計算書だろうとは思うのですが、英語表記もなく、とても不親切な本だなと感じました。

 どんな読者を想定して書いているのか分かりませんが、これから新公会計を学ぼうとする地方公務員には不向きだと思います。

 

「統一的な基準による地方公会計マニュアル」(総務省)

 このマニュアルは、良かったです。単なるマニュアルではなく、基礎知識や考え方の解説もあります。上記のような解説書を読むよりも、直接このマニュアルを読み始めればよかったなと後悔しました。

 

 次稿から、この会計システムについて、私なりに気づいたこと、他の人にも参考になりそうなことを書いてみたいと思います。
 「統一的な基準による地方公会計の準備2」

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地方自治法第234条の3(長期継続契約) 
普通地方公共団体は、第二百十四条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない

自治令第167条の17  地方自治法第234条の3に規定する政令で定める契約は、翌年度以降にわたり物品を借り入れ又は役務の提供を受ける契約で、その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに支障を及ぼすようなもののうち、条例で定めるものとする

 

なぜ長期継続契約が困難か?

  条文だけサッと読むと、各自治体が条例でNHK受信契約を指定すればよさそうに見えます。しかし、法後段の「各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。」が、ネックになってしまいます。

 

 電気、ガス、水道などなら、各年度の予算に合わせて使用することもできます。また、予算が0だったら、契約を解除することもできます。

 リースなどの長期継続契約の場合は、契約条項として、予算の減額等があった場合は契約を解除できる文言を入れ、法律の条件をクリアしています。これらは、総務省の指導・助言によるものです。

 しかし、NHK受信契約の場合は、予算に合わせて使用することもできず、契約書に予算減額の場合の解除条項を入れることなど、NHKが認めるとは考えられません。そもそも、テレビを保有している限り、契約して受信料を払うのが国民の義務だと主張しているわけですから。予算が減額されたら、テレビ自体を処分せざるを得ません。もったいない話です。

 この辺りについて、地方自治法とNHKの双方を所管している総務省としては、どう考えているのか、ぜひ、見解を伺いたいところではあります。

 

地方自治体における実務

 条例で指定していない以上、正規に長期継続契約として締結することはできません。しかし、テレビをもっていない自治体、NHKと受信契約を拒否している自治体というのも聞いたことがありません。

 どこの自治体も、無自覚に、自治法に違反して、年度を超える契約を結び、年度を超える前金払をしているのでしょう。

 

 参照NHK受信料1  地方自治法の扱いは?」

 年度を超える前金払が本当に違法かどうかについては、次を参照願います。

  「年度を超える前金払って、本当に違法?」

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